人間はせつないものだ、しかし、ともかく生きようとする、何とか手探りででも何かましな物を探し縋りついて生きようという、せっぱつまれば全く何をやらか
すか、自分ながらたよりない。疑りもする、信じもする、信じようと思い込もうとし、体当たり、遁走、まったく悪戦苦闘である。こんなにして、なぜ生きるんだ。文学とか哲学とか宗教とか、もろもろの思想というものがそこから生まれ育ってきたのだ。それはすべて生きるためのものなのだ。生きることにあらゆる矛盾があり、不可決、不可解、てんで先が知れないからの悪戦苦闘の武器だかオモチャだか、ともかくそのこでフリ廻さずにいられなくなった棒キレみたいなものの一つが文学だ。