生命のために恋は棄てない。お退き、お退き。
【あらすじ】
三国嶽の麓の里にある夜叉ヶ池には龍神・白雪が棲んでおり、池を離れると水が溢れ里はたちまち水底に沈む。
池に留まる約束を思い出させるため、明六つ、暮六つ、丑満つに鐘を鳴らさなければならない。
現在鐘撞きをしている萩原晃は妻の百合と慎ましく暮らしていた。
しかし、里の村人たちは龍神との約束鐘は迷信だと言い、晃の鐘撞きを止めて雨乞いを望む。
そして白雪も剣ヶ峯の千蛇ヶ池に棲む主に恋をしており、夜叉ヶ池を離れたがる。
白雪を必死に止める池の者と、約束を守ろうとする晃たちだが……。
【感想】
もともと泉鏡花といえば夜叉ヶ池という見識だったのですが、めいこいで結構重要になる作品だったので、読んでみようと岩波文庫を購入。
戯曲だけあって、読んでるうちに声に出してみたくなりました。時代がかっていても、言葉に力があるのを感じます。
一番読んでて盛り上がったのは、やっぱり恋に焦がれ狂う白雪。冒頭で書いたセリフが一番好き。
最後に白雪も元は人間で、龍神になった経緯がわかると、当時も今も村人たちの身勝手さが腹立たしい。でも、自分が村人側にならないという自信もなく、人間という存在のなんと勝手なことか…っていう皮肉も感じました。
岩波版では「お退き」のルビは「おどき」になってましたが、めいこいでは「おのき」って言ってるように聞こえたんですよねー。他の出版社だとルビが違うのかしら。
めいこいの女性声優さんの演技に迫力があって、そっちの白雪も好きでした。
鴎外ルートで鏡花ちゃんが歌ってた「出る化け物の数々は~」も夜叉ヶ池に出て来る歌だったのね。
文豪作品始め、名作は漢字の開き方や、ルビの振り方に、出版社ごとの特徴があるような気がする。
私なりの難易度は
岩波>筑摩≧新潮社>角川
で、大体が新潮社でたまに筑摩というのが自分のレベルだと思ってます。
岩波は憧れだけど、結構な背伸びが必要。
でも今回、夜叉ヶ池も天守物語もスラスラ読めたので、岩波コンプレックスがちょっと解消されたかも。
天守物語の感想もそのうち書きます。
2016.4.16 12時30分 2列30番
決して泣いてはいけないよ 涙は邪魔なものだから
決して触れてはいけないよ 心が動いてしまうから~♪
【あらすじ】
砂刑歴93年、砂に覆われた世界で漂流する巨大な島「泥クジラ」。人口約五百人。九割の感情を元に超能力「情念動(サイミア)」を使える「印(しるし)」とサイミアの力を持たない一割の「無印(むいん)」が共に生活していた。
印は短命で30歳前後で命を終える。長命な無印たちが首長となって政治を執り行っている。
主人公・チャクロは印でありながらサイミアの扱いが下手で「デストロイヤー」と呼ばれている。「過書(ハイパーグラフィア)」という文字を書かずにはいられない病を抱え、泥クジラの歴史を書き残す記録係を務める14歳の少年。
ある日、泥クジラが漂着した別の島でリコスという少女と出会ったことから、泥クジラの運命が急変。「帝国」の軍隊の襲撃に遭い、平和だった泥クジラは戦場となった。
自分の知らない外の世界、泥クジラが漂流を続ける理由、印が短命である原因は?
恋も、友情も、死も。
すべて巨大なクジラの上で。
【感想】
梅田阿比さんの同名漫画の舞台化。
予習派なので6巻まで読んで臨んだ訳ですが、まず漫画の時点で各巻必ず泣きました。
繊細で柔らかいタッチでファンタジーな世界が描かれているのに、展開やセリフの一つひとつがずっしりと重く、全員に感情移入してしまう。
一番好きなキャラがなかなか決められず、敵にも嫌いなキャラがいない。
すっかり原作自体のファンと化しつつ、舞台観劇。
冒頭の歌詞はオープニングの「スナモドリ」なのですが、この曲と演出が物語の展開全てを語り尽くしてる感じで、オープニング早々に泣く。
戦争だから当然人が死んでいくんだけど、その死に際の願いや、残された側の思いまで丁寧に再現されてて素晴らしかった。
原作読んだせいで「この後あの人がぁ~!」みたいなフライングで涙を流し、その場面になって滝のように涙を流し。
八割方泣きながら観てた気がする。泣き虫主人公チャクロもかくやな感じで泣きました。
登場人物がそれぞれ「多分人には理解されない」ってわかってる孤独な部分を抱えてて、でもそれ以上の強い優しさで持って戦ったり相手を許したりしてる所が魅力的。
一番感情移入したのはオウニ。ニビとオウニのツーカーからの流れがたまらん。
中学時代が人生で一番辛くて「感情さえなければ、こんなに苦しくないのに」と思ってたのを思い出した。
今は「悲しいことがあるから、喜びも感じられる」と思えるけど、帝国の感情を排除させて統率する考え方もわからなくはないなって。
感情の価値、自分の存在意義。
ありとあらゆる哲学的問いの答えを、命を掛けて探し続ける冒険譚でした。
決して泣いてはいけないよ 涙は邪魔なものだから
決して触れてはいけないよ 心が動いてしまうから~♪
【あらすじ】
砂刑歴93年、砂に覆われた世界で漂流する巨大な島「泥クジラ」。人口約五百人。九割の感情を元に超能力「情念動(サイミア)」を使える「印(しるし)」とサイミアの力を持たない一割の「無印(むいん)」が共に生活していた。
印は短命で30歳前後で命を終える。長命な無印たちが首長となって政治を執り行っている。
主人公・チャクロは印でありながらサイミアの扱いが下手で「デストロイヤー」と呼ばれている。「過書(ハイパーグラフィア)」という文字を書かずにはいられない病を抱え、泥クジラの歴史を書き残す記録係を務める14歳の少年。
ある日、泥クジラが漂着した別の島でリコスという少女と出会ったことから、泥クジラの運命が急変。「帝国」の軍隊の襲撃に遭い、平和だった泥クジラは戦場となった。
自分の知らない外の世界、泥クジラが漂流を続ける理由、印が短命である原因は?
恋も、友情も、死も。
すべて巨大なクジラの上で。
【感想】
梅田阿比さんの同名漫画の舞台化。
予習派なので6巻まで読んで臨んだ訳ですが、まず漫画の時点で各巻必ず泣きました。
繊細で柔らかいタッチでファンタジーな世界が描かれているのに、展開やセリフの一つひとつがずっしりと重く、全員に感情移入してしまう。
一番好きなキャラがなかなか決められず、敵にも嫌いなキャラがいない。
すっかり原作自体のファンと化しつつ、舞台観劇。
冒頭の歌詞はオープニングの「スナモドリ」なのですが、この曲と演出が物語の展開全てを語り尽くしてる感じで、オープニング早々に泣く。
戦争だから当然人が死んでいくんだけど、その死に際の願いや、残された側の思いまで丁寧に再現されてて素晴らしかった。
原作読んだせいで「この後あの人がぁ~!」みたいなフライングで涙を流し、その場面になって滝のように涙を流し。
八割方泣きながら観てた気がする。泣き虫主人公チャクロもかくやな感じで泣きました。
登場人物がそれぞれ「多分人には理解されない」ってわかってる孤独な部分を抱えてて、でもそれ以上の強い優しさで持って戦ったり相手を許したりしてる所が魅力的。
一番感情移入したのはオウニ。ニビとオウニのツーカーからの流れがたまらん。
中学時代が人生で一番辛くて「感情さえなければ、こんなに苦しくないのに」と思ってたのを思い出した。
今は「悲しいことがあるから、喜びも感じられる」と思えるけど、帝国の感情を排除させて統率する考え方もわからなくはないなって。
感情の価値、自分の存在意義。
ありとあらゆる哲学的問いの答えを、命を掛けて探し続ける冒険譚でした。
肝心なのはね、善人ぶらないという事よ。
【あらすじ】
頭の良い優等生の清人、強くて硬派な哲也、優柔不断で八方美人のナオキ、女の子のように可愛らしく心優しいノノ、幼馴染みの少年四人の成長をナオキの目線で語る青春小説。
ノノは見た目が可愛いだけではなく、心まで女の子の性同一性障害。成長が進むごとに様々な壁にぶつかり、その度に三人はノノを救おうと奮闘する。
ねぇムーミン、分かるかい?
僕たちはみな、誰もが幸福になりたくて、そしてそれは必ずかなえられる。
【感想】
私の読書人生でベスト3に入る程好きな作品。
ノノだけではなく、登場人物それぞれが他人には言いたくない「後ろめたさ」を抱えているのが良い。そしてソレを誰かが「それもひっくるめてあなただ」と肯定してくれる。
私は冒頭に書いたナナコさんの言葉に救われた。自分が偽善者であるという自覚があったから「偽善者で良い」と許して貰えた気がした。
著者が脚本家なので、会話のテンポが良くてサクサク進む。
仕草や言葉の言い回しの一つ一つが印象的。
ノノを含め女性陣が精神的強さを持っていて非常に格好良い。
ちなみにスヌスムムリクとは、ナオキの憧れるムーミンキャラクターの本名。
この本を読んでから、講談社のムーミンシリーズを読むようになった(笑)
自分が好きになれない人に読んでみて欲しい。
【あらすじ】
頭の良い優等生の清人、強くて硬派な哲也、優柔不断で八方美人のナオキ、女の子のように可愛らしく心優しいノノ、幼馴染みの少年四人の成長をナオキの目線で語る青春小説。
ノノは見た目が可愛いだけではなく、心まで女の子の性同一性障害。成長が進むごとに様々な壁にぶつかり、その度に三人はノノを救おうと奮闘する。
ねぇムーミン、分かるかい?
僕たちはみな、誰もが幸福になりたくて、そしてそれは必ずかなえられる。
【感想】
私の読書人生でベスト3に入る程好きな作品。
ノノだけではなく、登場人物それぞれが他人には言いたくない「後ろめたさ」を抱えているのが良い。そしてソレを誰かが「それもひっくるめてあなただ」と肯定してくれる。
私は冒頭に書いたナナコさんの言葉に救われた。自分が偽善者であるという自覚があったから「偽善者で良い」と許して貰えた気がした。
著者が脚本家なので、会話のテンポが良くてサクサク進む。
仕草や言葉の言い回しの一つ一つが印象的。
ノノを含め女性陣が精神的強さを持っていて非常に格好良い。
ちなみにスヌスムムリクとは、ナオキの憧れるムーミンキャラクターの本名。
この本を読んでから、講談社のムーミンシリーズを読むようになった(笑)
自分が好きになれない人に読んでみて欲しい。