貧血というのは、血液中の赤血球が減少するというもの。マラソンを走った後では、その衝撃や酸化による影響で、溶血(血中の赤血球が死んでヘモグロビンが分解されること)が起こります。溶血が起こると貧血状態になるわけです。貧血の症状としては、めまい・立ちくらみ・頭痛・肩こり・顔色の悪さ・動悸・むくみ・疲労感・舌や口元の荒れ・集中力や記憶力の低下・爪の変形…。マラソンランナーでは練習についていけない、記録が低下した、疲れがとれない、などがあります。血中の赤血球は通常、寿命が120日程度であり、その回復は1日に1%程度とされています。ウルトラマラソンに走った後のサンプルによる実測値によると、約14%の赤血球が破壊されているそうなので、その回復には約2週間かかることになります。比率はわかりませんが、フルマラソンなら1週間弱、ハーフマラソンなら3~4日で完全に回復する計算になるわけです。つまり、フルマラソン程度ならば本当に疲労感や筋肉痛のある間に貧血症状が出て、特に意識せずに過ごせてしまいますが、それ以上の距離を走ると、体の疲れがいえたあとも貧血の症状だけが残ることになります。ウルトラを走った1週間後には必ず貧血がやってくるということかもしれません。しかし、ものは考えようです。こうして再生された赤血球は古い赤血球より酸素運搬能力が高いので、回復した後は調子良くなるわけです。つまり最高のパフォーマンスを発揮するためには、その数日前に赤血球を破壊しておけばいいことになります。究極の準備体操ですね。