今日の散歩では泪橋を通りました。
昔は橋があったのですが、今では交差点があるのみです。
歩道橋の上に上がって辺りの景色を見回すと、思わず涙が溢れそうになりました。

この地区は山谷と呼ばれていて(今は地名が残っていませんが)、いわゆるドヤ街です。
一泊1500円から3000円程度の簡易宿泊施設が密集しており、大勢の日雇い労働者がそこに長期滞在しています。そこに住所をおいて生活保護を受けている人も多くいるようです。
大阪だとあいりん地区と似たような感じだと思います。

私は一ヶ月程度山谷に住んでいたことがあります(一時期地方を放浪もしましたが)。
以前の私はいわゆる猛烈サラリーマンで寸暇を惜しみ仕事に没頭していました。
それが、ある日突然これ以上仕事ができない、このままでは死ぬことになるとの恐怖心に襲われ、
仕事も家族も友人も全て投げ捨てて失踪しました。

いくあてもなく街をさまよい、たどり着いたのが山谷でした。
ここには老若いろいろな人がいます(高齢者が多いですが)。
みんなそれぞれ過去がありここに流れ着いた人ばかりです。
隣の部屋の住人の過去を詮索する人はいません。

山谷で初めて迎えた夜は、生まれて初めて自由になったような気がしました。
しかし、何もすることがなく街をいたずらにさまよい続ける日々が続き、次第に私の心は空っぽになっていきました。

夕方近所のスーパーに買い物に行くと、仕事を終えた労働者たちが楽しそうにその日の酒とつまみを買っている姿をみて、彼らが幸せそうに見えてたまりませんでした。

泪橋の歩道橋に上がり、あたりの風景を見回した時に、以前のつらく虚しい日々のことが思い出されて思わず涙ぐんでしまいました。