※主要人物 私・まる・クロ・ぴーちゃん

 

 

 

その体験をしたのは、私が小学生の頃。

 

修学旅行で日光に来ていた。雨が降ったり止んだり…梅雨真っ只中。

 

宿泊した旅館は「日光東観荘」。到着した時は小雨程度で、私たちはレインコートを着てぞろぞろと入っていく。

 

夕食をとり、レクリエーションをし、興奮半分、疲れ半分で部屋に戻っていく。

 

23:00、消灯時間になっても、もちろん夜更かし。

 

私の部屋は女子の10人部屋で、仲良しのまる、クロ、ぴーちゃんと普段はあまり関わらない子たち6人。

 

 

つまり。

 

 

「では早速…」

 

「(全員、ニヤニヤ)」

 

「好きな子っている?😁」

 

 

きたー、女子部屋ならではの話題。気になる!!

 

 

「じゃあさ、みんな一人ずつ言ってこうよ。いるかいないか。」

 

「その人の名前も言って!修学旅行だし!!」

 

その理由はよく分からん…けどまぁ、いっか。

 

私:「いるよ。Aくん。」

 

「わあぁぁぁ!🥰モテるよねAくん!イケメンだし!」

 

 

 

まるちゃん:「私もAくん好きだけど。」

 

 

 

…だよね〜!!見てたらわかるもん!もしかしたらって思ったけど、まじかぁ。

 

 

 

まるちゃん:「言っとくけど負けないから。」

 

 

 

「おぉぉぉぉぉ!!(拍手喝采)」

 

…だから嫌なのよ!この人敵にまわしたくないのに!!!

 

 

 

 

 

時間は過ぎ、0:00頃。

 

起きているのは、私、まる、クロ、ぴーちゃんだけ。

 

布団の配置は入り口ではない両側の壁に足を向けて寝るように、5人ずつ、部屋の中心線に頭が集まる形。

 

うつ伏せで顔を寄せ合って

 

修学旅行楽しかったね〜、明日も雨らしいよ〜、最悪〜。

 

なんて、話していた。

 

クロ:「ここの旅館さ、あるらしいね。」

 

私:「あー知ってる〜男子が調べたって言ってたよ。」

 

ぴーちゃん:「怖いね〜」

 

まる:「しかもこの階の部屋。」

 

 

 

「…え?」

 

 

 

 

 

まる:「だってほら、揺れてるじゃん」

 

 

 

 

 

まるが私の背後を指差す。ばっと振り返ると、

 

 

壁にかかった花の絵がゆらゆらゆらゆら…

 

 

窓は開いていない。風もない。天井から吊るされた電気も揺れてない。

 

ぴーちゃん:「えっ…えっ、え??」

 

私と同時に振り返ったぴーちゃん、大困惑。

 

 

まじか。

 

 

まる:「パンフレットに書いてあったよ。起きるっていうの。」

 

私:「やばやばやば…」

 

ジリジリと後ずさる。ぴーちゃんも後ずさる。

 

まる:「大丈夫だよこれくらい。何もしてこないって。」

 

クロ:「すごーい!!初めて見たー」

 

冷静すぎだろ。もっと怖がれや。こちとらホラー苦手なんじゃ!!

 

 

クロ:「てかもう1:00じゃん。さすがに眠くなってきた…」

 

 

その晩はまるとクロの間に横入って寝た。ぴーちゃんも。7人と3人並び。流石に狭かった。

 

結局2:00まで話していた。少し興奮した気持ちと、明日寝不足確定だな〜というため息と。

 

翌日。隣の部屋だった男子7人に聞いてみた。昨夜何かなかった?

 

 

 

 

 

「2:00ぐらいに部屋の入り口からドンってロケット花火みたいな爆発音がしてさ。見に行ったんだけど何もなかったわ。俺ら二人は起きてたんだけどさ、あの音で起きないお前らやばくね?」