欲望の代償
捕まった事を実感したのはオカンと一緒に家に帰る道のりでだ。
オカンはその事には触れず黙ったまま歩いている。
私は幼いながらもその状況が怖かった。沈黙が長いと悪い事ばかり
考えてしまう。 現に悪い事はしてしまったのだが・・・
当時、私が8~9歳の頃ビックリマンチョコというお菓子が発売された。
そのお菓子のおまけに<天使、悪魔、お守り>というシールが入っており
何十個に1個<ヘッド>と呼ばれる当たりのキラキラしたシールが存在した。
そのヘッドを学校にもってきたやつなんかは、その日のヒーロー
(まさにヘッド)になれた。
そんなビックリマンが一大ブームになった。
ブームになりすぎて近くのスーパーや駄菓子やなどは「1人3個まで」と
いう制限までされてしまった。
当時お小遣いなんか貰っていなかった私にとっては無縁の制限だった。
だが、その無縁の制限は違う意味で無縁になってしまった。
私のココロの袋を破ると「悪魔」が出てきた。
その日もヨー○ードに行った。もちろんビックリマンを買う為だ。
1個手にしてレジに向かい、出て横にあるエスカレーターの側のベンチに
座りドキドキしながら袋を開ける。
「なんだよ~、お守りかよ~」などと思い、もう1個買えるお金があったので
同様に手にしたビックリマンの袋をゆっくり開ける。
「うわ、悪魔だ」。悪魔が出るとがっかりする。 そう、それでいつものように
家に帰ればよかった。
私の頭に欲が出てきた。その欲望は万引きという文字に変えられ脳を
ぐるぐる回る。 脳と身体が一致団結した。
「レジを通さずにここに来ればいいじゃん。うん。絶対に見つからないよ。」
何を根拠にそう思ったのかは分からないが、その作戦は成功した。
最初は1個。ドキドキしながらベンチに持ってきた。袋を開けると
天使が入っていた。嬉しかった。余韻も束の間、すぐに次の行動に移る。
また行って今度は2個。
次々に成功すると最後はチョコは捨ててシールだけ抜いていた。
そんなのを何回か繰り返した時、ベンチから見える試食コーナーの
オバさんがこっちをずっと見ているのに気がついた。
そこはバカな小学生である。それで帰らずにそのベンチで盗んだ
シールを眺めていた。
数分後、私の横で「ちょっと、ぼく~いいかな」と声がした。
振り向くと警備員が2人立っていて1人の警備員がゴミ箱を
漁りだし「なーにーこれ」と捨てたビックリマンの袋を見せてきた。
それから、警備員に挟まれ事務所に連れていかれた。
事務所に連れていかれた私はそこで大泣きし連絡を受けた
オカンが迎えにきた。 謝罪とお金を払い事務所を出た。
帰り道でいろいろ考えた。
学校には知らされないのか、オカンはどう思ってるのか、
オトンに怒られるだろーな・・・・
夜、帰宅したオトンは寝ている私を叩き起こし
「そこに座れ!!」と怒鳴った後、おもいっきり平手打ちされた。
オトンはずーっと説教していたが私もずーっと泣いていたので
何を言われたのか全然覚えていない。
チョコだけに苦い経験でした。
反省しろよ!