最近、フォーレの作品ばかり聞いている。正直いって、フォーレがこんなに偉い作曲家だとは知らなかった。今のところ一番好きなのは、晩年に書かれたノク ターン第13番(ロ短調、作品119)だ。これより後には、ピアノ三重奏曲(作品120)と弦楽四重奏曲(作品121)があるのみである。誰もが好きにな る類の曲ではないかもしれないが、モンポウの作品と同じように、自分に近いという感じがして、なかなか離れられない。曲の冒頭から最後まで、好きでない音 はひとつもない。フォーレを聴いていると、改革の中にだけ個性があるのではないという当たり前の事実を、改めて知る思いがする。こういう曲に出会うと、ピ アノが弾ける人が本当にうらやましくなる。