表題はYouTube「歴史の選択」で語られた言葉である。「正しいこと」は「分かりにくい」のである。
理事選に敗れた貴乃花は吉田松陰のように「正しいこと」を行った。自らは理事選挙に落選することは初めから覚悟していた。彼の行動は、武士道において「正しいこと」のために武士が自らの命を顧みない行動と似ている。
「正しいこと」は「分かりにくい」。視聴者をより多く獲得するため、メディアは「正しいこと」よりも「分かりやすいこと」の方に多くのエネルギーを割いている。「正しいこと」は人々にとって「面白くない」。だから人々はメディアの報道に騙される。
しかし「正しくないこと」は矛盾を拡大させる。世の中はその矛盾が解決される方向に向かう。人々に理解されなくても、世の中にはその矛盾を解決するために情熱を燃やす人々がいる。そういう人たちの努力と犠牲によって矛盾は解決される。矛盾が解決されるまでにかなり長い時間がかかる。
貴乃花が取った行動は、相撲協会の体質を徐々に変えて行くことだろう。何時の世も、自らを犠牲にして自分が正しいとする信念を貫いた人が、後の世に評価される。「正しいこと」はその時ではなくて、その「正しいこと」を行って自分を犠牲にした人が出た後に、それが人々に「分かりやすいこと」として理解されるのである。