悟ったような顔で目を背ける大人
自分の責任ではないと知らんぷりする若者
無邪気に夢を見る余地を奪われた子供
誰もが自分の「日常」を生きるのに精一杯で
テレビの向こうの煌めく悲劇も無惨な喜劇も他人事
「世の中では云々」
「がんばれ東北」
「忘れないことが大切」
善意も悪意も全て仮面
世渡り上手は素顔を見せない
多面的な人こそ愛され
しかし孤独でもある
半年前の緊張も既に色褪せた
鮮やかなるはただ液晶の画面のみ
互いに一定の距離を保って
ぬるい関係に蕩けてゆく
「自分」という領域の境界線
そのラインを絶対に越えることのない
ゴシック体の仲間に安堵す
線の内側こそが虚像と気づかぬままに