いつも通りの日々
黒猫は黒い猫だというだけで忌み嫌われていた
罵声を浴びせられ
物を投げられたりした
そんないつも通りのある日
画家に出会った
彼は猫を抱きしめ
僕らは似ていると言う
猫は初めての温もりが信じられず
画家をもがいて引っ掻いた
それでも画家はその猫と仲良くなりたかった
「そう、僕らはよく似ている」
画家はめげずに猫にくっついて回った
画家は猫に名前をつけた
「ホーリーナイト」黒い猫という意味だ。
彼のスケッチブックはホーリーナイト
黒猫で埋まっていた
彼は毎日黒猫を描いた
そんな彼に猫はやっと心を開き
くっついて甘えた。
そんな日常、ある日突然
名付け親が倒れた
彼はしがない画家だった
貧しく生活していた画家は
「夢をみて家を飛び出し画家をやっていたんだ。これを大切な人に届けてほしい」と
黒猫に頼んだ。
黒猫は唯一大切にしてくれた名付け親の唯一の大切な人に手紙を届ける事にした
画家は毎日不吉な黒猫ばかり描いた
売れるはずもない猫の絵をただ毎日描いた
黒猫にとってそれは生きてきた中でかけがえのない宝物だった
黒猫は走った
大切な人の大切な人に手紙を届ける為に。
その道中何度も石を投げられ
罵声を浴びせられ続けた
でも僕には名前がある
「ホーリーナイト、聖なる夜と呼んでくれた」
画家から優しさも温もりもかけがえのない宝物
忌み嫌われていた僕にとってはこれがこの使命があったから生きてこれたんだろう
千切れそうな手足を引きずりながら走った
食べる事も忘れ
ただひたすらに。
この家だ!
そしてその手紙を大切な人の大切な人が読んだ
彼女は力尽きた黒猫に名前をつけた
聖なる夜、nightにアルファベットを1つ足した
黒猫には2つの名前がついた
聖なる騎士knight