〈こぼれ話①〉
検査後にアイスを買って食べるのが、
長い検査に耐えられる楽しみになっていた。
その日は検査が二つあった。
一つ目の検査が終わった後、アイスを買ってから部屋に戻ったら
すぐ次の検査に呼ばれ、アイスどうしようかとなった。
すると看護師さんが、「廊下にある保冷剤を入れる冷凍庫の一番下使ってないし
そこに入れたら?」と提案され、その通りにした。
看護師さんはその時だけのつもりで言ったみたいだったけど、
私は「ここ入れてもいいんやー」と、冷凍食品を入れるようになった。(部屋には冷蔵庫のみ)
他の人も真似するようになって後日、
「※ここに食べ物を入れないでください」という
張り紙がされた。
〈こぼれ話②〉
私は小児科にすごい興味があった。
本当はダメだけど、一回だけ母と潜入したことがある。
部屋の作りが、私のいる病棟と違ったり、
展示物があったり、基本楽しい感じになっていた。
展示物の中に「元気になってみんなと学校に行きたい」という
子供が書いた折り紙が張ってあった。
私はそれを読んだとき、自分の使っているティッシュの箱を思い出した。
「こんなとこにおりたくない」という、地獄からのメッセージのようなことが
書いてあるティッシュ箱が、脳裏にフラッシュバックしてきた。
看護師さんに「まーたティッシュの箱にこんなこと書いて~」と
呆れ気味に言われていた。
自分のことながら、情けないに尽きる。
小さい子の方が、立派に目標をもって病気と向き合っている。
自分はただただ逃げている。
痛いほどそのことを思い知った瞬間だった。