精神的には不安定な日々が続いていますが、最近とりあえず頭は働くようになったので、通勤中の読書を再開しました。

とは言っても、まだ集中力があまりなくて難しい本を読むのは無理なのでエッセイなどの軽い本を読んでいます。

今日通勤後初めて一冊を読了しました。

読んだのは
澁澤龍彦の「東西不思議物語」
$メランコリー徒然草

澁澤龍彦といえば、サド文学の翻訳で有名ですが、古今東西の文芸に通じており、評論家、エッセイストとしても多くの著作を残しています。
今で言うサブカルチャー文学のはしりみたいな人です。

この本もその一冊で、古今東西の書物の中に題材を採り、世にも不思議な物語、つまり超自然現象や神秘体験を独特の軽妙な語り口で紹介しています。

全部で49篇からなりますが、第一篇は「鬼神を使う魔法博士のこと」
日本風に言うと陰陽師のことです。
やはりというか、皆様もご存知の「今昔物語」を引用し、安倍晴明の逸話を紹介しています。
さらに、西洋の錬金術や占星術に話が及び、16世紀フランスの悪魔使いパラケルススが語られます。

全編こんな感じで、国内では先の「今昔物語」以外に「宇治拾遺物語」「古今著聞集」、最近(とは言っても江戸時代以降ですが)の文学では「南総里見八犬伝」や柳田邦男、小泉八雲、幸田露伴、江戸川乱歩、芥川龍之介らが書き残した怪談、異聞が紹介されています。
海外ではグリム童話や、ゲーテ、ルター、果てはシェークスピアまで題材になっています。
まさかロミオとジュリエットの中で空から振ってくるクモの糸のような落下物について語られているとは知りませんでした。

その他に、ポルターガイスト、双頭の蛇、ドッペルゲンガー、狐使いなどなど、超常現象好きな人には堪らないテーマが盛りだくさんの一冊です。