午後のサスペンスドラマ
昨年食道癌の手術をした弟は夏前からお腹と腰に
痛みがでてきました。痛みどめの薬を
飲んでいましたが、常に襲う痛みに耐えていました。
義妹が仕事をしていましたので、昼間は一人きり
でした。しかし痛みはだんだんひどくなり、
1人でいる不安が大きくなりました。
それで姉である私が毎日弟の家に行き、
昼間をともに過ごしました。
4人兄弟姉妹である長女の私と妹達の間に
はさまっている弟とは7年半の歳の差が
ありました。
幼い時の弟と一緒に遊んだ記憶もなく
若い時の弟との関わりもあまりありません
でした。
弟はよくテレビを見ていました。
痛みを忘れるためあまり考えたくなかった
ようです。それでも一緒にテレビを見ながら
政治の話や経済の話などしました。
午後はいつも2時間のサスペンスドラマを
見ました。ドラマの展開に集中できるから
痛みを忘れると。
でも途中で薬のためかとろとろと眠っている
こともありました。
目覚めると「あれはどうなった?」と私に
聞きました。それで私はしっかりと見て
話さなければなりませんでした。
再放送が多かったので俳優さんの若さに
2人で笑ったこともありました。
「あと30分はあるからたぶんもう1人は
殺されるかもしれないね。」と事件の展開を
推理しあったりしました。
私はこれほどサスペンスドラマを今まで
見たことがありませんでした。
サスペンスドラマと言え弟との思い出の
ひとときとなりました。
弟が亡くなる前の日々の多くの時間を
一緒に過ごすことができたことは、私にとって
とても大切な時間の宝物となりました。
