宋銭との出会い

 清盛と盛国、家貞は、兎丸とその三人の郎党たちとともに九州の博多にある神崎荘にやって来ました。

 神崎荘は、鳥羽院が所有する荘園で日本と宋との貿易の拠点となっています。
 忠盛はその神崎荘の院司に任じられていました。
 
 港には賑やかな市がたち、宋の陶磁器、薬、絹織物など珍しいものが並べられ、日本語に交じって宋の言葉が飛び交い大変な賑わいです。

 ある店先にいた鸚鵡に「アリガトウゴザイマス!」と声をかけられ仰天する清盛。
 家貞は「お気に召したなら取引して差し上げましょう」と懐から、宋銭を取り出して鸚鵡と交換します。

 この時代、まだ物の売り買いといえば米などを介した物々交換が主流でした。清盛は宋銭を手に取り、魅入られたようにみつめます。
 兎丸たちは、宋銭での取引に慣れているようで驚いている清盛を見て笑っています。

 活気に溢れた人々の様子を見て、清盛は「なんと豊かで生き生きしておるのだ!」と目を輝かせます。

 貿易、宋銭──清盛はのちの国づくりのもととなるものとの出逢いを果たしたのです。

 



 当時、宋との交易は大宰府を通さなくてはならないという決まりがありました。
 大宰府は九州地方の政務と司る役所で、外交や貿易に関するさまざまなことを統括していました。

 が、家貞は大宰府の役人を介さずに直接宋の商人と商いをしています。

「なんでそんなことが出来るんや?」とたずねる兎丸に家貞は「これにはからくりがある」と答えます。

 忠盛は院宣──院の命令を記した証書を偽造し、この神崎荘の内では大宰府を通さずに商いが出来るようにしていたのです。要は密輸です。

 白河院や鳥羽院への多大な寄進を可能にする平氏の財力は、ここから生み出されているのです。

「忠盛のやつ、海賊よりタチ悪いやないか!」
 兎丸は呆れますが、清盛は忠盛の「王家の犬」らしからぬ豪胆さを知り嬉しくなります。


 その頃、京の屋敷では忠正が家盛を、蔵に連れていき平氏の蓄財の仕組みをレクチャーしていました。

「宋の珍品を王家に献上することでよき国を与えられる。その国で得た米でまた宋と商いをする。そこで得た富で王家のために寺社仏閣を造営する」

「それで今、兄上たちは博多へ行っておいでなのですね」
 平氏の財力を支える現場を直接見せて学ばせようというのは、やはり忠盛が清盛を跡継ぎにと考えているからだろうと思う家盛。

 しかし、忠正はそれを否定します。

「貴重なる財の源とはいえ、所詮は法に背く商い。はみ出し者たちの使い道としてはちょうどいいということじゃ」
 
 家盛が正統なる後継者に相応しいからこそ、そのような汚れ仕事は清盛にやらせておけば良いという忠正。
 忠正はあくまで、一門のためには家盛があとを継ぐのが相応しいと考えているようです。

 一方、忠盛は「新しいもの、珍しいいもの」に目がない清盛の性格に目をつけ、これを機に少しずつ商いを覚えさせようと考えていました。

 跡継ぎをめぐり、人々のひそかな思惑が交錯しています。

 当の清盛は、そんなことは知らず、六波羅の一角に構えた新居に新妻の明子を迎え幸せいっぱいの新婚生活を送っていました(*´▽`*)
 

悪左府登場

 鳥羽院の御所では重陽の節句を祝う菊花の宴が催されていました。
 その宴席に連なっている藤原頼長は、隣りに得子を侍らせて上機嫌で盃を重ねている鳥羽院の方を不快げに見ています。

 


 鳥羽院は上機嫌で得子を隣りに座らせ、北面の武士の佐藤義清を召して菊花によせる和歌を献上させます。

「君が住む 宿をつぼをば 菊ぞかざる ひじりの宮と いふべかるらむ」

 義清の歌を聞いた鳥羽院は、なんと。ここを聖なる王の住まいと詠んだか。これは良い!」とご満悦です。

 正当なる跡継ぎである帝を蔑ろにして、卑しい身分の側女に入れあげていること。
 その側女を脇に侍らせて、公卿でも殿上人でもない武士に、媚びへつらったような歌を捧げさせて喜んでいる様子。

 正義感が強く潔癖な性格の頼長の目にはにはすべてが堕落しきった醜悪なものにうつります。
 
 いまいましげに膳に視線を落とした頼長の目が、白磁の器に止まります。
 それを見た公卿の一人が、「宋の逸品にござりまする。平清盛からの献上品とか」と言います。
 

 頼長が屋敷に戻ると、父の忠実と長兄の忠通が待っていました。


 頼長は、父、忠実が白河院の不興をかって宇治に隠棲していた時に出来た子です。
 頼長を溺愛している忠実は、男子のいない忠通に命じて、頼長を養子にさせていました。


「内々のことだが、年内にそなたが内大臣に任ぜられることが決まった」
 頼長はこの年、十七歳。摂関家の子息とはいえ異例の出世です。

「そなたこそ、我ら藤原摂関家の復権の要となろう」
 忠実は満足そうですが、養父である忠通は苦々しげな顔をしています。
 父の忠実が、異母弟の頼長を偏愛していることが不満なのです。

 当の頼長は、昇進の話にも顔色一つ変えず、

「近頃の都は乱れ切っております。そのうえ、それを正すべき院が若き側女に入れ込み、政に身が入らぬとはもってのほか。内大臣となったあかつきには、徹底して粛正いたします」

 と言います。山本耕史さんに「粛正」とか言われちゃうと「新選組!」ファンとしてはニヤニヤしちゃうわ( *´艸`) 
 あ、あっちは「粛清」でしたね。怖い怖い( ̄▽ ̄;)
 

菊と水仙

得子はまた懐妊していました。
 
「春には生まれましょう」
 という得子に、
「春か……庭には水仙が咲き乱れておろうな」
 と呟く鳥羽院。

「まあ、嫌ですわ。水仙はすべて菊に植え替えたではありませんか?」
「……そうか。そうであったな」

 鳥羽院が自ら庭に降りて手折り、入内して間もない頃の璋子に贈った水仙は、得子の命で院の庭からすべて取り去られてしまっていました。

 その頃、璋子は院の庭を埋め尽くさんばかりに植えられた菊の花を眺めていました。

「おかしなものじゃ。ここに咲いておったときには、さほど気にもとめなんだのに……のうなってみると、あの姿が、香りが、懐かしく偲ばれる……」

 



 いつになく寂しげな璋子を堀河局が痛ましげにみつめていました。

 水仙は、鳥羽院と璋子、それぞれにとってお互いの象徴なんですね。

 二つの花に寄せて、鳥羽院の心がまだ完全には璋子から離れていないこと──空っぽだと言われた璋子の心に変化の兆しが見えることが仄めかされています。
 

帝と義清

佐藤義清は、崇徳帝から鳥羽院の宴で和歌を詠んだとは本当かと問い質されます。
 もちろん、義清の立場では院に所望されて断れるものではありません。

 が、崇徳帝は、
「許さぬ! そなたの歌は朕だけのものじゃ。鳥羽院のために詠むなど許さぬ!」
 と声を荒げます。

 



 日頃、物静かな帝のただならぬ様子に息を呑む義清。
 崇徳帝は、義清を近くに召すとそれまで誰にも打ち明けたことのなかった、自分の出生への苦悩を語ります。

「鳥羽の院は朕を遠ざけておる……叔父子と呼んで忌み嫌うておる。我が母、璋子の奔放なる振る舞いのために……」

 義清の脳裏に、堀河局の
「璋子さまは先の院に育てられたのです。身も、心も……」
 という言葉が過ぎります。

 それが『叔父子』という言葉と結びつき、すべてを悟り、驚愕する義清。

「義清……信じられるのはそなただけじゃ……傍におってくれ……朕を一人にせんでくれ」
 
 狂おしく訴え続ける帝に、義清は
「もったいなきお言葉……義清はきっと帝をお守りいたします」
 と答えます。

 崇徳帝と義清、こんなメンヘラカップルみたいな感じだったんだ……この辺結構忘れてるな(゚Д゚;)

 しかし、帝もここで義清じゃなくって中宮の聖子さまにSOSを出してたら色々違ったんじゃないのかな~(-_-;)
 摂関家のバックがついてるわけだし。
 聖子さまパパの忠通さんも、このまま鳥羽院政が続いたら、自分が権力を握れるチャンスがまわってこないわけだし、利害関係一致してるでしょ。
 

面白き世の始まり?

盛国に呼ばれた清盛が京の下町に行ってみると、そこでは兎丸たちが、博多から持ち帰った品々を並べて賑やかに商いをしていました。すべて平氏一門が大宰府を通さない違法なルートで手に入れた品々です。

「兎丸! 何をしておる。これは密かに取引したものだぞ!」
「おもろないからや! 宋と平氏と上皇さんで、こんなもんぐるぐる回して何がおもろいねん!」

 清盛と兎丸が揉めていると、そこにまた高階通憲が現れます。

「おお~、これは『金石録』の写しではないか! こちらもまた当代の書……なぜ、かようなものがここに!」

 珍しい宋の書物を目の当たりにして感激に打ち震えている通憲。

 通憲は、兎丸からこれらはすべて平氏が宋と取引したものだと聞くと、「あっぱれじゃ!」と褒めたたえます。

 珍しい宋の焼物や衣服、書──そういったものに民が触れることで、この国の文化がより良くなっていくという通憲。兎丸も、

「それや、それや! 俺が言いたかったんはそれや!!」
 と大はしゃぎして、通憲に同意します。

 戸惑っていた清盛でしたが、はしゃいでいる通憲や兎丸たち、そしてこわごわと宋の物に触れてみながら嬉しそうにしている人々の目の輝きを見て、

「ようし、分かった! 兎丸! この場はおまえたちに任せた。これらの品々、見せるなり売るなり好きにするがよい!」
 と言ってしまいます。

 兎丸たちの商売は好評で、店には連日、評判を聞きつけた客が次々と詰めかけていました。
 店頭には、かつて清盛が博多の市で見かけた白い鸚鵡が繋がれています。

 買い物をして帰っていく客の一人一人に「ここで買うたことは内密にな!」と念を押す兎丸。
 
 

…と、父が!

その頃、東国では義朝が鎌田正清とともに、山野をさすらい、狩りで仕留めた獣の肉を焚火の火で炙ってかぶりつくという原始人のような暮らしをしていました(^^;)

 いや、現実にも仮にも源氏の御曹司がいくら武者修行の旅とはいえこれはないでしょ、と思うのですがワイルド過ぎる源氏主従が面白いから良し!!(≧▽≦)

 義朝は、父為義に、威勢のいい文を送りますが為義は父らしい直感から、義朝の強がりの裏に見える苦労を読み取ります。

 そんな為義のもとに、尾張熱田宮の大宮司の娘、由良姫が訪ねてきます。
 どうやら先日、一目逢って一喝された義朝のことが忘れられずに会いに来てしまったようです。

「尾張にて父が危ないところを助けていただきました。今は私も都に暮らすミニて、挨拶にと……いえ自ら決めたわけではござりませぬ。父の言いつけにて」

 あいにく義朝はまだ京を離れていると聞いてがっかりする由良姫。




「私は統子内親王さまにお仕えしておりまする。私と親しくなれば何かと心強うございましょう」

「親しくなれば?」
「……っ! と、父が申しておるのです! 私ではござりませぬ!」

「な、なにも申しておりませぬ」
「ともかく、そなたももっと努めよ! 義朝殿のために……と、父が!」


 由良さまといえばの名物台詞「……と、父が」
 この回が初登場でしたか~。

 由良さまのツンデレっぷりを象徴するこのフレーズ。これに後々、あんなに泣かされる時が来るとは……( ;∀;)

 ちなみに由良姫がお仕えしていると言っている統子内親王は鳥羽親王と、たまちゃんとの間に生まれた内親王です。
 崇徳さまやごっしーと同母の姉妹ですね。

 源頼朝の生母、由良御前が統子内親王(のちの上西門院)に女房として仕えていたのは史実だそうです。

 

ナイミツちゃん

 平氏一門が鳥羽院の信頼を得て着々と力を伸ばしている一方で、源氏は摂関家の庇護を受けることで何とか生き延びていました。

 為義は、新たに内大臣となった頼長に市で見かけた白い鸚鵡を贈ります。

「ココデコウタコトハナイミツニナ!!」

 繰り返し聞いていた兎丸の台詞を言う鸚鵡。頼長の目が鋭く光ります。

 



 この後も、とってもいい仕事をしてくれるこの鸚鵡ちゃん。
 清盛クラスタ──海の底の民の間では、今でも「ナイミツちゃんピンクハートと呼ばれて愛されています(*´▽`*)


 内大臣邸に呼びだされた清盛。
 それを知った忠正叔父さんの「きーよーもーりっ(# ゚Д゚)!!」が怒ってるんだろうけどなんか可愛い♪

 いくらツンツンしていても、叔父さんが本心では清盛のことも実の甥っ子として可愛がりたいと思っていることが前回で分かっちゃいましたからね~。もう憎めないですよ。

 頼長はすでに博多へと部下を派遣し、すべてを把握済みでした。

 最初は言い逃れようとしていた清盛でしたが、すべてがバレていると悟ると開き直って、宋銭を使った商いの便利さ、合理性、宋の国の素晴らしさを語り、この国をもっと豊かにするために朝廷も力を尽くして貰えるように熱弁をふるいます。

 しかし頼長は蔑むように清盛を見て、

「なんとまあ……気の遠くなるような愚かさよ。これだけの証拠を突き付けられながら、怯みもせず、詫びもせず。それどころか法を罵り、あさはかな考えにて国のしくみを変えよと求める。そなたのようなものにつけ入られると、国が乱れ、やがては滅ぶのだ。私はこれより、そなたのような者を粛正すべく法を整え、政を行う。大儀であった」

 と冷ややかに言って立ち去ります。

 何故言い返さなかったのかという兎丸に清盛は、

「言い返さなかったのではない。言い返せなかったのだ。言えば言うだけ、おのれの青臭さ、あさはかさを思い知らされそうな気がして。……なにかを変えたいという思いだけでは動かぬこともある……あのような男と渡り合うには、俺はまだまだ度量が足りぬ」

 清盛は、自分とはまったく相容れないながら、頼長のなかに彼が思い描く理想の世の姿を見たのでしょう。

 頼長はすでに、それを実現するために自分が何をすべきか知っていて、その為の力も持っています。
 そして、それを実行に移そうとしているのです。

 そんな頼長の前で清盛は自分の未熟さを思い知ります。
 自分と正反対の敵対者と出会った時、ただ反発して喚き散らすだけでなくそんな風に言えるようになるくらい、清盛は成長しているんですね。

 清盛たちが立ち去ったあと、通憲と頼長二人の場面があるんですがここがイイですね!(・∀・)

 頼長が最初から、院宣の偽造のことを院に訴えなかったのはそうしても院は平氏を咎めないのが分かっていたからでしょう、という通憲。
 平氏が密貿易によって得た財は、鳥羽院の治世にとってなくてはならないものとなっていました。

 つまり、院は自分の暮らしの豊かさを守るために不正に目を瞑っている。

 不正を憎む頼長と、ごく僅かな上流階級の者だけが富み栄える今の世のあり方を憂う通憲の思いが一瞬、通じ合う場面です。

 古今に比類なき才と称えられた二人だからこそ通じ合うものがあるんですね。
 ほんとに短い場面ですが、これがのちのち、保元の乱のあとに効いてくるので要チェックです!


 結局、清盛と兎丸の始めた商売は続けられなくなってしまいました。
 まあ、密輸品を堂々と京の都で売ってたわけですから、お咎めがないだけ十分マシなのですが(^^;)

 兎丸は、清盛に、
「いつかおまえが作れ。宋と商いして、生き生きと豊かな世、いうやつを。その手伝いやったらしてやってもええ」
 と言います。

 

盛国は宋銭の穴に紐を通した首飾りを作り、「いつか志が叶う日までのまじないのようなものにございます」と清盛に贈ります。

 もう全部が伏線! 全部があとから泣かせにかかってくるから!( ;∀;)
 要チェックじゃない回がないんです、ほんと。なんなのこのドラマ。

 そして、今回のラスト。

 はにかみながら懐妊を告げる明子。飛び上がって狂喜する清盛。

 その場面の裏で静かに描かれる、叔父の忠正が用意した良家の子女との縁談を承諾する家盛……。

 実は今回の冒頭近くで、家盛が竹林のなかで可愛い女の子と嬉しそうに逢引している場面が描かれているんですね。
 そして、縁談を承諾したあと、その時の待ち合わせ場所へ行く途中で引き返す家盛、戸惑ったようにその姿を見送る恋人の少女の姿が描かれます。

 両方の場面とも、家盛も少女も一言の台詞もない。
 それなのに若い恋人たちの、引き裂かれるような悲しみが伝わってきます。

 それを見たあとだと、明子の懐妊にはしゃぐ清盛を見ても手放しで喜べないんですよ……( ;∀;)

 清盛が奔放に生き、自分の意志を通して愛する明子と結ばれて幸せな家庭を築いている裏で、私心を捨てて一門のためになる縁談を選ぶ家盛。
 家盛はずっと優しく、穏やかに微笑んでいるんですが、それなのに……それだけにジワジワと積み上げられてくる「不穏感」がすごい。

というところで今回はおしまいです。

 今回はみんな大好き悪左府さまとナイミツちゃんが登場~(≧∇≦)

 山本耕史さんといえば「新選組!」の副長、「真田丸」の石田三成など、さまざまや役で大河ドラマに登場されていて、どの役も素晴らしいのですが、この悪左府、藤原頼長もめっちゃくちゃハマり役ですよね!

 しかし摂関家のパートは顔面の圧がすごいな。画面割れそう( ̄▽ ̄;)
 個人的にはここに忠実パパの娘の高陽院さまにもご登場いただきたいところだけど、それだと鳥羽院の後宮が濃くなり過ぎるか~。

  
 平清盛の「平家」は貴族化して軟弱になり、武士らしい武士の「源氏」に敗れた、みたいな構図でよく語られたりしますが、この時点の平氏は、半分武士で半分商人みたいな感じですね。

 「王家の犬」として実直に院に仕えているように見せながら、裏でしっかり密貿易で財を築いている忠盛パパさすが。したたかでかっこいい!

 この脚本家さんは決して主人公サイドからだけ物事を描かないんですね。
 むしろ、主人公の清盛は一番、感情移入しづらい、よく分からない人物として描かれています。

 現にこの時点だと、大半の人が家盛や宗子ママ、忠正叔父さんの立場に同情してしまうと思う。
 だって何も間違ってないし正しいんだもの( ;∀;)

 そのあたりが、「主人公=自分」として感情移入してみたいタイプの方には不評かもしれませんね。
 そのかわり、三谷幸喜さんの作品のような群像劇、いろんな立場の人の思惑が入り乱れるみたいな作品が好きな方にはドンピシャだと思います。
 
 「麒麟がくる」や今年の「青天を衝け」でも、主人公はどちらかというと多数派でない、あまり空気読めないちょっと変わった人として描かれてますよね。
 
 清盛は、現時点では上記の二人(十兵衛や栄一)に比べて有能さが見えづらい主人公なので、そこのあたりも受け入れられづらいと思います。個人的には好きですが。

 そのかわり、清盛のまわりを盛国さんだとか明子さんだとか、これでもかっていうくらい理性的で落ち着いた人たちで固めてあるのがうまいなあと思います。

 清盛と兎丸のガチャガチャを盛国の落ち着いた感じがうまく救ってる。

 さて、次回は第9回「ふたりのはみだし者」

 清盛の終生のライバル(?)となるあの御方の登場です。