はーい。
『八重の桜』ファンの皆さーん。
毎週、日曜の夜は欝ってますかーーー?(いえー…い…←力ない声で)
月曜の朝からその欝気分、引きずっちゃってますかー!?(い、えーい…←俯きがちに)
そんな大河ドラマをこよなく愛するレディス&ジェントルメンの皆さんの為に。
今宵は、絶賛不幸の無限ループにはまっている鶴ヶ城にあの男が帰ってきました!
今宵ばかりは日頃の憂さやもやもやをすっきり晴らせる爽快なシーンが見られるはず!
L・O・V・E ゴーゴー大蔵!
士道の国の獅子心家老!!
『知恵の山川』、日本一~
というコールまで用意して臨んだ今回の『八重の桜』でしたが。
予想はしていたことながら、そこに辿りつくまでには、やはりその予想の斜め上をいく過酷な場面が待っていました…
では……感想いきます。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
1.戦火の野戦病院
初っ端から、野戦病院となっていた日新館焼失のエピから(((゜д゜;)))
いや…これ、先回までに触れられてなかったからあまりに酷すぎるのでカットしたのかな、と思っていたのですが。
単に時系列の問題でまだだっただけみたいです。(´д`lll)
八月二十三日の早朝。
突然の敵襲で病院は大混乱に陥りました。
この時、父親の看病のため、この日新館のなかにいた遠藤平太という16歳の少年の談話が残っているのですが。
「大小砲を撃ち放す音、山林に響き渡り、吶喊声さだかに聞こえ物凄し」
という緊迫感のある言葉でそのときの様子を語り残しています。
迫りくる敵の砲撃音とときの声のなかで、身動きの取れない怪我人、病人の人たちの味わった恐怖はいかばかりだったことでしょう…。
平太少年は、
「ここで自分の首を斬り、おまえたちだけ逃げろ」
という父を背負って、なんとか日新館を逃れますが。
彼らが脱出して間もなく館は猛火に包まれます。
手足が多少なりとも動く人は這い出して、濠に身を投げ。
それも叶わぬ人たちは、刀で自刃しましたが、それも果たせず焼死した人もたくさんいたそうです。
まさに阿鼻叫喚。この世の地獄とでもいった光景でした。
これもなー。
身動き出来ない病人、怪我人のいる野戦病院を襲撃した側はもちろん言語道断なんですが…。
前記事でも引用させていただいた星亮一さんは、御著『会津落城』のなかで、国境が破られた時点でいち早く医療機関だけでも郊外に移転させておかなかった会津側の施策の落ち度を突いておられます。
会津戦争では自害した人の多さを、会津の人々の勇敢さ、潔さなどとして称えられることも多いですが。
実際には、迫りくる敵軍の恐怖のなかで恐怖と混乱のあまり、恐慌状態に陥って、為す術もなくパニック状態のまま自害していった人の数も相当数いたのではないでしょうか。
(その場にいたら、私は絶対にそのタイプ……)
2.女たちの戦い
城内では山川大蔵の母、艶が女性たちを指揮し、炊事や病人の看護にあたっていました。
城への避難の途中、幼い息子くんとはぐれてしまったと悄然としていた二葉さんと、そんな娘を
「お身内をなくされた方は他にいくらでもいる!
家老の家の者が率先して働かずにどうしますか!?」
と叱咤する艶さんとか…。
いや、八重さんだけでなく会津女性は強し。
けど、行方も知れない子供を探しにゆくことも、その身を案じる暇もないなんて。
厳しすぎる。切ないです…。
そして、中野竹子さん演じる『娘子隊』がいよいよ戦場へ。
女を戦場へ出すわけにはゆかぬ、という萱野の権兵衛さんに
「だったら、これまで鍛錬してきた意味がないからここで自害する!」
という娘子隊の皆さん。
どんな脅迫なんだよ…!
やむなく萱野さんは彼女たちの出撃を許してしまいます。
敵の銃撃を目の当たりにし、
「お城に戻ったら八重さんに鉄砲を教えていただきましょう。……やはり鉄砲は強い」
と微笑む竹子さん。
そう思うんなら今すぐ引き返して隠れてなさい!薙刀で戦場に出るな!死んだらおしまいなんだから!!
という視聴者の切なる願いも空しく、敵陣に果敢に突撃してゆく娘子隊たち。
「女だ!女がおるぜよ!」(←あ、土佐の人だ)
「殺すな。生け捕りにしろ!!」
……あー、まあ、そうなるわなー。
極限に近い飢餓状態の人の前に、ご馳走を差し出してあげるようなものだもんね。
たとえが品がなくてすみません…
彼女たちは八重さんのように髪を切り、男物の軍服に身を包むようなことさえしておらず、着物姿にきりっと襷をかけ、鉢巻をしめるという、まんま女性の姿だったのですから…。
敵が彼女たちを生け捕りにしようとして、いわば手を抜いていたこともあるでしょうが、娘子隊の皆さんはなかなかに善戦します。
…が、数でも体力でも劣る彼女たちに最初から勝機があるはずもなく…。
混戦のなか、妹の優子を庇おうとした竹子は敵の銃弾を胸に受けて(史実では額)斃れます。
「敵に首を渡すまいぞ!」
と竹子の首筋に懐剣を当てるも、
「…竹子…」
と声を詰まらせて亡骸を抱きしめる、母こう子。
そこに敵の銃弾が迫り、こう子はやむなく娘の黒髪を切りとって、その場をあとにします。
「もののふの猛き心にくらぶれば 数にも入らぬ わが身ながらも」
竹子は、以前、照姫さまの御前で詠み、称えられた歌を薙刀に結びつけて戦場に出ていました。
彼女の覚悟の通り、その歌が辞世の句となりました。
それだけでも十分過ぎるほど痛ましいのに、さらに追い討ちをかけるのが神保修理の妻、雪さんの運命です。
撤退の途中、味方とはぐれた雪さんは敵の兵に捕えられます。
(史実では、彼女を捕えたのは大垣藩とされています)
敵営のなかで、木に手首を吊るし上げるようにして晒し者のようにして、捕縛された姿が、正視に堪えない痛ましさでした…。
本作の中では語られていませんでしたが、大垣藩は敵に対して苛烈な処断を下すことで知られており、雪さんもこの夜、女性とはいえ賊軍の兵として斬首に処されることになっていたそうです。
そこへ通りかかった土佐藩の隊長、吉松さんがこれを見て
「女子を殺すことはない」
と諌めたのも、彼が雪さんの求めに応じて短剣を渡してあげたのも伝わっている史実通り。
雪さんはこの短剣をもって見事自害を果たしますが、そのありさまは壮絶のひと言に尽きる凄惨さで、まわりにいた官軍の兵たちも戦慄し、正視するものもいなかったと言われています。
……敵から斬首されるという辱めを受けることなく、見事に自刃し、夫・修理の名誉を守ったことは彼女にとってせめてもの救いだったのかもしれません。
「神保修理が妻、雪。……旦那さま、おそばに参ります」
彼女が黄泉路を辿ったさきで無事に夫、修理に再会出来ますように。
あちらの世で、彼女が願っていたように
「最初から夫婦をやり直す」
ことが出来ますように。
そう祈ることしか出来ません。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
3.彼岸獅子、入城。
そして今回……というか本作前半部分でのハイライト。
ここを逃したら、あとは涙につぐ涙の欝展開しかないぜよ、というなかでの会津側にとっての唯一の希望、唯一の救いの場面です。
…超束の間なんすけど。
日光口の持ち場で連戦連勝、不敗将軍、天才指揮官の称号をほしいままにしていた我らがヒーロー、山川大蔵さま。
が、そうこうしているうちに「王将」である鶴ヶ城と容保さまが敵軍に包囲されちゃっていました。
アイタタタ……
「こうしちゃいらんねえ!」
と急ぎ、城下に急行する大蔵と愉快な仲間たち。
しかし、なにぶん御城下はむかうところ敵だらけ。
強引に敵中突破したとしても自分自身は「負ける気がしねえ」大蔵さまですが、そんなことをしたら、お城に着くころには味方の兵は良くても半減してしまうことが目に見えています。
今の戦況ではひとりの兵を失うことも避けたい。
その為には無駄な戦闘は出来るだけ回避したい。
そう考えた大蔵が思いついた策。
それが、会津地方に伝わる『彼岸獅子』を先頭に立て、祭り囃子を奏でながら、そのあとについて敵中を突破。鶴ヶ城に堂々入城するというものでした。
大蔵の策は功を奏し、やってくる一団を見ても、あまりに堂々とした態度から
「なんだ?」
「どこの藩だ?」
と戸惑いながら、彼らを通過させてしまう新政府軍の兵士たち。
これまで私は、山川のあまりの勇猛さ度胸に感嘆し、敬服した官軍が自ら道を明けて通してくれたのだと勘違いしていましたが
そんな甘いことあるわけないですね(;´▽`A``
これは
『精悍にして機智に富み』
と評された山川大蔵、一世一代のあまりにも大胆で、知略に富んだ勇壮な賭けでした。
なにがなんだか分からず煙に巻かれたような顔の新政府軍の面々。
それに対して鶴ヶ城内では…。
「彼岸獅子だ……」
「彼岸獅子が来た……!!」
北の大地に住む人々に苛酷な冬の終りを告げ、春の到来を告げる彼岸獅子。
そのお囃子の音色は、つらい戦に耐え、疲れ果てていた人々の心に再び希望の光を灯しました。
「彼岸獅子を迎え入れよーーー!」
「会津兵の入城だーーーーーーーー!!!」
「おおおおーーーーーーーー」
敵軍の裏をかき、堂々と表門から入城するという離れ業を演じた大蔵の帰陣に城内は沸きかえります。
再会を喜ぶ山川夫婦。
史実では大蔵の帰ったとき、すでに妻の登勢さんは……だったみたいなのですが。
さすがに天下にドSとして聞こえた今年の脚本家さんとはいえ、この場面で
「あ、そういえば大蔵さん。奥さん。死んじゃいましたよ」
「なんだってーーーーーーーーーーーーーー∑(゚Д゚)」
みたいなことにはしなかったらしいです。良かった良かった。
が。
が。
やはり一筋縄ではいかないのが今年の『八重』クオリティ。
昨年の『清盛』のなかで
「今までそう目立たなかったりぱっとしなかった人が、ちょっとイイこといったりしたりすると、それは死亡フラグ」
という鉄の法則があったように。
今年の『八重』にもあるんですよ。
『誰かが愛する人のためを思ってしたことは、すべて逆転ブーメランの悲劇となってその人に襲いかかる』
という、血も涙もない鉄の掟がな!
(例)
・夫の無事を願って神社で願掛け→夫、無実の罪を着せられ切腹。
・感謝の気持ちで御衣進呈→「忠義一途」の呪縛から逃れられず、結果、朝敵に。
・勇気が出るようにお守りのだるまを進呈→勇気を振り絞って敵に突貫。戦死。
・初陣を嘉し、鼓舞するために手ずから裂いた白布進呈→「殿に恥をかかせるな!」→自刃
・「せめて敵をひとりでも倒してから死になさい。夫の仇をとりたくないの!?」→敵に虜囚の辱めを受け、敵陣中で自刃。
そして、今回のこの彼岸獅子入城も例外ではないみたいで…。
敵中突破して見事入城!士気アゲアゲ→恭順和睦への道、完全に絶たれた。
会津最期の一兵まで戦い抜いて地上から殲滅フラグがたちました。
頼母さん涙目…。
この時の殿のご心中は、
「土佐も内蔵助も自刃してしまった今、頼母だけでも助けたい」
というご恩情であったのか
「こいつ、いつまでも恭順恭順うるせーし。こいつがいると城内のテンションマジ下がるし」
という厄介払いのご心境であられたのか…。
今回を見る限りではどちらとも判断がつきませんでした。
妻、千恵さんの辞世を手に嗚咽する頼母さんの場面で泣いたなー…( p_q)
脚本家の山本むつみさん…。
貴女は天才です。…が、ドSか?ドSなのか!?
会津側にとっての唯一の明るい材料、わずかな救い、希望の光であったはずのこの『彼岸獅子入城』が、会津の滅亡→藩ごと島流しを決定づけたのよ
とか…。
いや…ある意味、事実だとは思うけど。
どんだけ容赦ないんだよ!!・°・(ノД`)・°・
でも……これからも大河の脚本やって下さい。時代劇もいっぱい書いてください。
すんごい面白いです…。好きっす…ほんとに。
さて。
…さて。
次週は……いよいよ…いよいよなのか!?
みんなのアイドル権八パパが……っ
やめてください…ほんともう耐えられない。
今週のうちにパパの頭から袋かぶせて掴まえて背負って逃げたいくらい。
パパ、死なないで!
会津の長い長い、あまりにも長い苛酷な試練のときはいつ終りを見せるのか…。
そして、それは息子の夏休み開始に間に合うのか…!?
夏休みになったら、こんな感想とか書いてられないんだよ、ほんと。
ともかく、来週も『八重の桜』から目が離せない。
見てないあなたは容保さまが、什の掟でお仕置きよ!!
「ならぬものはならぬ!!」
…あれ、なんかそれ、むしろオイシイ…。
あ。
ちなみに『今週の慶喜さん』は鼻唄でミスチルの『イノセントワールド』を口ずさみながら(←小泉さんがお好きらしいです)趣味の刺繍に興じられる模様をお送りいたしました。
ちなみに刺繍の図案はリラックマ
週は時間もないのでさくっと簡潔に……したつもりです
カットした場面多々。
でももう毎回濃すぎて書ききれないよ!(´□`。)
ではまた来週~。