やっちが面白い話をしてくれたから、ボクも一つ!

あれは何時だったかなあ~。ずっとずっと前。友達が入院しちゃってボクはお見舞いに行ったんだ。お見舞いと言っても、ボク、その時はお金全然ないからただ顔を見せに行っただけなんだけどね(笑)友達は今で言う熱中症ってヤツで運び込まれたんだけど、入院して数日で元気になっちゃって、心配もほとんど無かったんだけど一緒にやった検査の結果でナンカの疑いとか言って念のため入院してた。まあそのあと結局何にもなかったんだけどね(笑)

退院する時に暇だから立会に行くことになったんだけど、ボクは行く時間が遅かったらしくてもう病室に居なかったんだ。(よく考えれば何にも病気が無いんだから、退院するの朝だったね(笑)ササッと帰れる(笑))

ボクは看護婦さんに友達の事を聞いたら一足違いで出ていったからまだ院内にいるんじゃないかって聞いて探し歩きながら入り口まで戻った。病室は一階だったから入り口までのルートは限られていたんだけど、ボクはとうとう友達を見つけられないまま病院の入り口に着いてしまった。帰っちゃったのかなあ…って思いながらとりあえず病院入り口の受付ロビーのソファーに座った。

暑い夏で外は蝉がよく鳴いていた。その声が病院の中に響いて聞こえるほど病院は静まり返っていた。受付にはいつものように物静かでキレイなお姉さんがいたけど患者さんは全然いなくて。大きな病院だけどこんな日もあるんだなあ~…って不思議に思いながらも無意識に、よしっ、もう一回探してみようって思ってボクは病院散策を始めたんだ。

少し歩き出すと検査をするための部屋が並んだ廊下に出た。ここは病室からも入り口からも離れていてその日は検査が全く無かったらしくて人気も全く無かったんだ。そんなだし昼間だからっていうこともあって廊下の電気は点けられてなくて…窓も陽と向き合ってない位置に廊下があるらしく真っ暗は言い過ぎだけどかなり暗い感じだったね。そうそう、雷雲に覆われたような夕方のように暗かった。

でも突然

「nちゃん!」

ってボクを呼ぶ声が突然したんだ。ボクはてっきり友達がボクを見つけてくれたんだ!って思って呼ばれた方向を見た。





でもいないんだ。向いた方向は病院の裏口の一つに続く細い廊下の接続口だったんだけどね。
ひょっとして、曲がり角にに隠れたのかな!?って思ってちょっと歩いて確かめたんだけど、裏口まで続く廊下には誰もいない。

あれ、おかしいなあ…聞き間違いだったのかなあて思って呼ばれたところまで戻ってまた検査用の部屋が並ぶ廊下に入った。

再び歩きだそうとするとまた








「nちゃん!」



って呼ばれた。振り返ればまた同じ細い廊下からだった。誰もいない。ボクはからかわれていると思ってまた細い廊下に走った。すると裏口の扉が開いてるの。ちょっと。

ああ、なるほど、外に隠れてたんだと思ってボクも外にでたんだ。扉を出るともうその瞬間に南国に来たような暑さで…。まあ行ったことないんですけど(笑)

でも、そこにもいない。裏口って言っても外に出れるだけで、少し歩けばまた行き止まりになって病院の別の裏口に繋がってるだけなんだけどね。

でも、その途中に奇妙なモノ…でもないか(笑)比較的珍しいモノが落ちてたんだ。








それは千羽鶴。







ちゃんと数えたわけじゃないけど、かなりの数の折り鶴がいたから千羽鶴だと思う。ちゃんと折り紙で折られた鶴もいればチラシで折られた鶴もいた。途中からはただの白い紙で折られた鶴が続いて終わっていた。

ボクは不思議に思った。とりあえず折り鶴よりも友達を見つけようと行き止まりの扉を開けようとノブをひねったら、鍵がかかってる。内部からかけられたか…って悔しがって扉のガラスを覗くもそこには折り畳まれたベッドがぎゅうぎゅうに並んでた。ああ…、そうだ。そう言えばここの裏口はベッドで塞がれてて…行き来は出来ない…。

ボクはノブを離した。手の平が灰色になって同時にノブはステンレスの輝きを取り戻していた。このノブ、ここ最近、誰も触ってない…?

そこでようやく気がついたボクはためらうことなく話しかけた。







「千羽鶴くん!何か用かね!?」



千羽鶴は答えなかった。ボクは千羽鶴を拾い上げて様子を見てみる。何のヘンテツもない鶴たち。ただ、始め折り紙で中盤からチラシ、最後の辺りはただの真っ白な紙というのが気になったんだけどグラデーションとしてそう言うのもアリかな~と思った。






「違う」


吹いた一筋の風がボクにそう言った。何が、違うの?…いや、わかった。それはボクが考える。