以前にフォーレのノクターンが好きになったことを書いてから、もう半年以上が経ってしまった。今もよく聴いている。最初は13番がなんといっても一番素晴らしく思えたが、聴いているうち、11番(作品104-1)が一番好きになった。
 13番は、主題や構成が明確で、変化に富み、フォーレの最晩年の作品の中では比較的親しみ易いものといえる。フォーレが好きな人のうちであれば、間違いなく多くの人が評価する作品だろう。
 11番は、13番と似通った雰囲気を持つ部分もあるが、あまりに寒々としており、好まない人もいるかもしれない。この曲を聴くと、『響きわたる孤独』 (原題 Musica Callada、「ひそやかな音楽」とも訳される)という題名の作品を書いたモンポウが、なぜフォーレに憧れていたのかが分る気がする。特に、11番の コーダ(終結部)は、こうしたものが音楽の中に現れたのは、この作品においてだけなのではないのかとさえ思いたくなる。グレゴリオ聖歌の素朴な単旋律か ら、音楽はなんと遠いところまで来たのかと思う。