2次面接3社目、大手改修業者のあるオフィスビルに向かった。

前回と同じ面接官に加え、この日は自分より一回り以上若そうなキリッとした常務が参加した。

前回と同じく簡単に今までの職務内容を質問された後は業界関連の雑談で、途中で常務は退席したが、面接官は終始和やかな笑顔で会話は弾んだ。30分も話し込んだところで、改めて条件提示をされて、いついつまでに答えが欲しいと言われた。


条件は前回提示されたのと同じ年収750万で、役職のことは何も言われなかったので多分平社員だろう。

ここに来てのキャリアダウン、役職がなくなって給料もちょい下がり。


「ま、そんなもんだろう」


と大して深く考えず、検討して返事しますと伝え、いつも通り少しのぼせてフワフワした気分で面接会場を後にした。


しばらく歩いたところで立ち止まり、振り返って面接会場のあった最上階を眺めると、懐かしいやら虚しいやら複雑な気分になった。


「面接会場があるこの立派なビルは自分が学生の頃に出来たんだよなぁ。」


実はこの会社のある街は20代の頃よく遊んでいた街で、あの頃は将来の不安などなく、いつか大物になってやるなんてなんの根拠も努力もなく思っていた人生超舐めプ野郎だった。その後大物どころか人生最底辺まで転げ落ちることになったわけだが。


「大物は無理でも、取り敢えず中物ぐらいにはなれたのかな?」


なんて考えていると、ふと思い出した。

「この裏は確か…」

少し早歩きで歩いてきた方向を戻り、面接会場のビルの裏側に回り込んだ。


この面接会場はハロワ帰りに職質された公園のすぐそばだった。

前回の面接は職務経歴書を書いていた街だったが、今回はそれより前の就職活動を始めた街だった。


特に何も考えず会社選びをしたのだが、スタート地点巡りをしてるようだった。ろくでなしだった自分を自嘲しつつも、ここまで社会復帰出来たことを勝ち誇った気分でその日は家路についた。