日本看護協会(日看協)は16日、2016年度の診療報酬改定で入院基本料の「看護職員の月平均夜勤時間を72時間以下」とする要件(72時間ルール) の撤廃や緩和をしようとする動きがあるとして、同要件の堅持を求め、塩崎恭久厚生労働相に要望書を提出した。日看協は、「この要件がルールから外れた場 合、看護職員の夜勤負担が増大し、離職者が増え、病院は看護職員が確保できなくなるなどの悪循環に陥る」と訴えている。

 日看協の要望は、▽72時間ルールの堅持▽1965年に人事院が定めた「ニッパチ判定」(夜勤は2人以上、月平均8日以内)および「看護師等の人材確保 の促進に関する法律」に基づく国の基本指針の周知徹底▽労働時間法制における夜勤・交代制勤務の実効性のある規制の設定-の3点。

 規制の設定については、2015年2月17日の労働政策審議会労働条件分科会で議論されたにとどまった「労働政策審議会建議」にある新たな「労働時間等 設定改善指針」に示された「深夜業の回数制限」と「勤務間インターバル確保」を、労働時間法制に盛り込むよう求め、「速やかな法改正と指針の改定を図られ たい」とした。

 日看協によると、坂本すが会長が「72時間要件は、これまでの改定でも緩和されており、これ以上は認められない」と強くけん制したのに対し、塩崎厚労相は、労働基準法等の一部改正による夜勤の規制の法制化に触れ、「72時間要件についてもよく考えて対応したい」とした。

 72時間ルールの堅持をめぐって日看協は、9月に日本看護サミット2015で坂本会長が緊急宣言を発し、厚労省保険局の唐澤剛局長らに要望書を提出するなど、その動きを活発化させている。(CBニュース)


 厚生労働省は、ストレスチェックを受ける人が画面で入力したり、結果を出力したりできるプログラムのダウンロードサイトを立ち上げた。12月に施行され るストレスチェック制度に役立てることが目的。プログラムは無料で配布されており、厚労省は事業場の担当者にダウンロードするよう促している。

 同制度は改正労働安全衛生法に基づいて導入される。産業医や保健師らが実施者となり、職場での労働者のストレスの程度を点数化し、その度合いの高い人を 選定。労働者の希望に応じ、産業医や外部の医師による面接指導を行い、必要に応じて精神科の専門医などを紹介し、ストレス要因となる職場環境の改善につな げる。

 このプログラムは、同制度の導入や実施を円滑に進めるのが狙いで、労働者が画面でストレスチェックを受けることができる機能に加え、▽労働者の受検状況 を管理する機能▽個人のストレスチェック結果を出力する機能▽集団ごとの集計・分析結果を出力する機能―などが盛り込まれている。

 ダウンロードに要する時間は1-5分間。今月から来月にかけてアクセスが集中することが見込まれることから、厚労省は、比較的利用者の少ない平日早朝や夜間帯、土日祝日にダウンロードするよう勧めている。(CBニュース)


 昨年春の診療報酬改定で創設された地域包括ケア病棟の届け出医療機関の数が、先月時点で1300病院を突破したことが、地域包括ケア病棟協会の調査で分 かった。都道府県別では、福岡県が106病院とトップで、2位の大阪府と兵庫県を36病院も上回っている。包括ケア病棟は、昨年9月末に廃止となった亜急 性期病棟の機能を引き継いでおり、同病棟の廃止から1年余りで、届け出数は800病院以上増えたことになる。

 包括ケア病棟は、病棟ごとの「入院料」と病室単位の「入院医療管理料」でそれぞれ2段階に分かれているが、同協会が今月14日時点の地方厚生局のデータ を分析した結果(一部を除き、先月時点の届け出分)、報酬が高い「入院料1」と「入院医療管理料1」を届け出ているのは全国で計1232病院、「入院料 2」と「入院医療管理料2」は計85病院だった。

 全体の届け出数を都道府県別で見ると、福岡が106病院で最も多く、以下は大阪と兵庫(70病院)、東京(69病院)、熊本と北海道(52病院)、愛知 (51病院)などの順。また病床規模別では、「100-199床」(612病院)がトップで、次いで「20-99床」(383病院)、「200-299 床」(153病院)などと続いた。(CBニュース)


 消費者庁は、65歳以上の高齢者が入浴中にやけどを負った事故が2009年9月から15年9月までの間、11件報告されたことを明らかにした。このうち 半数近い5件は入院治療を要した。同庁は湯の温度の確認や、熱湯に触れた時は水で冷やすことが必要と指摘。また、高齢者・福祉団体などに対し、熱傷事故の 予防策を周知するよう要請したという。

 同庁は、高齢者が入浴する際にやけどを負う要因について、高齢者は感覚が鈍くなるため、高温の湯に漬かってしまうことや、突発時への反応が遅くなるため、熱源に接する時間が長くなることを挙げている。

 入院の事例では、80歳代の女性が自宅の風呂の浴槽に80-90度の熱湯をため、水で温度を調整するのを忘れて右足を浴槽に入れてしまい、右大腿部から臀部まで熱傷を負った。

 また、入浴中に追いだきをして熱湯を浴びたとみられる90歳代の男性が、熱傷で緊急搬送された事例もあったという。

 同庁は「入浴中の追いだきは、やけどの原因になることがある」とし、過度な追いだきを控えることに加え、循環口に触れたり、体を近づけたりしないよう注意を促している。(CBニュース)


 厚生労働省は、認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の概要を記載したパンフレットを作成し、日本精神科病院協会に活用を促す通知を出した。新オ レンジプランは、認知症の高齢者らが暮らしやすい地域づくりを目標に掲げており、パンフレットでは「認知症サポート医」などについて、分かりやく説明して いる。

 厚労省は今年1月、11府省庁と共同で新オレンジプランを策定した。パンフレットには、2012年に462万人と推計されていた国内の認知症高齢者が、 団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる25年には、約700万人にまで増えることを記載。65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になることが見込 まれることに触れ、「今や認知症は誰もがかかわる可能性のある身近な病気」としている。

 また、認知症への理解を深めるための啓発の促進や、医療・介護の提供といった具体的な施策も説明。例えば、医療・介護の提供については、発症予防から人生の最終段階まで、容体の変化に応じた医療・介護などが提供される「循環型の仕組み」の実現を目指すとしている。

 早期診断・対応のための体制整備については、かかりつけ医の認知症対応能力向上のための研修や、地域でかかりつけ医の認知症診断に関する相談などに応じる「認知症サポート医」の養成を進める方針を記載している。

 また、65歳未満で発症する「若年性認知症」患者が全国で4万人近くいると推定されていることを挙げ、医療機関や市町村などを通じて、患者やその家族に「若年性認知症支援ハンドブック」を配布することも説明している。(CBニュース)