俺はまだ空間デザイナーとしてはまだまだ駆け出しだったし、技術も洗練されてない青二才だった。

でもサムエルと、仕事は一生懸命やっていた。ふたりともがむしゃらだったんだ。

だから仕事は冬空の中真っ暗になっても作業灯灯して遅くまでやったりしてたから、５人分くらいの仕事量を2人でこなしてた。

ちなみに、その頃作った結婚式場。日本庭園だったんだけど、イングリッシュガーデンを新郎新婦が歩いて写真が撮れるようにしてくれって言う依頼だった。

極寒のなか、常夏の国から来たサムエルは弱音ひとつ吐かずに頑張ってくれた。

なんだってできるって思ってる俺と、なんだってやるしかないと思ってるサムエルが作った結婚式場。

もし俺が今度結婚式をやるならここでやろうと思っていたが、このあとの辛い思い出が待ち受けていたために、見たくもなくなった。

いつも助手席で言っていた口癖

「日本人に生まれただけでラッキーだ」

「あらゆる職業につけてあらゆる教育が受けられる。のたれ死ぬことはまずない」

「なのになんで日本人はなんでやりたいことをやらないんだ。もったいないよ。」

サムエルの言葉が、朝起きた時から寝る前までずっと、頭から離れなかった。

そして日本人を客観的に見るようになった。

ここで俺が気づいたこと。

日本人は、

たとえやりたいことがあっても、

いつでもできる

↓

いつかやろう

↓

そのうちやればいい

↓

今はやらなくていいや

↓

今じゃないと思う

↓

だって今は忙しいから

だって今はお金がないから

だって今は子育てがあるから

↓

やらなくてもまぁまぁの人生は歩める

↓

だから無理しない

それが日本人。

なんで日本はこんな人ばかりになっちまったのか。

つづく

日本人がやりたいことをやらない理由