心温まるエピソードを一つ。
あれは震災から1ヶ月もたっていない頃、
俺が医療支援と物資支援で気仙沼市大島を回っていた時に
よく耳にしていた言葉がありました。
『兄さん、船、手に入らないかな?』
大島はカキやホタテ、ホヤなどなどの漁師が多い離島。
漁や養殖はもちろん、通勤にさえ個人所有の船を使うほど、
島民にとって船は生活に欠かせない移動手段なのです。
しかしながらその船も、津波来襲によりほぼ全滅。
そんな人々が船を欲するのは当然でありました。
しかし、あの頃に船を購入するなんて困難極まりなく、
まして無料で提供してくれる話なんて無いと思っていました。
が、とりあえず無理を承知で色んな人に話をしてみてはいたのです。
そして5月。
我々NANGO-BASEが秋田へ物資の調達に行った時のことでした。
『武田さん、和船を提供してもイイって人がいるども』
と、お世話になっている秋田県県会議員の方からの電話。
我々は現物を見に、秋田県雄和町に住む持ち主の自宅へ向かいました。
出迎えてくれたのは持ち主の奥様。
聞けば、ご主人は数年前に他界し、提供していただくこの船はご主人の形見。
これまで何度か譲って欲しいと頼まれたものの、
主人の形見だからとお断りしていたそうです。
しかしこの震災で多くの船を失って困っている大島で使ってもらえたら
主人もきっと喜ぶだろうから、と寄付を決心して頂いたそうです。
この船と対面してその状態の良さにテンションが上がっていた我々も、
その話を聞いた時には心に鉛を投げ込まれた様な気持ちでした
。
そして後日『オヤジの新たな船出だからね』
と、息子さんが直々に船を気仙沼に輸送してきてくれました。
しかも船外機エンジン3機付き!
寄付先は大島漁協(写真は代表の小野寺さん:右端)
左端が息子さん。
真ん中は仲介してくれた、雄和町で菜種油業を営む社長さん。
『この船使わせてもらって復興させて、アワビもホタテも送っからっ!』
と小野寺さんも大変よろこんでおりました。
必ずやこの形見の船は、大島の、そして気仙沼市の復興の力になってくれると
信じております
★天国から見守っていて下さいね★