作法と言うほど難しいことを言いたい訳では無いんですが、昔のことを思い出したので記録に。
25歳くらいのときにネットで知り合って長い友人の家に泊まりに行かせてもらったときのこと。
さすがにネットで知り合っているわけなので、幼なじみや近所のよく知る友人とは違う。
会って遊んだことは数回なので、自宅を提供してくれている友人とは何度も遊んでいる友人とともにお邪魔した。
（ここでは自宅に招いてくれた友人を友人Aとし、何度も遊んでいる友人を友人B、一緒に行ったもう1人の友人を友人Cとする）
友人Aはとても良い子で、みんなで外に食べに行くつもりでいたが家で夕食を用意してくれていたり、夏だから雑魚寝で充分なので気を遣わないでと伝えたがレンタル布団屋さんで人数分布団をレンタルしてくれた。
さすがに金がかかることなので帰ってからお礼の手紙とお礼のお菓子を詰めて送らせてもらったのだが、そのときの友人Aの旦那の一言が未だに記憶に残っているのだ。
「Aはね、みんなが来るのを楽しみにしててね。布団も人数分レンタルしたんだ」
これだけの話なんだけど、言われなかったら布団はレンタルかどうかわからなかった。手土産も持っていったし、お喋りがメインなので寝床がなくとも朝まで起きていたって構わないくらいの若さだった。
つまり友人Aの完全なる厚意だったのだが、それを旦那にバラされたことによって厚意が押しつけの善意になってしまったのだ。
旦那の顔に「Aは布団をレンタルしたけれど、それに見合う見返りは？」という言葉を見つけてしまったわけだ。しかも友人Aがいないときを見計らって言われた。
すぐに友人Aに「ごめんね、布団レンタルしてくれたんだって？」と聞くと「旦那くん、なんで言うんだろう…みんなにゆっくり寝て欲しくて勝手にやったことなのに…」と悲しそうな顔をしていた。
また人の家に泊まり慣れていなかった友人Cはこの言葉に大いに慌ててしまい、翌日出かけた観光地でお土産を買って「旦那さんに渡してね…」などとしていた。
慌ててしまったのはよくわかる。だけど地元の銘菓をその場で買って渡すのはそう喜ばれないだろうなぁというのと、私も帰ってからお礼を送ろうねと一言先んじてあげられたらよかったのにと思った。
このときもう一つ悲しい思い出があって、AとBは九州の人たち。焼酎が好きだと聞いていた。
私は友人Cと獺祭の出している焼酎をお土産の一つにして、みんなで飲もうと持っていった。
酒に詳しくないとわからないと思うが獺祭の日本酒すら手に入れにくい時期で、焼酎はもっと手に入らない。友人Cの知人がそういった仕事をしているからと購入の予約をしてもらって、ギリギリ手に入って持っていったものだった。
もちろん手に入れるのが難しいことも、日本酒の酒蔵が出していて、それも有名であることは手土産として渡したときに伝えた。金額は言わないし二人で買ったからそんなに高いものではないと伝えてある。（とは言っても4合瓶で五千円くらいした気がする）
希少な品に喜んでもらえたので、晩酌にとみんなで開けたところ、友人Bは美味しいけど…という反応。Aは量が飲めないので旦那さんにもと飲んでもらった。
だが友人Bが最終的に言ったのは「やっぱ鏡月が一番美味いわ！」だった。
それは私たちの前で言わなくてものではないかなと思える手痛い一言だった。
以降別の友人が我が家に泊まりに来たときは気を遣いすぎないようにすること、過剰に金をかけてもてなさないこと、だけどもてなしたいときは自分の厚意でしているのだということを忘れないようにしている。