日刊工業新聞ビジネスリーダーズアカデミーのブログ -36ページ目

第15話 「図体はでかいが、自己資本は中小以下!?」

こんにちは
NBLA講師のホリコンこと堀内智彦です。


さて、「大阪府株式会社」のバランスシート分析を続けます。


企業会計において「バランスシート」は、一定時点の全ての資産と負債を明確にして、資本(正味財産)を計算するものです。少し解説します。


「資産」とは、財産価値のあるもの、または収益を獲得するための犠牲となり支出を言います。これらはおおむね下記のように区分できます。


(1)現金・預金・定期預金あるいは、上場株式などそれ自体が換金性のあるもの。
(2)売掛金、受取手形など販売代金を回収する権利、貸付金など元本返済してもらう権利、これらを債権などといいます。
(3)販売用の棚卸資産、商品や製品、材料など売るために在庫をもつもの。
(4)有形固定資産(建物、設備、機械装置など)として、長期間にわたり「使用収益」を得ることができるハードウエア、そして土地など減価しない不動産など
(5)ソフトウエアや権利金など、「利用することにより収益を得る」ことができるもの
(6)子会社を支配するための企業支配株式など
(7)会計技術的に、一度に費用化できないもの、繰延資産などといいます。
専門的にはもっと細かいのですが、この程度にしておきます。
これら資産のポイントは、取得価額(お金お払ったときの価格)で、資産計上されるということです。
例外はあります。例えば固定資産は「減価償却費分(費用化分)」を「取得価額」から控除して、評価を減らしたり、貸倒する可能性のある売掛金や貸付金は、リスク分をマイナス評価したりします。


さて、「負債」とは、
(1)法律上支払が拘束された「支払手形」
(2)信用取引の結果としての商品仕入代金などの未払分である買掛金や商品以外の未払金など
(3)支払が法的に義務付けられ、予定される、税金や社会保険料そして賃金など
(4)資金(現金)を調達した結果としての返済・償還義務のある、借入金や社債(府債)など
ということになります。そして、資産-負債=資本(正味資本)ということです。資本のことを資産(プラスの財産)から負債(マイナスの財産)を引いて求めるので「正味資産とか純資産」とも言います。
専門家?は、バランスシートをのことを、借方(資産)側を「資金の運用」、貸方(負債・資本)側を「資金の調達」とか言います。


平たくいうと、右側がどこから、資金を調達したの?、左側でその資金の運用(どのような資産に化けているか)状況を示しています。


しかし、また厄介なことを申し上げますが、「資産-負債=資本(純資産)」
ですが、この「資本」って目に見えないんです!


以前、「損益は光、貸借(バランスシート)は影」といいましたが、さらに「バランスシート」においても資本は直接見ることができません。あくまでも差引という概念です。


利益(目に見えない)=収益(評価により変わる概念)-費用(評価により変わる概念)と同じように、
「資産(目で見える)」-「負債(目で見える)」=「資本(目で見えない)」です。


こんな笑い話?があります。


新人?の税務調査官が、「お宅の資本金は○千万円と、決算書に書いてありますが、今すぐ金庫を開けてその○千万円を見せてください!」と言ったとか言わないとか・・・?



・・・お分かりですが、確かに会社を設立したばかりで、株主さんから、資本金(株式の発行代金)として、○千万円をあずかったときは、金庫にその金額があるかもしれませんが、その○千万円は仕入に使ったり、事務所の賃貸契約に使って、あっと言う間に、「資産や費用」に化けてしまうのですね!


さて、またまた前置きが長いので、今回の結論ですが、「資本の部」は、正確には「資本金」プラス利益の積立額です。民間企業なら、各年度の利益から税金や配当を払った後の金額が、剰余金ということで、資本の部を構成します。つまり、長期間健全経営を続けていけば、自己資本が増えていき、その結果が、資産として会社の中で運用されていくということです。


ところが、行政には、「資本とか資本金」の概念がないようで、資産-負債=「正味資産」と呼んでおり、まさに「単なる差額?」の感じがします。


ということで、安全性の分析として、「自己資本比率」があります。これは「資産全体」=左側のうち、返済・償還義務のあるもの「負債」と、返済義務のない「自己資本」とのバランスを言います。


「大阪府株式会社」の自己資本比率=1兆5,940億円÷6兆8,427億円=23.3%!


さて、売上高5億円超のサービス業ではどうでしょうか?・・・「25.1%」とありました。


我が国企業は、戦後復興から他人資本(主に銀行からの間接金融)をうまく活用せざるを得ない状況であり、中小企業・大企業平均して、「自己資本比率」はだいたい、30%程度?といわれております。


自己資本比率:「大阪府株式会社23.3%」<「中小企業平均25.1%」、規模は超巨大企業である「大阪府株式会社」ですが、自己資本比率は中小企業にちょっと負けそう?な感じです。


・・・しかし、このブログを進めるうちに、国や行政にも「資本金=自己資本」という概念が必要ではないか?と考えるようになりました。


金融機関だって、BIS規制のような自己資本に関する制限があり、保険会社だって、ソルベンシーマージン比率(支払余力)のような指標があります。どうして国や行政だけが、他人資本(国債・地方債)発行に頼って、自己資本?の充実を考えないのでしょうか????