今日も夕日を撮影にふらりと出掛けた。
海辺の街に着いたころ、やわらかな秋の日差しが輝いていた。
波止場では、若い二人が語り合っていた。一体なにを語り合っているのだろう。
かもめは、幸せそうな二人をそっと見つめ、何かを伝えようとしている。
「君たちはなぜ此処にいるの・・・」
二人は言った。「君は一人なの?」
夕闇が迫り、太陽が傾きかけた頃、かもめは飛び立ちながら言った。
「一人なんかじゃ生きていけないよ・・僕にも恋人がいるんだ。今から彼女と仲間の下に帰るよ。」
そう言い残して彼は帰巣した。
地平に沈む太陽が、今度は二人に語りかける。
「この地球の生きとし生けるものは、みんな繋がっている。一人では生きていけないんだよ・・・。
僕も君たちも動物たちや植物たちもそれぞれ一人では何もできないんだよ。
みんなこの空の下で一緒に暮らしているのさ。忘れちゃいけないよ。言葉を持つ人間だけがこの
地球で偉いんじゃない。必要だから・・・。」
そう言い残して太陽は、彼方へと姿を落とした。
二人は言った。
「必要ってどうゆう事?」
しかし、夕闇は何も答えてはくれない。静かな静寂があたりを包み込む。
一人の釣り人が呟いた。
「みんな同じ空の下に生きてるってことさ・・・。」