さらに近づいても彼は全く反応を示そうとしない。

 

うつろな目で少しうつむき加減で視線を落としたまま。

 

 

 

彼の横に立ち、私は彼に挨拶をする。

 

彼に反応はないが、私の訪問は歓迎されていない。そんな感覚だけが伝わってくる。

 

 

 

私はさらに言葉を続ける。

 

私はあなたを助けに来ました。私にできることがあれば言って欲しい。

 

彼は何も答えない。

 

私も黙ったまま彼の反応を待つ。

 

沈黙の時間が流れていく。

 

 

放っておいて欲しい・・・そんな感覚を感じながら待つ。

 

 

何か自分にできることはあるかな?

 

もう一度彼に問いかけてみる。

 

 

さらに少しの沈黙の後、彼は表情を変えずにこちらを見ることもなく疲れたような声で言った。

 

 

何もできることなんかないし、誰にも僕を助けることなんかできない。

 

 

重たい空気がその場を満たしていく。