経絡指圧の増永静人先生はご自身の著書の中で

「筋トーヌスというのは、無意識的に静止したり、機械的な動作をくり返すときの状態です。たとえば、鞄を手に持っているとすると、鞄を持ち上げるときのような意識的な力でなく、ただ持っている、持っていることさえ忘れても決して落とさないという筋肉の働きのあることはよく知っておられるでしょう。」
「スジとツボの健康法」(潮文社刊)P42〜43

「しかし術者はリラックスした状態では施術出来ないので、次いで無意識的な動作である静止した姿勢の状態をとればよい。ぼんやり立っているか坐っているとき、筋肉は働いていないようだが、筋トーヌスの状態にある。」
「経絡と指圧」(医道の日本社刊)P16


「筋トーヌス」とは一般的には「筋の緊張状態のことで、筋を受動的に伸長したときの抵抗」という意味で、「リラックス」状態と対義の意味を表しますが、増永先生はむしろ意識的に力を使う場合に対して用いられているようです。

リラックス(脱力)←「筋トーヌス」→意識的、力む、力まかせ

脱力していても、力んでいても施術はできません。

「余計な力を抜き、かつ必要な力のある状態」ここにポイントがあるようです。

これは站とう功の身体運用にもそのまま当てはまる…気がするのですが。

次回以降、このあたりをまた掘り下げてみたいと思います。