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「そこに山があるからよ」
ドヤ顔で熱烈と語る由奈嬢。
「おし、分かった、話は終わりだな」
椅子から立ち上がろうとする私
「待って、まって、一応理由はあるんだって。」
分かった。聞いてやる。ついでに紅茶のおかわりでも入れようかとポットに手を伸ばした。
「ほら、私って顔大きいでしょ、髪をセットする度に鏡見て嫌な気分になっちゃうから、思い切ってみたの。」
正直、由奈の顔は大きくはないと思う。髪の量が多くて、手入れも行き届いているから、そんな風に思うのかもしれない。
実際にイメチェンとか言って、髪を短くしたら顔が大きく見える女の子はよくいるし、
毎日鏡の前に立ってお洒落に気を使っている子なら自分の姿を誰よりも冷静に見ていることだろう、冷静が認識齟齬に発展するかもしれないが、
「それで、髪じゃなくて顔の方を変えてみたわけか。」
「うん、そんな感じ」
ちょっと自信なさげな顔をしている。そこまで気にしていたとは知らなかった。
まあ、高校生とかじゃないんだから美容室での研究はしつくしている、っといった感じか。
「昔はね、鏡なんて見たくなかったんだ。
これが自分の姿だと思うとホントげんなりして、それでも、自分がこの姿だからしょうがないって思って、
お洒落しようと頑張って、でもそこには綺麗じゃない自分がいる。
鏡の前で気を張っていないと、何かに負けちゃいそうなの」
聞いていたら、怖くなってくる。
要は自分のトラウマと毎日目を向けなければならない義務があるんだから。
そう、由奈は語っているのだ。
「大丈夫だよ、日に日に素敵になっているから、頑張って彼氏でも見つけてきなさい」
「うん」
こんな感じだが、由奈は私より年上である。
