前回、触れた著作「南部杜氏の源流ー近江商人といわて」の続きを書きたい。

遠野市在住の親友、hamaさんが遠野市にも近江商人の石碑がある事を教えてくれました。

そこで、前掲の本にも近江から来た商人が最初にわらじを脱いだ場所が遠野である事が触れられていたことを思い出した。そこにはこう書かれている。

盛岡の近江商人の三始祖の始まりとなる村井新七が

同行者二人と共に南部の地に赴いたが遠野城下に三年間逗留したと書かれている。

それは遠野、大迫、佐比内辺りのそちこちで金の採掘が進んでいたからである。

そこで遠野にわらじを脱ぎ、金の商売を考えたからではないかと推測されている。

しかし、金の採掘は多大な労力と根気が必要であったので、商売としては成り立たないと

考えて新七は他の二人と別れて盛岡を目指したというのである。

さて、近江商人とはどんな存在でしょう。　以下はネットからです

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近江商人（おうみしょうにん、おうみあきんど）または江州商人（ごうしゅうしょうにん）、江商（ごうしょう）は、中世から近代にかけて活動した近江国（現在の滋賀県）出身の商人。大坂商人、伊勢商人と並ぶ日本三大商人の一つである^[1]。現在でも俗に滋賀県出身の企業家を近江商人と呼ぶことがある。通常、近江国外に進出して活動した商人のことを近江商人と言い、活動地域が近江国内に限定される商人は「地商い」と呼ばれて区別された。

「三方良し」の「3」という数字は、何を表していると思いますか？
それは「売り手」「買い手」「世間」です。
この言葉は、現在の滋賀県にあたる近江に本店を置き、江戸時代から明治時代にわたって日本各地で活躍していた近江商人が大切にしていた考えです。
信頼を得るために、売り手と買い手がともに満足し、さらに社会貢献もできるのが良い商売であると考えていました。

彼らは、自分たちの利益ばかりを考えるのではなく、ただ人のためになることを行ってきました。
そうして蓄積していった信頼は、やがて彼らに大きな利益をもたらすことになります。
そこで貯まった利益を、今度は学校の建設や橋の建設に無償で使っていき、社会貢献にも大きく貢献したのだそうです。

今でも、この近江商人が残した「売り手の都合だけではない、買い手のことを第一に考えた商売と商いを通じた地域社会への貢献」を表す「三方よし」は多くの経営者の指針となっています。

　近江商人の流れをくむ日本の企業は西武グループ（創業者堤が近江出身）、高島屋（創業者が近江の高島郡出身）、伊藤忠商事、ヤンマー、繊維業界の日清紡、東洋紡、東レ、ワコール、西川、トヨタ自動車、日本生命、武田薬品、ニチレイ・・・

数え切れない程、そのルーツが近江商人と繋がっている事を知った次第です。

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私の父は明治生まれで実家が商売で失敗したため、小学校を出るとそのまま、

盛岡の商家に働きに出て一生懸命働いて世間にも認められるほどになったのです。

そこで私の母の実家が呉服業を始める時、その婿として迎えられました。

父は懸命に働き、その地方では一番の呉服屋に成長させたことは以前のブログでも触れました。

さて、近江商人は盛岡に根付き、三井、三菱と並ぶ小野財閥にも成長したのです。

でも、この近江商人の「三方良し」という精神は父がいつも口にしていたことを思い出しました。そして、父は幼い私にこう話したことを思い出します。

「お客様あっての商売なのだよ。お客様が喜んで買いに来てくれるような店に

ならなくてはならないのだよ」・・・そしてこんな話もしてくれました。

　ある時、在の方からその地域の顔役が上等な呉服を買いに来たことがある。

　その時、顔役は「もっとマケロ（値段を下げろ）！」と言い張ったというのです。

　父は「この品物はこれで精一杯の値段を付けさせてもらっています。だからこれ以上はまけられません」と言ったというのです。

　すると、その客は怒って「そうか。それなら、この西根五か村の全ての呉服屋でお前さんの言っていることを確かめてやる」と言い残して帰って行ったというのです。

　それから数日してその客が又やってきてこう言ったというのです。

「お前さんが言ったことは全部、本当だった！俺がこの岩手郡の呉服屋をすべて見て回って確かめたら、あんたの店の値段が一番安かった！だから、これからは俺の地域からはみんなお前さんの店で買うよう勧めてやる！」・・・・・

　これが私が嬉しそうに話す父から聞いた本当の話しです。

　父は自分の実家が実は近江商人の流れを汲んでいると話していました。

　幼い私には近江商人とはどんなものかも分かりませんでしたが、父がこの時、

近江商人の「三方良し」という精神を話したような気がします。

　そして、実家の屋号が「こがみ」というのだとも言いました。

その時はその意味も分かりませんでしたが、今、はっきりと分かった気がします。

　「こがみ」は「湖上」である事です。

つまり琵琶湖（こ）の上（かみ）の出身である事です。

　この事を父は心の中で誇りに思い、自らの強い信念と自信にして生き抜いたのではないかと今ではしっかりと思います。

　二級酒「鷲の尾」　

この酒は私が岩手県の高校の教員になって新任の軽米高校に赴任する時、父から「職場に持って行け」と渡されたことを思い出します。

　酒にはあまり関心がなかった頃の私は

「この酒はあまり聞いたことがない酒だけど・・」というと父は

「これは地元、西根町の蔵元で造った美味い酒だ。だからこれを持って行け」

と言った事をまた思い出しました・・・。

　３２年前に亡くなった父の面影が浮かび、思わず涙が流れてきました。

近江商人について