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2017/09/21/Thu

■武力の矛先は台湾だけでなく日米同盟に対しても

日本では北朝鮮の冒険主義的な挑発への警戒が高まるばかりだが、それに比べて中国の侵略主義に対してはどうか。あの国目下の軍備拡張は、対外侵略の準備以外の何物でもなく、これへの関心は従来必ずしも高くないようにも見える。

日本にとっても多大な脅威となっているにもかかわらずにだ。たとえば平成二十八年度版の防衛白書にも、中国の軍事動向についてこう明記されているのである。

―――軍事面では、過去25年以上にわたり、継続的に高い水準で国防費を増加させ、軍事力を広範かつ急速に強化している。特に中国は、台湾問題を国家主権にかかわる「核心的」な問題として重視しており、軍事力の強化においても当面は台湾の独立などを阻止する能力の向上を目指しているとみられる。

―――その一環でもあるが、中国は周辺地域への他国の軍事力の接近・展開を阻止し、当該地域での軍事活動を阻害する非対称的な軍事能力(いわゆる「アクセス(接近)阻止/エリア(領域)拒否」(「AAnti-Access/Area-Denial 2/AD」)能力9 )の強化に取り組んでいるとみられる。

つまり中国は「台湾の独立などを阻止する」ことを主目的に軍拡を進めているというわけだ。

ちなみにこの「台湾独立」というのは、中華人民共和国からの独立ではない。台湾はこの国の領土でもないし、その支配も受けていないから当然だ。敢えて表現するなら、台湾が現行の「中華民国」(チャイナ共和国)体制を変革したり、その体制を支える「一つの中国」(台湾は中国の一部)の建前を否定する動きを「台湾独立」と呼ぶのだろう。

いずれにせよ、台湾が主権国家であることを否定し、この戦略的要衝を併合し、西太平洋にまで自国の生存圏を広げようと軍拡に狂奔しているのだから、これは明らかに不法極まりない侵略の準備。しかもその矛先は台湾に対してだけでなく「他国の軍事力」、つまり台湾防衛の後盾たる米軍、あるいは日米同盟にも向けているのだ。

日本及び日本人が北朝鮮だけでなく中国の動向にも警戒を怠ってはならない所以である。もちろん日本でも、東支那海(尖閣諸島)、南支那海を巡る中国の軍事動向に関心は集まっている。だがあれを、平和的な話し合いで解決できる、あるいは放置してもさして害のない局地的な動きだとする多くの日本人の認識はあまりに甘い。それもまた台湾攻略、アジア太平洋地域での覇権確立を目指す「アクセス阻止/エリア拒否」戦略の危険な一環であることを知らなくてはならない。

■「血で台湾を洗え」-今でも抱かれ続ける台湾侵略の野心

建国以来、「血で台湾を洗おう」「台湾を武力解放しよう」と叫んできた中国。一九七九年に中国の台湾侵略を阻止して来た所謂「米帝国主義」との国交樹立を果たすと、「武力統一」のスローガンを「平和統一」(協議による統一)へと切り替えたが、しかし台湾に対する武力行使を放棄するとは一度も言っていないのだ。

それではいかなる場合に台湾への侵略戦争を発動するというのか。これまであの国は、たびたび武力行使の条件を公表している。たとえば以下のようにだ。

[一九九一年、呉学謙副首相]

(一)外国勢力の台湾介入
(二)台湾独立

[一九九四年、銭其?副首相]

(一)台湾独立
(二)外国の台湾侵入

この「外国勢力」とは米国・日米同盟を指す。そしてその「台湾介入・侵入」に関して銭其?は一九九六年、次のように説明している。

「外国勢力の台湾への干渉(介入)とは政治的な支持であり、侵入とは例えば台湾をその軍事保護区にすることなどとを指す」

当時は中国が台湾初の総統直接選挙での李登輝氏の当選を阻止すべく、ミサイル演習を繰り返すなどで、米国と鋭く対立していた時期。このように述べて米台の接近を牽制したのだ。

そして一九九七年、「日米防衛協力のための指針」(新ガイドライン)で台湾有事を含むとされる周辺事態への対処が盛り込まれたことに中国が激怒。その結果、日米に対する以下のような警告が発せられた。

[一九九八年、「中国国防」白書]

「直接的であれ間接的であれ、いかなる国あるいは軍事同盟であれ、台湾海峡を安全協力範囲に組み入れることは中国の主権への侵犯、干渉。武力の使用放棄は約束しない」

一九九九年、李登輝総統が台湾と中国とは「国と国との関係」と定義する二国論を発表。そうした台湾人国家建設の動きに猛反撥した中国は、武力行使の条件を増やして行く。

[二〇〇〇年二月、「一つの中国原則と台湾問題」白書]

(一)いかなる名義であれ台湾が中国から分離
(二)外国の台湾侵入、占領
(三)台湾が無期限に統一問題解決の協議を拒絶

そしてその翌月、「台湾が中国から分離する重大事件」とは何を指すかについて、銭其?は次の三つのケースを挙げている。

「台湾当局が台湾の地位に関する公民自決なるものを行い、民意を口実に台湾独立を行うこと」

「外国の支持の下で台湾は国家だと宣布すること」

「台湾を日米のTMD(戦域ミサイル防衛)に参加させ、外国の軍事集団のメンバーにすること」

またこの時銭其?は、「核・生物・化学兵器の開発を進めるなら、武力で粉砕するだろう」とも述べている。

[二〇〇五年、反国家分裂法]

「台独分裂勢力がいかなる名義であれ、いかなる方式であれ、台湾を中国から分離させる事実を作り出し、あるいは台湾を中国から分離させかねない重大な事変を発生させ、あるいは平和統一の可能性を完全に喪失させた時、非平和的方式及びその他の必要な措置を取り、国家主権と領土の完全性を守らなければならない」

■台湾が中国の支配を受け入れるまで侵略の脅威は消えない

そしてこの八月三十一日、台湾国防部が国会に提出した今年度版の「中共軍力報告」によると、中国軍の台湾侵略の時機として以下の七つが考えるという。

「台湾独立の宣布」
「台湾が明確に独立の方向へ向かう」
「台湾内部情勢が不穏、不安定」
「台湾が核兵器を獲得」
「海峡両岸(台中)の平和統一対話の遅延」
「外国勢力の台湾内部事務への介入」
「外国兵力の台湾進駐」

報告書のこの分析を受け、中国国務院で対台湾工作を司る台湾事務弁公室の報道官は九月十三日の定例記者会見で、それの当否に触れることなく、ただ次のようにのみ語った。

「台湾独立勢力及びその分裂活動は両岸平和と安定に重大な脅威をもたらす最大の障害。台湾方面(台湾政府)が行うべきは台独の主張と分裂(国土分裂)の考えを捨て、九二年合意(「一つの中国」原則での合意)との基礎に立ち返ること。それで初めて両岸関係の平和と安定を守ることができる」

このように、「一つの中国」原則(台湾を中国の一部とするフィクション)を今日の民進党政権が受け入れないために台湾海峡の緊張はいたずらに高められているのだ、と中国は宣伝する訳である。

しかしこれはインチキである。なぜなら「一つの中国」を掲げ、台湾独立への反対に反対を表明していた国民党政権下の「中共軍力報告」ですらも、今回と同様に、この七つの「中国軍の台湾侵略の時機」を指摘していたのだから。

要するに、台湾側が中国に対し、いかに譲歩、妥協を繰り返して平和を求めても、中国に降伏してその支配を受け入れる日まで、武力行使の可能性が消えることはないというわけだ。

「それであるなら台湾は統一されてしまえばいいのだ」と考える一国平和主義の日本人は少なくないが、そのような者は、台湾が中国の軍門に下り、その軍事基地と化したなら日本はどうなるかを考えるべきだ。日本を含む全アジアに及ぼされる中国の脅威は、最早抑止不能なまでに拡大するだろう。したがって日本は台湾と共に中国軍拡に対処せざるを得ない宿命なのである。

報告書によれば、中国軍はいまだ全面的に台湾を侵略する能力を備えておらず、台湾に対し伝統的な大規模上陸作戦を行う可能性は低い。そのため軍事恫喝で台湾国内にパニックを起こさせるとともに、海上封鎖で貿易輸送ルートを遮断しつつ、火力攻撃で降伏を迫り、上陸作戦は速戦速決で行い、外国勢力の介入前に台湾占領を既成事実化しようと狙っているという。

アジア太平洋地域で覇を唱えるため、外国勢力(日米同盟等)の「アクセス阻止/エリア拒否」を目指し軍拡を急ぐ中国。これに対して日米が進めなければならないのは政治面、軍事面での関係深化以外にはないわけなのだが、そうした議論すらあまり聞かれないのが日本の現状だ。

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