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Nash Avenue to the Mouse

私、ナッシュ東西がディズニーやらテーマパークやらミュージカルやらゲームやらを、あーだこーだ言いまくるブログ。

みなさんどうも、ナッシュです。

いやぁ、暑くなってきましたね...

 

そんな暑さが増してきた日に、私は昭和の熱気を楽しめるという

リニューアルをした西武園ゆうえんちに行ってきました。

リニューアル後はすでにある乗り物はある程度残したまま、

昭和レトロの町並みを楽しめる商店街や

手塚プロダクションのキャラクターをテーマにしたエリアが登場しています。

 

そしてこのリニューアルの目玉の一つが新アトラクションゴジラ・ザ・ライド

フライトシュミレーター型のライドシステムで

大スクリーンで展開されるゴジラ達の対決を肌で感じることができるというもの。

今回はこのアトラクションをちょっと批評してみたいと思います。

 

でここからはアトラクションの内容についてガッツリ触れております。

まだ体験されていない方はこの先はご自身の判断でご覧いただきますようお願いします。

もし詳細は知りたくないけど評価だけ見たい方は「総評」の所だけご覧いただければと思います。

 

 

 

私は以前にも話した通り、子供のころはゴジラシリースが大好きで、

平成シリーズはもちろん、ミレニアムシリーズも見たしハリウッド版も見た。

今でもゴジラと怪獣や人類との対決は胸が熱くなるものがあるくらいなのだが、

ついにゴジラの常設ライドアトラクションができたと聞いた時には嬉しかった。

映像系アトラクションは何度かあったものの、大型ライド系は初。

期待と不安が混じりつつも乗ったアトラクションは、私のゴジラ心(?)を

満たすのには十分な内容であった。

 

 

大迫力の映像はもはや新作ゴジラ映画

ストーリーは関東地方がキングギドラに襲来されている中、

街の映画館に取り残されたゲストが特殊災害対策部隊の特殊装甲車に乗り込んで

この街から脱出を試みるのだが、キングギドラに気づかれたゲストの装甲車は襲われてしまう。

そして絶望の中、あの怪獣がゲストの前に姿を表す...というもの。

映画監督である山崎貴が手がけた映像は迫力満点で、

キングギドラが襲いかかってくる様子やゴジラが対決するシーンが大型スクリーンで展開し、

あたかも戦闘の真っ只中にいるかの錯覚に陥る。

ゴジラの登場シーンはとてもかっこよく、

しかも目の前で放射熱線が放たれるシーンは感動ものである。

もはやゴジラ映画を一本見ているかのような仕上がりであった。

(ちなみにラドンも活躍してくれるんだけど、あんまり紹介してくれないのよね...)

 

 

激しく揺れるライド

ライド形式は富士急ハイランドの富士飛行社と同じようなシステムで、

足をぶらぶらさせた状態で楽しめるフライトシミュレーター型である。

基本的にこの手のアトラクションはのんびりしていることが多いのだが、

このライドは例外である。

とにかく縦揺れが激しく、体全体を何回も揺さぶられる。

(お腹がシートベルトにグンッ!って痛いくらいに押さえつけられるレベル)

そしてこの激しさがゴジラとキングギドラの対決と融合し、

怪獣映画の登場人物になったかのような体験をすることができる。

またゴジラの雄叫びでもライドが常に振動し、衝撃波のように感じられる。

この体験はゴジラを知っている人も知らない人もゴジラの世界に引き込むことに成功し、

他では味わえないライドになっている。

 

 

設定と作りと演出のチグハグ

資金が豊富な大型テーマパークと違い、地方の遊園地でこの手のライドを作るのは

さぞ大変であっただろうし、努力の結果とてもすごいライドが完成したと思う。

だが、作り込みやライドが設定と合っていない部分がどうしても気になってしまった。

例えば乗り込む前のプレショーでは映画館に取り残された私たちに

特殊災害対策部隊のメンバーが状況を説明するのだが、

その時キングギドラに襲われ、建物中にヒビが入る演出がある。

そして部隊の特殊装甲車に乗り込む案内が来るから待っててほしいという。

ここまではいいのだが、このあとがいろいろと辻褄が合わなくなる。

装甲車に乗り込むのに案内するのがなんと映画館のスタッフ。

そしてヒビだらけの部屋を抜けると傷ひとつない昭和感0なビルの階段。

さらに装甲車のはずがピカピカライトが付いた近未来的な乗り物。

そして足ぶらぶらのフライトシミュレーターなのに地上を走行するシーンが多い。

こういった細かい部分が重なって行くと、設定がガラガラと崩れていってしまう。

テーマパークとは求められているものが違うといえばそうなのだが、

ならば変に設定を作り込まない方が正解だったかもな、という気がした。

 

 

無駄に激しいライドと分かりづらい展開

ライドが激しく動くのはとても楽しいのだが、やりすぎ感が否めない。

例えばちょっとした瓦礫を乗り越えるのもガンッ!と激しく揺れるのだが

この揺れと怪獣の歩く揺れがあまり変わらないのが気になった。

シーンごとの揺れの強弱の変化をあまり感じにくく、揺らしておけばいいだろう、

という感じが全面に出てしまっているのは残念な気がした。

またストーリーが追いにくく、初見では何が起こっているのか分かりにくかった。

例えばキングギドラに襲われて空に連れていかれるシーンがあるのだが、

最初私はギドラの足に捕らえられて飛んだのかと思ったのだが、

2回目によく見ると上下にギドラの歯が写っていて、

やっと真ん中のやつに食べられているんだと気が付いたぐらいだ。

またゴジラの体の上を走行するシーンも最初は分からなかったし、

無茶な展開が多く、ちょっと状況を把握しづらい展開が多すぎた印象だった。

フライトシミュレーターの強みである細かいライドの動きや、

一旦何が起こっているのかが把握できる間が欲しかったのが正直なところだ。

 

クライマックスの物足りなさ

ここはライドの結末に話すのでご留意いただきたい。

キングギドラを倒した後、謎の溝に入った装甲車はゴジラが雄叫びをあげるのを目撃する。

お、これでどうやって終わるんだろう?と思ったら、

なんと突然「ゴジラ・ザ・ライド」のロゴがバンッ!と出てきて終わる。

しかも映像が終わってから無音のままライドが元の場所に戻るという。

つまり、結局ゲストは助かったのか助かってないのか明確に分からないまま終了する。

またその後のフォローがないため、装甲車がどうなって戻ってきたのかも不明。

あそこまで臨場感を大切にしてきたのに、急にロゴが登場して終了したことにより

現実に引き戻されたような感じがしてしまった。

私たちはゴジラの戦いの中にいたのか、それともただ映画を見ているだけだったのか。

思わず最後に出たロゴの右下あたりに映論のマークがないかと疑ってしまうほどだ。

せっかくなのだから最後までストーリーを続けた方がよかったのではないだろうか。

 

 

 

 

総評

ゴジラ・ザ・ライドはゴジラファンが待っていたライド型アトラクションであるが、

映像とライドシステムにより期待を大きく上回る体験を提供することに成功している。

ゴジラの雄叫びを実際に肌で感じることにより、

まるでゴジラの映画の中にいるかのような感覚になるよう作られていて、

ゴジラファンには夢のようなアトラクションになっている。

またフライトシュミレーター型の割には激しく揺れるライドの動きが

このライド体験を唯一無二のものにしているのは確かだ。

しかし細かく見て行くと設定がいろんなところと噛み合っていない部分が多く、

ストーリーも把握しづらく、結末をある意味放り投げたラストは正直残念だった。

またとりあえずライドを激しくしておけばいいんだろ、という風にも感じた。

しかし日本が大切にしているコンテンツであるゴジラのアトラクションを

大型テーマパークの大型アトラクションと対抗できるレベルの完成度まで仕上げたのには

単純に拍手を送りたいと思う。

怪獣の王の活躍を、ゴジラを知らない世代にもぜひ味わってほしい。

 

 

 

ゴジラ・ザ・ライド 8.5/10