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NUS(シンガポール国立大)MBA留学日記

2014年8月から、National University of Singapore(シンガポール国立大学。通称NUS)へMBA留学してきます。
留学に向けた準備、留学中の授業や生活の様子などを、日々つづっていきます。

今日は復旦大学(Fudan University)での最後の授業。そして、MBA最後の授業でした。世界各地から、ここ上海に集った交換留学生たちも、これからそれぞれの国に帰り、新たな道に進んでいきます。MBA生活は、本当に出会いと別れの連続ですが、こうして出会った仲間たちが、それぞれの道で成功するように、そしていつの日か再会できるように、心から祈っています。

授業の後は、ここ上海での盟友とでもいうべき友人が、送別会を開いてくれました。彼とはプログラムが違ったため、同じ授業を受けることはなかったのですが、事あるごとにごはんを食べに行ったり、飲みに行ったり、多くの時間を過ごした仲。忙しい試験シーズンの合間に時間を作ってくれました。焼肉、チヂミ、テンジャンチゲ、そしてソジュ(韓国焼酎)。いやはや、もう飲めません、食べられません。

このアジアという肥沃なマーケットで、協力しながら、切磋琢磨しながら、共に活躍できたらいいな。世の中に役立つ仕事ができたらいいな。ぐでんぐでんに酔っ払いながらも、そんな事を感じた夜でした。

7週間にわたって続いてきたNew Venture Creationの授業が終わりました。今日も各グループから、ビジネスプランの発表。今そこにある、顕在化したニーズに着目した提案も多く、「こんなサービスあったらいいな!」というビジネスもいくつも見られました。

中でも、目を惹いたのが、中国在住の外国人(学生、駐在員の家族)と中国語教師をつなぐプラットフォーム。中国に暮らす外国人にとって、中国語の習得は必要不可欠。これまでも、大学などの教育機関、私立の教育機関、個人レッスンといった形で、中国語クラスは提供されてきました。ただ、大学などはプログラムの融通が利かず、私立の教育機関はべらぼうに高い(駐在員やその家族は会社負担で学費が出る場合が多く、価格設定もそこをターゲットにしている!)。個人レッスンは、人づてに探すことが多く、手間がかかる。どれも一長一短といったところでした。既にいくつかのプラットフォームはあるものの、どれも幅広く認知されているとは言い難いのが現状で、講師のクオリティに対する不安も拭えません。

実際、クラスメートと話をしていても、「中国語のクラスを探したけれど、いいのが見つからなかった」という声が圧倒的。個人レッスンの講師を見つけたクラスメートも、「良い講師を見つけるのはなかなか手間がかかった。結局、人づてに紹介してもらった」といった話をしてくれました。ここに、大きな「Unmet Needs」あり、といったところですね。

今回は、中国在住の外国人と中国語の講師をつなぐプラットフォームでしたが、日本でも、Rarejob(日本の英語学習者とフィリピンの英語講師をつなぐ)、Talk China(日本の中国語学習者と中国の講師をつなぐ)など、オンライン語学教育のプラットフォームが盛んです。語学教育は、それなりの市場規模もあり、プレイヤーも多数いる一方、まだまだ利用者の既存サービスに対する不満が数多く残る分野。飽和状態に見えるマーケットにも、実はたくさんのビジネスの種が眠っているのかもしれません。

さて、そんな授業の最後に教授が共有してくれた言葉から、いくつか印象に残った部分を。

Find and treasure your passion
Take calculated risks, especially when you are young
Keep learning, keep thinking, and keep doing

1秒歳を重ねる度に、1秒機会を失っている。もちろん、むやみやたらにリスクを取ることは避けなければいけないけれど、取るべきリスクは積極的に取ってほしい。そして、細部にこだわり、How(どうやるか)の議論に終始して動かないのではなく、What(何をやるか)、Why(なぜやるか)、When(いつやるか)、Where(どこでやるか)を議論して、実際に行動してほしい。そんな言葉を寄せてくれました。どれも、心に響く言葉ですね。

上海生活も残すところあと数日。上海蟹、北京ダック、フカヒレなど、中国に高級料理は数あれど、やっぱり食べていていちばん落ち着いて、いちばん心温まるのは庶民の味。きっといつか、この上海留学を振り返ったときも、思い出すのは街角の食堂で食べた小籠包や、ワンタン、生煎、麻辣湯の味、そして活気あふれるお店の様子なのかもしれません。









私が日本人だからかもしれませんが、アジアでの留学を選んで良かったと思う理由の1つが食。シンガポールでもそうでしたが、ここ上海でも、食べ物に全く不自由することなく、留学生活を謳歌しています。唯一の悩みといえば、食べてばかりで体重の増加傾向に歯止めがかからないことでしょうか。とりわけ、「小吃」と呼ばれる軽食類は魅力的で、日々食べ過ぎとの葛藤に苦しんでいます(笑)。これが欧米に留学していたら、今頃だいぶ、日本食が恋しくなっていたことでしょう。

欧米からの留学生と話をすると、「中華も美味しいけど、ずっと食べ続けるのはちょっと」とか、「メニューを見ても何だかわからないし、レストランに入りにくい」とか、いろいろ悩みを抱えている様子。上海は国際都市だけに、食べ物の選択肢は豊富ですが、それでもやはり、食は日々の生活に直結するだけに、なかなか悩みは尽きないですね。

アメリカ、ヨーロッパなど、たくさんあった選択肢の中から、私は交換留学先として、Fudan University(復旦大学)を選びました。8月に上海にやって来て、1カ月の中国語クラスを経て、9月から始まったMBAプログラム。それもあと数回の授業を残すのみ(その後にレポート課題の提出が残っていますが!)。そんなわけで、今回は復旦大学のMBAを振り返ってみようと思います。

【ロケーション】
上海は中国最大の都市であるだけでなく、アジアを代表するビジネスセンターの1つです。中国経済のダイナミズムや、中国ビジネスの中で起こっているイノベーションを感じられる場所ですし、グローバル企業の中国戦略、アジア戦略に触れることのできる場所です。また、上海は外国人にもとても住みやすく(大気汚染もそんなにひどくない)、上海からは他の観光地へのアクセスも容易で、ロケーションは大満足です。復旦大学は、上海の郊外にあるのですが、都心から遠すぎず、近すぎず、程よい距離。学校周辺には、五角場という繁華街もあるので、必要なものは学校周辺でたいてい揃います。

【教授陣】
ビジネススクールの教授陣は、ほとんどが欧米の大学でPhDを取得しています。なので、程度の差こそあれ、英語での授業に大きな問題はなく、考え方も比較的リベラルで、中国的な視点と海外からの視点をうまく組み合わせている方が多い印象です。アカデミア側の教授陣については、今のところ可もなく不可もなく、といった印象ですが、実務家出身の教授は、その経験値、授業の質ともに高く、かなり満足しています。

【クラスメート】

中国人クラスメートは、グローバル企業などで働いている(働いた経験を持つ)学生が多く、考え方も開放的で、議論がしやすい印象です。起業経験を持つ学生も多い気がします。ただ、授業やグループワークへの熱意には大きな個人差があり、かなりの確率でやる気のない学生がいます。最小限の労力で、最大限の成果(ディグリーの取得)を目指そう、という意識が見受けられ、少し残念な気がします(特にパートタイムの学生)。また、グローバル企業で働いている人たちを除くと、中国人学生の英語の運用力は、全般的に低め。英語でのプログラムとはいえ、グループワークなども、普段は中国語で済んでしまうことが多いためかもしれませんね。もちろん、上海外大を出て、中英日韓のマルチリンガル、なんていう学生もいるので、個人差は大きいのですが。

ちなみに、このブログでも何度か書きましたが、留学生は欧州勢が大半。アメリカはかなり少なめで、アジア勢は韓国人が多く、日本人はほとんどいません(今は私しかいません)。

【総合】
個人的には、教授陣のクオリティ、学生のクオリティなど、様々な面で、母校のNUSの方が復旦大学より優れているかな、という印象です。ただ、中国市場、さらにはその中心地である上海のダイナミズムを直接体感できる点や、実際のビジネスとの近さなどは、ここ復旦大学の方が誇れる部分かな、と思います。また、北京にある清華大学などと比べると、世界的なビッグネームの来訪などはないかもしれませんが、一方で、実際のビジネスに直結する起業家などは、頻繁に復旦大学にやってきますし、より実践的な大学といえるかもしれません。

先日、帰国するクラスメートの送別ということで、授業のあと仲間で飲みに行ってきました。この日は、リトアニア人、スウェーデン人、日本人、中国人という組み合わせ。




社会福祉制度、介護問題、税制など、様々な話題が出たのですが、やはり盛り上がるのが恋愛や結婚の話。リトアニア人クラスメートが、もう7、8年ほど一緒に暮らしている彼女がいる、という話に、中国人クラスメートが「なぜ結婚しないの?」と突っ込み、話が弾みました。

「結婚」の法的関係を重要視する中国に対し、ヨーロッパではいわゆる事実婚のパートナー関係も一般的。中国人クラスメートにしてみると、結婚は家と家との関係であり、また法的な裏付けがあることで、義務や責任が生じて、関係が担保される、という考え方。一方、ヨーロッパ人的には、法的な関係があろうとなかろうと、共に暮らすパートナー、家族であることに変わりはないし、リスクも法的関係の有無で変わらない、といったことを言っていました。

日本でも、最近は事実婚という道を選ぶカップルも出てきていますが、ごく少数派。日本では、法的関係の有無でまだまだ様々な行政手続などに差が生じてしまう現実もありますね。

ちなみに、日本で事実婚を選ぶ理由の多くが、夫婦別姓の問題に起因すると説明しますしたところ、「姓を1つに決める制度のせいで法律婚ができないなんてナンセンス!」といった反応。ちなみに、中国や韓国は歴史的に別姓(というか同じ姓になれない)。欧米は国によって違いはありますが、概ね選択制(同姓も別姓も選べる。あるいは、両方をつなげて使うパターンも)。

さらには夫婦の家事分担のあり方など、議論は大いに白熱して、それぞれの国の結婚観を知る良い機会になりました。