5年前の3月11日

 あの震災…

 

 Mちゃんも震災にあいました。

 その時は知らなかった訳だけど、

 その日もMちゃんは、隔離されていたんだね…。

 

 地震が起きた時、妻と娘二人と孫が居たらしい。

 マンションの7階。

 さぞや揺れが激しかったことだろう。

 避難所に避難した、妻たち…。

 この時、Mちゃんはひとり置いてきぼり。

 

 あの日、何度も何度も繰り返しあった地震。

 一緒にいたって、怖かったのに…。

 Mちゃん、どんなに心細かっただろう。

 

 次の日、A氏がMちゃんを救出し、

 動物病院で預かってもらったとのこと。

 家族は、怖くてとても7階には戻れないということで、

 妻の実家にしばらく世話になることにしたらしい。

 

 3日後、病院を閉めるという連絡が入り、

 Mちゃんは、7階の部屋に戻るしかなかったというのだ。

 自分たちは、怖くて戻れないその部屋に

 Mちゃんは、戻された…。

  (実家に連れて行くという選択肢はなかったのかな…)

 

 誰もいない、寒い寒いその部屋に、

 またMちゃんは、独りぼっちになった。

 

 数日後、その話を聞いて、

 Mちゃんを会社で預かる提案をした。

 (会社のスタッフ、全員猫好き)

 

 ニャンのトイレ、砂、ご飯、

 家にある電気毛布やタオル、食器etc

 一式、Mちゃんに提供した。

 

 会社で預かると妻に伝えたところ…。

 猛反対したという(なんで?)

 

 何を言ってるのかなぁ!

 あの日から、Mちゃんに一度もあっていないくせに

 あんな部屋に独り置くことのほうが心配だろう。

 

 絶対に7階に独りよりもいい環境を作ってやる。

 猛烈に腹が立った。

 

 妻の反対を押し切り、

 Mちゃんは、会社の子になった。

 いっぱい抱っこして、いっぱいお話しした。

 ご飯はニャンと分けあった(物が中々手に入らなかったの)

 

 夜は独りでお留守番だけど、

 昼間はずっと一緒

 ニャンと反対の生活だ。

 (ニャンは、昼間はひとりでお留守番だからね)

 

 連れてこられた最初の1時間は、

 躊躇していたMちゃんだったけど、

 とっても賢いMちゃんは、すぐにオカシャンに慣れ、

 

 スタッフに慣れ、

 会社ライフをそれなりに楽しめるようになった。

 (A氏曰く、Mちゃんはお客様がくると隠れてしまうような子だったらしいのだが!)

 

 ご飯もいっぱい食べるし…。

 元気に遊び、ゴロゴロは爆ゴロ連発だった。

 最初は、A氏に妻のことをなじった。

 Mちゃんを抱っこしながら…。

 

 ある日、気付いた。

 Mちゃんが聞いていると。

 それからは、Mちゃんに

 「ママは、どうしてもこられない事情があるのよ」

 「ご用が済んだらすぐに迎えに来てくれるよ」

 「それまで、オカシャンと待っていようね」

 

 退社の時、

 「また明日ね、寝んねして待ってるんだよ」と言うと

 寂しそうではあるけれど、

 寝床に行って、「ハイッ、分かりました」というようなお顔をする

 とても賢い子だった。

 

 朝、スタッフが出勤してくると、

 喜んで全員をお出迎えする。

 

 可愛くて可愛くて…。

 

 

 しばらくすると、

 妻と娘たちは、娘のマンションに身を寄せた。

 A氏は7階の部屋に戻った。

 (娘のマンションにMちゃんを、という選択肢ももちろん出てこなかったよ)

 

 ゴールデンウィークまでMちゃんの会社猫生活は続いた。

 

 その間、妻がMちゃんに会いに来たことはない。

 (夜とか、ワタシたちが居ない時に会いに来ることは出来たのに、だよ!)

 

 結局、震災から3ヶ月ぐらい、

 妻はMちゃんに一度も会っていないのだ。

 

 今日もコメント欄閉じます。

 明日もまだこのお話続きます。

 お付き合いの程、よろしくお願いします。