兵農分離から明治の四民平等で九割以上いた農工商と穢多非人は平民となったが、穢多非人は新平民としてあらたに区別されたという

既得権限を奪われた武士は士族となった、地位も名誉も失い西郷隆盛を担いで西南の役という士族の反乱があったが明治政府に鎮圧され士族は衰退した

古い権威の武士が滅亡し新旧が交代した、西郷隆盛は同じ薩摩藩の平民や新平民によって下克上で死んだ象徴的な内戦だったことになる

では明治の薩長藩閥政治は近代的先進的であったのか？徳川家を一切排除し他藩出身も寄せ付けず薩長の平民と新平民のみで政治を主導したという

やがて主要な薩長政治家は特権階級の華族になった、ここでも新旧勢力交代の下剋上を成し遂げたことになる

大正・昭和初期にかけては穢多非人だった新平民の下剋上が始まる

古代から賤民の穢多非人は生まれながらにして言われのない差別を受けていた長い歴史があった、どの時期も全国民の数％ほどの賤民層がいたという

平民ではあるものの新平民として区別されたが近代の皆学義務教育を平等に受け知恵と経済力をもち団結して過去の理不尽な境遇を跳ね返し始めたという

水平社運動や様々な活動で同和地区問題を解消していったのは同和教育の通り

ほんのわずかな一握りの支配者の皇族貴族層とそれよりも少ない賤民がいて九割以上の大半が一般庶民という構成は近代までほとんど変わらず

日本には人が人を支配搾取する奴隷制はあまり馴染まなかったようで数％を維持し極端に増えることはなかった、しかし無くなることもなかったという

かたや西洋や東洋の大陸や朝鮮半島の賤民層はより多かったという、近代の戦乱で特に韓国併合によって朝鮮半島人が戦後大量に本土に移民した

さらに朝鮮戦争を経て日本国内には新平民と在日朝鮮・韓国人が百万人規模になったという

日本国民の数％を占めるに至った新平民と在日外国人が二世・三世の時代になった昭和後期には旧特権階級の華族が絶滅し総中流化した

在日外国人が帰化して日本の公務員や日本企業にも政財界・法曹界にも日本人と同化して下剋上が達成した時期でもある

在日外国人が帰国しないのは日本に在日特権があり居心地がよく、能力次第で下克上が可能だからだという

また朝鮮半島の身分制度は現在も根強く残っているらしく日本より厳しいという、なので在日韓国人は帰省はしても帰国はしたくはないのだろう

成長できたのは新平民や在日外国人の新たな職業として成り立ち発展した戦後のテレビ媒体のメディアを活用できたからだと言われている

振り返ると戦国時代の下剋上で勢力が交代し兵農分離した士・農工商・穢多非人という身分が確立した

近代に入り身分は解放され四民平等となり旧支配者の士族が衰退して資本主義が導入された

旧支配者の士族と平民・新平民のほんの一部の資産家が華族となり新たな特権階級となっていった

戦後の財閥解体によって華族の資本家同族は衰退して民主的な国家を目指した

前時代の新平民だった底辺層は浮上してきた、とほぼ同時期に旧日本領だった移民在日外国人が特権を得て浮上してきた

古来より日本の基幹産業を支えてきた大多数の農工商の一般国民はコツコツと真面目気質は変わらなかったが新平民や在日外国人の左翼的思想にかぶれてきた

近代のデモクラシーや戦後の民主化政策によって穢多非人やアジア他民族の人権地位は向上した、差別根絶の成果はあった

在日外国人問題や思想の多様化は近世の江戸幕府は禁教政策や居留地制度によって回避してきたが、薩長明治政府以降は許容し推奨してきたようだ

しかしあらゆる層や集団でさまざまな新たな基準で優劣序列をつける、という現在も社会問題になっているハラスメントの根底にある差別意識はなんら変わらないように見受けられる

そろそろ現在の価値観や特権は陳腐化衰退し、次の下剋上の時期にさしかかっているのかも知れない

近現代の下克上