前回のブログで私が静岡県の教員試験を受けた事を書いたがその後編である。

私はその２次試験会場に二人だけ残った一人だった。

思いがけず、もう一人の先輩に相当する人とも出会って親しくお話ししたのだが、結局私は

静岡県ではなく郷里の岩手県の教員になったのでその人とのご縁もその時、限りであった。

しかし、前回にも触れた教員の全国研修で偶然、静岡県の先生とも話が出来、懇親会で

「自分も静岡県の教員になっていたかもしれない」と話して、その時出合った先輩の方の事を話したところ、静岡県の現教員である彼は詳しく私の話しを聞いた上で

「間違いなくその人は私の恩師であり、最高の先生である」と断言したのである。

今、思い出しても人との縁の繋がりを噛みしめたものであった。

さて、話を戻すがその２次試験の面接の時間がこれまた忘れられないものであった。

私がその面接の部屋にノックして入ると中には５人ほどの面接官が鎮座していた。

随分、多い面接官だなと思っているとそのチーフみたいな人が

目の前の書類を見ながら私に次のように問いかけてきた。

「君は岩手県出身だね。そして盛岡一高の出身だとあるがこの夏に

君の母校が甲子園に出場したよね。君は京都の大学だから甲子園に応援に行ったかね？」

これに対して私は「当然ですよ！母校が優勝候補の津久見高校を破って

ベスト８になったのですから大学の友人を連れて応援に行きました！！」

こう答えるとその人は「そうか、私は静岡高校の校長だよ。わが校も甲子園に出ていたことを知っているかね」「勿論知っています。もう少しでしたね・・」

そう話していると面接官の人達が次々とその話に入ってきたのである。

「私は浜松北高校の校長だ。わが校も甲子園には何回も出場しているぞ」

「私は清水東高校の校長だわが校もすごいぞ！」

「私は韮山高校の校長だ・・・」

「私は沼津東高校だ！」（もちろんお顔を拝見していました）

この面接官は全て現役の静岡県の高校長さんであり、しかもそれぞれが野球部の歴史もさることながら進学校としても、鎬を削っている伝統ある高校の校長さん達であったのである。

静岡県の高校の教員試験の最終面接がこうした伝統校の校長さんである事も分かって

ビックリする内容であった。

しかし、その面接会場の空気はなんともう、普通の面接でなく甲子園の話題で持ちきりとなり

それぞれの面接官が自校愛を前面に出して受検者の前で滔々と喋り始めたのである。

・・・さて、ひとしきり、話が片付くと思い出したようにチーフの校長さんが話を元に戻した。

「ああ、これは教員の採用の面接だったね・・。（一同苦笑・・・）

もういいや！・・・ところで君は採用されたらどの地区の高校に行きたいかね？」

・・・・・もう、びっくりする内容だがこれは本当の話しである。

私はすかさず「富士山が見えてワサビが食べれる場所が希望です！」と答えたのである。

それに対して「わかった考えておこう・・・」

こうして私の静岡県の教員試験の面接は終わったのである。

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さて、この年は昭和４３年（１９６８年）であり、私が大学４年の時だったが前述のように

母校の盛岡第一高校が甲子園に出場し、１～２回戦を突破し、３回戦で優勝候補と言われていた福岡県の津久見高校を９対２の大差で破ったのである。

（津久見高校はその４年後に実際に全国優勝を遂げている強豪高校である）

その難敵を破ってベスト８まで勝ち上がったのだから私は面接試験で話したように

大学の友人数名を引き連れて甲子園に応援に乗り込んだのである。

(相手は沖縄代表なので当然勝つだろうというので・・勝ったら私が彼らに奢ると言ってヒヒヒ）

準々決勝の相手は沖縄の興南高校であり、甲子園ではまだほとんど知られていなかった。

当時の沖縄はまだ米軍の占領体制が続いており本土復帰が沖縄の人々の悲願であった。

沖縄県勢が初めて甲子園の土を踏んだのは１９５８年。４０回の記念大会として各都道府県から１校ずつが出場することになり、首里が初の甲子園切符をつかんだ。しかし悲運があった。

米軍施政権下で持ち帰った甲子園の土が船上から廃棄されたこともあり、

全国的に大きな注目を浴びた。

　首里は６３年に日大山形を４－３で下し、県勢の甲子園初勝利を挙げた。

沖縄が本土復帰を果たしたのは昭和４７年（１９７２年５月１５日である）

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だから、この１９６８年（昭和４３年の５０回記念大会）に出場した興南高校には

甲子園のスタンドから特別な応援があった事は間違いなかった。

沖縄特有のピューピューといういう口笛と共に殆んどの観客はもう、

沖縄の興南高校に対する応援一色だったことは間違いなかった。

悲しい事に僻遠の北の岩手の地からやってきた我が後輩の盛岡一高の野球部の連中は

この異常な雰囲気にすっかり飲み込まれもう、その実力の半分も出せずに

エラーが続出し、打線は沈黙・・なんと４-１０で敗北したのだった。

そして試合が終わった後、私の周囲にいたはずの大学の友達諸君の姿は

雲をかき消すように消え果てていたのである・・・・・。これが私の甲子園の思い出である。

その後は「興南旋風」と呼ばれたこの６８年夏の興南４強に始まり、７６～７８年夏には豊見城が３年連続で８強入り。９０、９１年は沖縄水産が２年連続で夏の決勝に進んだ。

沖縄県勢は更に２０１０年（（平成２２年）にその興南高校が島袋投手を擁して春夏連覇を遂げた事も記憶の片隅にある。

今や沖縄県の野球は全国の強豪てある事は言うまでもない。

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奇しくも、この夏にその甲子園で岩手県代表の盛岡大学付属高校と沖縄県代表の沖縄尚学高校が激突し、投手戦の末、盛岡大学付属高校が４-０であわや完全試合という試合で勝利したことが昨日の事のように思い出される。

さて私が甲子園球場で高校野球を観戦したのは３回ある。

１回目は盛岡一高のあの試合であったが２回目‥これが凄かった。

たまたま、夏休み中で妻の実家が大阪という事から1週間ほどの大阪での

「自宅研修務」（今はもうないだろう）が許され、小学生だった長男と次男を連れて甲子園に出かけたことがあった。

その日は午前中の１回戦で岩手県代表の黒沢尻工業が出場したのでその応援でもあった。黒工は投手も頑張って最後まで接戦を演じたが相手の投手がプロの巨人に入団する投手だったので０-２で敗戦した。

試合が終わったので息子たちにもう帰ろうかと言ったら、次男が宮古で山口ヤンパースという野球少年団に入っていたので次の試合も観たいとせがんできた。

まあ、めったにない機会だからというので次の試合も観戦することになった。

ところが今にして思えば全くの偶然であったが

その試合があのPL学園が甲子園にKKコンビとして初めて登場した瞬間であったのである。

当時、余り、知られていなかったPL学園の試合を

たまたま、準決勝あたりをテレビで観ていたのだが

「ああ、今年はこんなチームが大阪から出るんだなあ」というくらいの印象だった。

ただ、１年生の桑田という投手が決勝戦まで投げ切って大坂予選を突破したことは

大したものだと感じていた。また、PLのチームが甲子園に出場する報告を大阪府の知事に

チームで表敬訪問している姿もテレビで見ていた。

それが、我々の前で甲子園初勝利を挙げ、KKコンビの快進撃が始まったのである。

次男はそれ以来、すっかり野球少年になっていった事は言うまでもない・・・・・。

↑これはネットから頂きました・・マスクでわかるでしょう・・

でもいいなあ・・・子供たちが頑張っている姿を観るのは・・・

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　とりあえずこの項は終わります。

甲子園と面接試験