日本も被害「韓国から来るゴミ問題」 疑惑の組織的な海洋投棄 竹島での「不純な回収理由」にも岸田首相は怒るべきだ

「独島に打ち寄せる北朝鮮のゴミ」―。韓国紙・中央日報(5月31日)の見出しと、漂着したスニーカーの映像を見てビックリした。韓国が不法占拠する島根県・竹島(韓国名・独島)に、まだまだ再利用できそうなスニーカーを海に捨てるほど、北朝鮮は豊かになったのか、と。

そのビックリはさておく。今回のテーマは「他国の行為」による迷惑にはすぐ怒るが、「自国の行為」が他国に及ぼす迷惑には目が向かない韓国の特異性だ。

韓国は少なくても2015年まで、人糞や家畜の糞尿、重金属を含む産業廃棄物を、日本の排他的経済水域(EEZ)に投棄してきた。その後は「していない」ことになっている。本当か。

韓国政府は外国から問い詰められると、「民間がしていることは知らない」と言って逃げる。だが、民間(企業や団体)の違法行為を取り締まるのも政府の責任だ。

日本海に面した日本の海岸には、中国や韓国からの漂着ゴミが多い。日本で捨てられたゴミもあるが、8割は外国製とされる。

韓国製の場合、ペットボトルの日本漂着は「常時」だが、特定の製品が広く大量に漂着するケースがある。ノリの養殖に用いる塩酸を入れた容器や、使い捨てライター、軍糧用の缶詰などだ。これらは「組織的な海洋投棄」が疑われる。韓国政府が「していない」と言明しても、信じるわけにはいかない。

韓国のマスコミは、黄海(=朝鮮半島西側の海)に面した海岸線への漂着ゴミについては、しばしば報じる。韓国人が捨てたゴミもあるが、中国で捨てられた比率が高い。韓国マスコミは、中国人旅行者の〝ゴミ不感症〟も指弾する。

しかし、韓国の歴代政権は漂着する海洋ゴミや、飛来する窒素酸化物について、中国に大声でモノを言ったことがない。日本政府も、海洋ゴミに関して、中国や韓国に大声で抗議したことがない。なぜだ。

韓国はいま、日韓首脳会談を早く開こうと焦っている。今月末のNATO(北大西洋条約機構)首脳会談には、日韓首脳がゲストとして出席するようだ。片隅で初の顔合わせもあるだろう。

そのとき、岸田文雄首相は「韓国から来るゴミ」の問題を、第三国の記者にも聞こえるような大声で語るべきだ。

さて、竹島に押し寄せるゴミのことだ。鬱陵島から竹島にかけての海域のゴミ回収船を建造している慶尚北道庁の公式発表を受けて、朝鮮日報(6月6日)が書いた。

「慶尚北道によると、鬱陵島と独島の海岸などにたまるゴミは毎年平均350トン」「海洋ゴミは漁網・筌(うえ=竹を筒状などに編んだもの)などの漁具やプラスチックなどがほとんどだが、北朝鮮から流れてきたペットボトルなどもある」

アレ、「打ち寄せる北朝鮮のゴミ」という報道とは、全然ニュアンスが違うではないか。

主たる流出国は韓国自身だが、鬱陵島と竹島の海岸にたまるゴミは少なく、大部分は海流により日本やサハリン・カムチャツカに向かう―ということなのだ。

それでも慶尚北道は竹島の海洋ゴミを回収する。その理由を道庁の担当者はこう述べている。

「海洋環境問題の解決だけでなく、独島領有権を強調する次元でも意味深い」(前掲中央日報)

岸田首相よ、怒って日韓首脳会談を開くべきだ。 (室谷克実)