僕はバイクに興味がない。車もまた然りである。
維持費がかかりすぎるので貧乏人の僕にはまるっきり縁が無いと言った方が正確だろう。
ただ僕の貧乏は後天的なもので、何も昔からずっと貧乏だったわけではない。
ひとり暮らしを始める前まではそれほどお金に困ることもなかったし、高校時代から数えてバイクも3台買い換えた。
その時も特にバイクに興味がある訳ではなかったが、バイトに乗って行ったら楽だし、たまには彼女を乗せて遠くに出かけるのも楽しいかもしれないと思ったからだ。
同年代の友達の間では改造して自分好みのカスタムを楽しむのが主流だったが興味のない僕には単なる移動手段でしかなかった。
それから数年後、交通法が改正されて原付より排気量の高いバイクは全て車と同じ条件で取り締まりを受けることとなった。
黄緑色の制服を着た取締官が朝から事務的に路上駐車の車体に黄色いステッカーを貼っていく。罰金9000円也。
当時僕は実家からかなり離れた市内でバイトをしていたので毎日通勤に使っていたので短期間に6回も取り締まりを受けてしまった。
ステッカーに記された電話番号に電話をして「じゃあどこに置けば取り締まられないんですか?これからそこに置きますので教えて下さい。」と言った。
すると散々たらい回しにされた結果「いやぁ確かに置く場所はないのが現状ですけどねぇ~とにかくそこには置かないで下さい。」と返ってきた。
滅多なことには怒らない菩薩のような僕もさすがに血が逆流するのを感じた。
「絶対払わへんからなボケェ!!」と怒鳴って通話を終了したのだが、ただ法を執行するだけの彼らに怒鳴っても無意味なことはわかっていた。
車にも原付にも属さない中型のバイクは常に少数派であり、自転車のように道の脇に停めることも許されず、車のようにコインパーキングを利用することもできない。
正解のない穴ぼこだらけの法律に憤慨しつつ僕はバイクを手放すしかなかった。
それから約2年近く罰金の請求書が実家に送られ続け、それでも無視を決め込んでいた僕はとうとう口座を差し押さえられたのだった。
すでにひとり暮らしを始めていたので毎月虫の息で給料日を迎えていた僕はその日残高を見て愕然とした。その時は親に泣きつくしかなかった。
今でこそ高い授業料だったと振り返ることが出来るが、あの時感じた憤りをもう一度味わいたくないという気持ちから僕の免許証はただの身分証明書になり、もちろんゴールドである。