某社のエグゼクティブとビジネス・ランチで情報交換。
先方が指定されたレストランは、丸ビル35階のサンス・エ・サヴール で、久しぶりの来訪だ。

ひらまつグループのこのモダンなフレンチ・レストランは、眺望が良いのが大きなセールスポイントであるが、料理もきわめて現代的だ。見た目がとても美しく、料理のプレゼンテーションは、銀座から渋谷方面を一望するパノラマビューに負けず劣らず視覚的にも十分に楽しませてくれる。

平日のランチコースは、3,800円から8,000円まで3種類が用意されているが、お互いに(彼だけかもしれないけど)忙しいビジネスマンで、時間もないので、一番簡単なプリフィックスをオーダー。

サンペレグリーノで喉を潤す間もなくアミューズとして、フォアグラの一口コロッケが運ばれてきた。本当に一口サイズであっという間に喉の奥に消えて行ったが、フォアグラのテイストは十分に堪能できる。

アミューズの2品目はブイヤベースの冷たいムース。ブイヤベースの魚介類で、むっちりと濃厚な味わいであるのに、軽い食感に仕上がっているのがこの店の特徴かもしれない。

パンは全粒粉を使用しているようで、きちんと暖めてサーブされる。バターがなくてもきちんと味わいがある美味しいパンであり、バターをつけると口に運ぶ作業が止まらなくなる。

そして前菜は、「車海老とパンチェッタのポワレ モッツアレラとジャガイモのクロケット、ロメーヌレタスのソテー カレー風味のラビゴットソース」。3種類の前菜が細長いプレートに乗せられてサーブされたが、ひとつひとつのポーションは、可愛い一口サイズ。サイズは小さいが、ひとつひとつはスイスの機械式時計のように緻密に作られている。どれもおいしい。

メインは、「タスマニア産サーモンのグリエ ラタトゥイユのタルト仕立て、バジル風味のベアルネーズソース」。鮭のグリエは中がレアの状態となっており、良い火加減だった。まさに良い塩梅といった塩加減。これに軽い味わいのバジル・ソースをつけて食べてもなお美味しい。

デセールは「アールグレイのエスプーマ、蜂蜜のビスキュイとチュイルショコラ抹茶のグラスと共に」
つまりはアールグレイのムースに抹茶アイスがついているのであるが、ムースはとても軽く滑らかな口当たりで、抹茶のアイスとの相性は良かった。このデセールも立体的なプレゼンテーションはさすがだった。

食後の飲み物にはカプチーノをいただき、90分のランチが終了。会話を挟まずに少し急げば、十分に1時間でこなせる程度のポーションだろう。

難を言えば、すべての皿の味わいが軽さを身上としているせいで、上記のコースではどっしりとした食後感に欠けることか。以前に5,000円のランチをいただいたときは、もう一皿多かったこともあり(そのため、もうひとつパンを余計に食べた)、満足感は高かったが、これは時間との関係で致し方ないか。やはり時間に余裕をもって、5,000円のコースをいただくべきレストランなのかもしれない。

最後に、長谷川幸太郎シェフが挨拶に出てきてくれた。先日のミシュランで☆がつかなかったことをとても気にしてた。「同じビルの36階にあるモナリザが☆を獲得しただけに、ビルの中だからと言い訳ができないんです~」、としょげていたが、来年の☆獲得に向けて気合を入れていた。ミシュランにはあまり☆を乱発して、予約が取り難い店を増やして欲しくないのであるが。

サンス・エ・サヴール
東京都千代田区丸ノ内2-4-1 丸の内ビルディング35F
03-5220-2701