東日本大震災からちょうど11か月後の2012年2月11日、宮城県亘理町のフリースクールの高校生を対象にした、お面づくりとお面をかぶっての即興ドラマを行った。

 

それぞれ思い思いに自分のマスクを作り、それをかぶって即興でペアになった相手と湧いてくるままにやり取りを行う。

普段自己表現することが苦手な子どもたちも、マスクを通すことによって生身の自分を出さず、安全を感じながらの自己表現と他者交流の場になっていった。

 

 

 

セッションを終え、日が暮れるまでにはまだ時間があったので、(仙台まで)帰る途中に神社などはないか車を運転していた地元のスタッフに聞いてみると、この道路を道なりに行くと仙台を超えて塩釜神社に通じているという返事。

 

それを聞いてしばし考えた末、「では塩釜神社に行きましょう」と運転手に告げると、車の外に何やらただならぬ気配を感じた。

 

外を見ると、なんと空中いっぱいに何百羽ものカラスが群れを成して飛んでいるではないか!!!

 

カラスの群れは、我われの乗っている車に伴走するように延々と続いていく。

 

それも少しづつ数が減ってきて、塩釜神社についたころにはあたりはすっかり日が落ちていた。

 

鳥居をくぐり境内に入ると、左右の木立の上の方からカアカアとカラスが止まって啼いている。

 

そして、あら不思議、どこからともなく笛やヒチリキなどのお囃子の音が聞こえてきた!!!

そのお囃子の音を聴きながら、本殿の前で一同参拝をする。

 

後で気が付いたのだが、お囃子は社務所の奥から聞こえ、どうやらそこでお囃子のけいこをしていたようである。お詣りをする側としてはそのお囃子の中で神に挨拶をし、同時に神から迎えられたという貴重な体験になっている。