「建築が一つの芸術として存在する以前に、それはまずグラヴィティによる制約を乗り越えねばならない。これを乗り越える瞬間にそれはこの制約による必然的 な一つの形式を約束される。音楽芸術においても同様である。われわれは建築の有する「力学」の中にこの制約を避難するための幾多の法則を発見すると同様 に、音楽においても時間的(水平的)グラヴィティを避難する多くの法則を見るのである。そしてこれらの法則がすでに大体のわれわれの芸術の形式を決定して しまっている。われわれが、われわれの芸術的意思を表現するのは常にこの形式内においてである。」

― 深井史郎 (1907-59 作曲家「恐るるものへの風刺」より『バッハの芸術の劫久性について』)