Prime Minister Hatoyama’s Pursuit of Equity
鳩山首相による公平性の追求

http://blogs.cfr.org/asia/2010/05/18/prime-minister-hatoyama%E2%80%99s-pursuit-of-equity/
2010年5月18日火曜日 by Sheila A. Smith

 鳩山由紀夫首相による普天間問題の処理について、数多くの批判が存在している。最近では独善的な嘲笑やお手上げの声に満ちており、また、日本の国会での芝居じみたやり取りは、ますます激しい物となっている。参議院選挙の前哨戦その際、参議院選挙の前哨戦として行われる、政府への批判の形をとった政治的騒乱を彼女は確実に目撃することになるだろう。

 しかし、クリントン長官は現状の厳しさや、沖縄での問題を前進させるために必要な、双務的な努力から来る欲求不満から一歩退いてみるべきである。問題に対し首相は見当違いの取り組みをしてるようにも思えるが、その姿勢に内在する長年の不公平な境遇を是正しようという努力は、より多くの理解を得られるだろう。これは単なる政策論争ではない。これは戦後日本の社会契約において、誰が利益を得て誰が得なかったを問い、核心を深く理解する必要がある問題である。

 新たな『選択肢』を巡る最近の騒乱を通じ、日本のメディアは鳩山氏と未熟な官邸チームに容赦なく焦点を当ててきた。この問題に10数年携わっている日本の官僚は、我々と同様に失望している。

 日本の国民もまた心を痛めている。民主党はより高い透明性と説明責任を主張して政権の座についたが、この問題における政権運営は深い失望を呼ぶ物であった。首相と同様に内閣官房長官も目的があると言うより不誠実な態度で、目に見える理由無しにギアを変えたように思え、内閣の他のメンバーを失望させている。

 しかし、沖縄に関して問題となっているのは、鳩山首相の目標ではない。彼は沖縄とその周辺での米軍の活動を分散させ、沖縄県民に対するヘリや戦闘機の騒音の影響を縮小したいと望んでいる。そして、最終的には日米同盟の核心的な脆弱性の一つである、経済的に弱体な地域の一つに米軍が集中しているという問題を提起しようとしている。彼の政府は少なくとも沖縄の不満を部分的に取り上げた、以前の自民党政権とは異なる新たな選択肢を作り上げた。

 多くの評者を悩ませているのは、首相の手法である。彼はこの件に関係する者、全てを敵に回した感がある。広く知られた沖縄基地問題の専門家や、県や合衆国海兵隊の移転先候補に挙がっている市町村の政治指導者など、相次ぐ訪問者達や世論は首相官邸を悩ませた。小さな島に在日米軍45,000人のうち75%が──そう、75%がだ──集中している、県の現状を乗り越える選択肢を探そうとする首相の考えに、誰もが「いいえ、結構だ」と突きつけているようにも見える。

 しかし先週木曜の朝、ついに彼の要請に「はい」と答える訪問者が首相官邸に現れた。福岡県知事であり、現在の全国知事会会長でもある麻生渡氏は、在日米軍負担をより多く本土へと移転する事の必要性についての議論を目的とした、臨時知事会の召集に合意した。5月27日、日本の知事達は鳩山首相と対話するために集結するだろう。その時、彼は知事達に自県に存在する自衛隊基地に、在沖米軍の訓練や一時的共同利用受け入れの可能性について、検討することを求めるだろうと私は予想している。

 一部の知事達は既に意見を述べている。保守的な事で知られる石原慎太郎東京都知事は、そのアイデアを「ナンセンス」な物として退けた。しかし、橋下徹大阪府知事はこの国家的挑戦に踏み込むよう、関西圏の知事達に呼びかけている。全国知事会がなんらかの計画を作成するとは思えない──しかし、数十年前に起こすべきだった対話を喚起することにはなるだろう。

 鳩山首相がそのような対話へと日本を本当に導くのであれば、私は彼を強く支持するだろう。現在の難問を解く鍵は、海兵隊ヘリの航続距離を如何に伸ばすかではなく──彼らがこの議論において、軍事作戦実施の際と同様に柔軟に対処することを望んではいるが──、長期にわたる苦痛と不遇な境遇を与えられている沖縄県民に依存しない解決法を見出すため、日本国民が米国との安全保障に十分に投資するかどうかである。

 これは純粋かつ単純な公平性の問題である。そして、日本人が誰一人として海兵隊や米空軍航空機を受け入れる意思を示さないのであれば、独創的な首相や経験不足の新政府よりも深刻な難問を、日米同盟は抱えていることを我々は知る事になるだろう。


One Response to “Prime Minister Hatoyama’s Pursuit of Equity”
『鳩山首相による公平性の追求』へのコメント

2010年5月24日午前9時25分 By Angry Jap

 Sheila A.スミス博士は「これは純粋かつ単純な公平性の問題である。そして、日本人が誰一人として海兵隊や米空軍航空機を受け入れる意思を示さないのであれば、独創的な首相や経験不足の新政府よりも深刻な難問を、日米同盟は抱えていることを我々は知る事になるだろう」と述べている。

 それに対しBUSINESS LIBERALISMは「純粋に軍事的有効性の観点から、沖縄の全海兵隊基地はグアムやテニアン、そしてサイパンへと移転するべきだと私は思う。沖縄は中国や北朝鮮から近すぎるため、中距離ミサイルによって簡単に無力化されるであろう。また、反基地感情の人々に囲まれているため、沖縄基地は海外勢力からの破壊工作に対する脆弱性を抱えている。グアムやテニアン、そしてサイパンへと移転することにより、海兵隊は世界各地での軍事行動着手が可能な、より安全な基盤を手にすることが出来るであろう。沖縄に配置された海兵隊の主な目的は訓練にあり、それ故に彼らが沖縄に留まり続ける必然的な理由は存在していない」と応じている。

 沖縄県民に同情的な東京都民の私は、シビリアン・コントロールと真の国際的民主主義が導き出した、全海兵隊のマリアナ諸島への即時移動という合理的で唯一の解決策に感銘を受けています。しかし、率直に言ってこうした見解が、オバマ政権やワシントンの上層部の周辺で支配的かどうかについては疑問を抱いている。

 うーん…全体的に抽象的で、何がなんだか…自信満々に在日米軍の在沖比率で事実誤認してたりするし。その辺は枝葉末節ですので、ここでは深くは触れませんが…早朝のツイッターで、他の人と検討したのをまとめたのだけリンク貼っておきます。

■在日米軍45000人の75%が沖縄集中の謎
http://togetter.com/li/25338


 瑣末(と言っていいかどうか迷いますが)なミスはともかく、言わんとしてる事は解ります。日本国民が自国防衛について、真剣に考えてこなかったのは確かなのですから。ただ…沖縄県民の窮状(あたいはこれすら疑ってかかってますが)に目が行き過ぎてて、なんか問題を読み間違えてないかという印象は拭えません。
 沖縄がなぜ多くの負担を背負うことになったのか?この問題は沖縄の地政学的な位置を考えずに済ませるわけには行かないでしょう。
 地図を見れば解ると思いますが、沖縄は東シナ海の海上交通を管制し、台湾や朝鮮半島へのパワープロジェクションを行い得る、非常に重要な位置を占めています。
 また、中国側から見ると沖縄を押さえることにより、日本本土に対する直接的な戦力展開が可能となりますし、マラッカ方面を経由する日本の通商路を完全に押さえる事が出来、世界中から物資を運び込まなければ生存することが出来ない我が国の生殺与奪を握ることも可能な位置にあります(中国が今すぐそうする意思があるかは置いておきますよ。抑止力ってのは相手の意思にではなく、能力に対して設定する物なのですから)。太平洋戦争末期に沖縄を合衆国に取られたことは、日本各地への空襲や原爆投下などより、よほど戦略的な損失であったと言えるでしょう(もっとも、その頃になると日本の商船隊は壊滅していましたが)。
 つまり、たとえ誰が支配者であったとしても、日本が自国防衛と地域安全保障の完全自己負担を決意し米軍の完全撤退を果たしえたとしても、沖縄から基地が消え去るというのは、まずあり得ないという現実は踏まえておく必要があるかと思います。なんとも救いが無い話ではありますが…
 基地が置かれるのは必然であるならば、考えるべきは市民生活への影響を抑え、いかに基地機能を維持するかに焦点が絞られてしまうように思うのですが、なんか間違ってますでしょうか?

 こうした絶対に動かしようのない現実を脇に置いたままで、沖縄の基地問題を考えても空理空論に終始するだけで、結局問題が解決することはないと思うのですよ。だからと言って、沖縄の負担を無視していいという事にはなりませんけどね。
 負担を消すことは出来ませんが、軽くする事は可能。普天間移設は、そうした文脈から立案された計画であり、闇雲な反対は単に問題を膠着化するだけの気がするのですが…これも何か間違ってるのかな?


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