なんでもかんでも自分でやるのは、アートワークまで含めて自己の世界観に責任を持ちたいから!
と言えば一聴して聞こえはいいが、単に頼める人がいないからという側面もある。
今日は仕事から帰宅してから来月配信をする予定のジャケット制作をした。
小さい頃はとにかく絵を描くのが好きで、図書館で借りてきた魚の図鑑を模写しては母親や一昨年亡くなった父親に見せに行ったり、ドラゴンボールやドラゴンクエストのモンスター図鑑を見てはひたすら模写をしたり、オリジナルのパワプロの漫画を描いたりしていた。
あのパワプロの漫画はかなりクレイジーで、なぜか途中から見開き1ページを使ってピッコロが出てくるのがクソドリームだった。魔貫光殺砲に乗せて投球をする超次元野球、そしてなぜかそれを捕球出来る俺の同級生。電撃の走るチームメイトたち。
昔から理屈を飛び越えた理解不能な概念に憧れていたんだろう、今自分がやっていることを眺めてみてもプロットが変わっただけでさしてやっていることは変わらないと気が付き、三つ子の魂百までを今全身で体感して電撃が走っている。
そんなことを思い返しながらエイミー・ワインハウスのアナログに針を落として、ベッドのヘッドレストにクッションを敷き、壁に背をもたれ、バインダーにA4用紙を挟んでその辺にあったマジックペンでイメージをチャチャっと描き出す。
視覚的なイメージは大切だ、一目でテーマが分かるアートが必要だ。
俺は絵描きじゃないから画材も知識も何もありゃしないけど、イメージさえあればある程度具現化は出来る気がしている。
それは音楽もそうで、イメージさえ事細かく描けさえすれば存外出来ないことの方が少ない。
必要は発明の母で、技術はその子供たちだ。空を飛びたいなんて馬鹿げたことを思った兄弟がそれを叶えたように、動機さえあれば絵だって描いてみたくなるもんだ。
そんなこんなで俺のイメージに近い「やたら感性の鋭い幼稚園児」みたいな絵を数分でこしらえ、プリント機能が死んだ巨大スキャナーで絵を取り込んでパソコンとスマホを行ったり来たりする。
絵画の世界は俺にはあまり分からない。
素晴らしいとされる名画を観たとして、それがなんとなくすごくてなんだか素晴らしいことは分かっても、それを言語化して具体的に説明しろと言われたら、匙を投げて天を仰いで天井の材質とかを分析し出すだろう。そして中学校の頃にトイレットペーパーを濡らして、それを丸めたものを天井に投げて貼り付けるイタズラが流行っていて、学校中のトイレの天井がびっしりトイレットペーパーまみれになったことを思い出したりして一人で笑う気がする。治安が悪すぎて随分息苦しい学校だったが思い返してみたらあれはもう漫画の世界だったな、あんな経験はしたくてももう出来ない。燃やされるミニストップ、学校の隣の公園でピカチュウの着ぐるみを着た気狂いを煽ったらどこからか出してきた包丁を持って追いかけ回されるヤンキーを見ていた渡り廊下の窓辺、タイマンでワンパンで先輩をのした後に取り巻きにリンチをされ「約束と違う〜!」と嘆く友達、先生にレモン水を毒霧のように吹きかける女、授業中に安全ピンで耳に穴を開け絶叫する女、女子トイレにはものすごいいい匂いのする消臭剤を置くのに男子トイレには裸の備長炭直置きの教師、それに復讐するために英語の教材のMDの中身を64倍速でパンパンにスピッツの涙がキラリ⭐︎を書き込んだ俺、夜な夜なトイレットペーパーに火を放ち火の玉サッカーをする子供たち、手にジッポオイルを貯めてそれに火をつけて「マジシャンズレッド!」と叫んだ結果指の間から漏れたオイルで手に大火傷をして神社の水場から動けなくなった上田、書ききれないほどの地獄。暇さえあれば俺たちは至る所に小便を撒き散らしていた。
天井を眺めるだけでそんなことを考えるようなやつに絵のあれこれなんて考えるのはそもそも無理な話ってこと。ドーパミン中毒のガキだった頃の俺が顔を出した。
閑話休題。そもそも本筋も大して無い。
ジャケット制作も映像制作もやってみてもまず思い通りにはいかない。
そうなると何が違うかをお手本と比べるんだ、そうやって俺はここまで色んなことを楽しんできたんだ。
最近は少しずつジャケットも映像も楽しくなってきたよ、専門的なことは何も分からないけど、少しずつ違いが分かるようになってきた。
悪夢と依存症のジャケットもイメージはあったんだけど、あれを具現化するためにあれこれ試行錯誤して、なんだかいい感じになったんだ。「こんなの誰が使うんだよ!」ってプリセットなんかも組み合わせ次第でいい感じになったりするのが最近は面白いよ。
こういう経験を多くはなくてもすると、シンプルに楽しくて嬉しい気持ちになる。本質的には創作活動なんてそれ以上も以下もなくて本来いいとも思う。
金がなくてツテもないならそれを楽しむんだ。
俺がLookout!周りのフライヤーとかにピンときたのはなんだそういうところだった気がするよ。
そんなこんなで完成したジャケットを見ながら楽曲を聴いて、いい感じじゃないか!もしかして俺って絵まで描けるのか?なんて随分低予算な自賛に浸りながら、あんなもんを絵と呼ぶなというもう一人の自分の声にも忘れずに耳を貸したところで風呂の沸いた音が聞こえた。
早く配信したいね。
