先日、起業した友人から資金調達に関する相談を受けました。
友人の会社(A社とします)のビジネスを簡単に説明しますと、
BPO(中国でのオペレータを使った帳簿の記帳代行) × 会計・税務コンサルサービスの提供
となります。
最近、A社はこのサービスを既存のクラウド会計サービスの上で提供する事業を開始しました。
顧客(=エンドユーザー)である個人や中小企業の記帳や会計・税務コンサルを、クラウド会計サービス上で行うという内容です。
この営業の感触が良いため、営業マンを一気に拡充して業容を拡大したいとのこと。
ついては小規模なシステム開発も含め、3~5千万円を資金調達できないか、というのが相談内容でした。
なお、前述のクラウド会計サービスを提供するB社は巷で話題のスタートアップであり、著名なベンチャーキャピタル(VC)から相当の金額の資金調達を行っている会社です。
さて、ここでどのプレイヤーからお金を引っ張るのが得策でしょうか?
B社は話題のベンチャーではありますが、会員数は最近伸び悩んでいる印象です。
エンドユーザーである有料会員を連れてきてくれるA社は営業機能として重要なビジネスパートナーに成長する可能性があります。
ではB社に出資するVCがA社にも出資する可能性はあるのでしょうか?
・・・答えはNoでしょう。
このようなVCは、キャッシュフローに対して投資を行う一般的な投資ファンドとは異なり、対象会社が将来爆発的に成長する可能性に賭けて投資を行っています。
いわばボラティリティに対して投資を行っているわけです。
BPOやコンサルティングサービスは、手堅い業種ではありますが、一般的なインターネットサービスに比べスケールしにくい(事業の規模が大きくなりにくい、または規模が大きくならなくても事業が回る)ビジネスになります。
そのような会社にVCが投資する可能性は低いでしょう。
ではA社とwin-winの関係にあるB社はどうでしょうか?
・・・これも、まとまった金額を出資または貸付してくれる可能性は低いでしょう。
確かにB社にとってA社が重要な営業機能に成長する可能性はあります。
しかしそれでも、B社にとってA社は、数あるユーザーの1社にすぎません。
A社にとっても同様に、B社から他のクラウド会計サービスに乗り換えることも可能です。
また、B社は多額の資金調達を行っているとはいえ、そのお金はこれからも継続する投資フェーズ(≒赤字フェーズ)で必要なキャッシュとなります。
会社として投資を受けている以上、資金の使い道は投資家に対して説明義務があります。
前述のような投資スタンスを持つ投資家に対し、B社への出資や貸付を正当化することは難しいでしょう。
一方で、A社がB社から、エンドユーザーの獲得につき販売奨励金や使用料の減額などの条件を引き出すことは可能でしょう。
ただし、まとまった金額を引き出すことは難しいと考えられます。
そもそも、A社はスケールしにくく、ファミリービジネスに近い系統の事業を行っており、IPOなどを目指しているわけではありません。
つまり、A社は投資家にとって、Exit plan、すなわち投資を行った株主がどのように資本を回収するのかという絵を描きにくい会社ということになります。
また、VCのようないわゆる「プロの投資家」を株主に加えることは、その後経営が厳しい監視下に置かれることを意味します。
業績が下り坂になればなおさらです。
経営陣と投資家が描く会社の未来が一致しない場合、経営の自由度が著しく下がってしまうおそれがあるということです。
このような場合は、可能な限り個人的繋がりのある個人投資家(いわゆるエンジェル)を探すべきではないでしょうか。
幸いA社は、事業の特性より、顧客に富裕層を抱えています。
A社のビジョンに賛同してもらえるエンジェルに、できれば経営に口出しはできないがリターンは優先的に保証できる無議決権の優先配当株式などで出資してもらう道を第一に探るよう、友人にはアドバイスしました。
前提条件としては、もちろん投資をしてもらった後に株主との人間関係がこじれないよう、関係性のメンテナンスには配慮が必要です。
また、投資家がいわゆる反社会的勢力(893やそのフロント企業など)と関係を持っていないかは十分に調べる必要もあります。
ちなみにA社の業容と経営陣の個人資産からいって銀行借入は最大500万円程度と推察されるので、借入を組み入れるか否かは経営陣の判断となるでしょう。
以上、今回はBPOベンチャーの資金調達について考えてみました。