第14話 パールと呼ばれる男 前編
金髪の美少年は、可愛い笑顔を振りまきながら近づいてきた。
「タクヤさんですよね?」
「そうだけど、君は?」
「同じ中学の仲間からは、パールって呼ばれてます。」
…狂犬病のパール。たしか、大坪のゲーセンに入り浸り、大学生にまで恐喝する売り出し中の中学生
と、ローカルが同じマツダから聞いた事がある。
こんなに可愛いジャニーズ系の中学生とは思わなかった。
海から、ザバザバと大きな音を立ててマツダが現れる。
「おめぇ、何しにきたんだよ!」
「マツダさん、こんにちは。」
マツダは、パールを無視して、千秋の鼻先に牡蠣を近づける。
「千秋、俺のが一番でかいだろう。」
牡蠣を持つ手を払いのけ、千秋は事態をうかがっているようだ。
「タクヤさん、俺も仲間に入れてもらえませんか?」
「嫌だ。」
「何でですか?」
「何となく嫌だ。」
マツダが、パールに声をかける。
「お前さ、俺よりデカい牡蠣が取れたら話してやんよ。」
パールは頷くと、Tシャツにジーンズのまま、海に入りだした。
慌てて海に戻るマツダと、牡蠣の採りあいが始まった。
「タクボン、あいつも仲間に入れるの?」
「どうかな。」
「チェンチョンや俺とは、絶対あわないよ。あいつモテ顔だもん。アグレッシブだし…」
パールは、楽しそうに牡蠣を採っては、Tシャツのお腹部分をカゴにして、ためている。
マツダは、無駄な動きが多く、時折、空に吠えている。
夕方の三保海岸には、青い月がかかっていた。
「セックス!」
マツダが、月に向かって吠え続ける。
千秋が、俺に呟く。
「あんな獣と、よく一緒にいれますな。」
月に向かってマツダは吠え続ける。
「チンコ!」
空に突き出した両腕には、長い海藻が握られていた。
