4月から子どもたちが2人とも働き始めました。それぞれに自分の道を見つけ、自分たちのペースでゆっくりと、でも確実に歩んでいる様子がとても頼もしく感じられます。
社会人としてはまだまだ未熟だと思いますが、周囲の方々に見守っていただきながら、成長している最中なのではないかと思っています。
先日、お盆で帰省した弟と話していた時に、「将来のために、(子どもたちが)何を身につけておいたら一番良いと思う?」と聞かれました。私は、自分の子どもたちや、相談に来てくれた若い方たちから私が教わったことを振り返りながら、「何かを見つけてチャレンジできるだけの自信と、やってみたことから学ぶ力かな」と答えました。
私は、新しいことを見つけてチャレンジするには、沢山の要素が関係していると思います。
新しいことを選ぶには、まず自己概念が必要です。「自分はこんな人間だ」とか「自分はこれが好きだ」「これなら出来そうだ」など、選ぶための軸となるアイデンティティです。「これはしたくない」「これは合わない」などの表現はネガティブに思われるかもしれませんが、それも自己概念の一つです。
私が最初に仕事を選んだ基準は「苦痛じゃなくできれば楽しく働ける仕事内容で、土日休みで、エアコンが効いている職場」というものでした。今思うと大した軸ではないのですが、それでも求人を選ぶ基準にはなりました。
さらに言うと、私が苦痛じゃなく楽しく出来そうなことだと思ったのが、絵を描くことと、プログラムを書くことで、選ぶ幅が少なかったのも、それほど迷わずに済んだ要因だったかもしれません。プログラムを勉強してからは、それが活かせる仕事という視点で選んでいました。
選択すると、次は決定する必要がありますが、そこで関係するのが自信だと思います。自信というのは「なんとかなるだろう」というくらいで良いのですが、完璧を求めるタイプの方だとこの辺りで決めきれなくなるようです。
決めるというのは、言い方を変えると、なんとかならなかった時や失敗した結果を受け止める覚悟と言っても良いかもしれません。失敗した時には大変なダメージを受けるのではないかという不安が強いと、何かを選択するというのがとても難しくなるようです。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ」「なんとかなるよ」「困ったら助けてもらったら良いんだよ」そんな言葉を小さい頃から沢山受けてきた人は、新しいことにチャレンジする時のハードルが少し低くくて楽かもしれません。逆に、「失敗したらどうするの?」「それはやめておきなさい」というような言葉を沢山うけてきた人は、何かを決めるのはとてもハードルが高いと感じるかもしれません。自信というのは、どのような環境にいたかも影響しているような気がします。
”マンガでやさしくわかるアサーション”という平木典子先生の本には「自信(自己信頼)というのは、困ったら助けてと言える自分をあてにできること」だと書かれています。
絶対に間違いのない、失敗しない選択など存在しないのではないかと思いますから、たとえ失敗しても大丈夫だと思えているかどうかは、新しいことにチャレンジする際のポイントになると思います。世の中、本当に致命傷になるほどの失敗というのはそれほど多くはなく、大抵のことは軌道修正しながらやっていけばなんとかなるものです。チャレンジしなければ、歩みそのものが停滞してしまいます。また行動してみなければわからないことも沢山あり、どんなに準備をしたとしても、全てを網羅することはほぼ不可能です。最終的には、行動してみるしかないのではないでしょうか。
行動してみることができたら、そこから学ぶことが大切になります。学ばなければ、同じことを繰り返すことになるからです。何がどうで、どうだったのか。次はどうすれば良いのか。それによって自分らしさもまた明確になるのではないかと思います。
このサイクルが続けて行ける限り、必ずどこかにたどり着くのだということを、私は沢山の若者を見ていて感じました。こちらの想像を超えて良い職場にめぐり合われたり、成長をされたり。その道のりは紆余曲折して、道中はハラハラしながら見守ることもありますが、後で振り返ると、それもまた必要な道のりだったんだなと思います。
失敗をしながらそれを乗り越えることで、失敗しても大丈夫なんだという自信も深まるようです。ただ、失敗や傷つきを1人で乗り越えるのは大変で心細いので、それを一緒に受け止めてくれる仲間や友人、家族、恋人など身近な人の存在が大切になります。
2人の子どもたちも、いろいろな人に支えられながら、少しずつ自信を育み、自分らしさに気づき、理想どうりにはいかない現実とも折り合いをつけながら、それぞれのペースで成長してきたのだと思います。
大変なこともあるようですが、それでも、足取りは力強いような気がしています。
カウンセラーやセラピストも、一緒に受け止める存在として隣に居られることが、大切なのではないかと思います。
