自宅のマンションのドアを開けると、劈くような寒さが出迎えてくれた。
冬はわたしを大歓迎のようだ。
あぁ、靴下を履くべきであったと思うこころと煩わしさがエレベーターのボタンを押させる。
最近の季節外れの暖かさで、わたしを騙し、世の中を騙し、悪戯に嗤う冬が来た。いや、とっくに来ていたか。だが、そんな奇怪な仮装をしたままのおまえなど分かろうか。少々悪質、苛立たないといえば嘘になるが、所詮こんなものは子供のいたずらであるからと、咎める気は全く起きない。
線路の前で電車が過ぎ去り、踏切が上がる。
この合間の苛立ちを、同じこころと真逆の外気で抱いている。浮き足だった両足のすれ違いから忍び寄る、ひやりとした空気が懐かしい。
長く、長く、夏を過ごした気がして、本当に冬など忘れていた。
右手にはコンビニで買ったシチューパイ、坦々麺、朝用のパン。ひとりで一日過ごすのに十分な蓄えを片手で振り回し、余裕のある片手で、夏に捨て置いていたこの前の冬の思い出を拾いながら、帰路につく。
今日は君の誕生日だ。