僕は小さい人間だから行列にならんでまで食事をしたくない。昔から疑問だった。「なんで並んでまで食べたいのだろう?」「どうせ味は普通なのに」僕は今でもこんなくだらない考えで生きている。
ある日、友人が行きたいチャーハンがあるから食べにいこうと言われた。僕はその友人と食の価値観が全く合わないため、だいぶ嫌だった。でもたまにはいいことがあるかもしれないと自分に言い聞かせ、重い足取りで向かった。
友人について行くと猛暑の中、行列をみた。まさかと思ったが、そのまさかだった。友人はなんのためらいもなく列の最後尾に並んだ。もう僕はやけくそだ。こんな真夏に中華に行列に並ぶ人間はすごい。30分くらい待ち、そこでやっとお店の看板を見る気になった。そこには最近テレビで紹介されましたと記載があった。あーいやだ。僕はこうゆうのが一番嫌いだ。メディアに少しでただけで、何も考えずわらわらと集まる人間が嫌だ。こんな人間の仲間だと嫌な気で頭がくらくらしていた。
美味しいご飯屋さんはふらっといけるのが良い。閑散としているが落ち着いて食事出来る場所が好きだ。人がごちゃごちゃしてる中で、並んでる人が席はまだ空かないのかと睨みつけている空気が嫌いだ。睨みつけるくらいなら他いけ。そんな中で食べる食の味なんてわかるわけない。おいしいという感想一言で終わる虚しい食事。
そんなことを考えていると席が空き案内され、薄暗い店内の奥にある、大きめの席に知らないおじさん達と相席になった。お互い申し訳なさそうに会話をする。もうこの空気嫌だなー。そして早めに食べてお店を出たかったのですぐ注文した。普通のチャーハン。店は忙しいため、10分くらい待ったがチャーハンが届いた。こんな思いしてきたんだ、美味しくあってくれと祈り一口。
うん、普通。びっくりするくらい普通のチャーハンだ。どこでもいい感じの味がする。こうなるのは知っていたから行列は嫌いだ。居心地が悪い店内から早く出るため、水でチャーハンを流し込む。そして、友人を待つこと10分。会計にいこうと言って店をでた。僕はプライドが高く小さい人間だとまた実感した。
薄暗い店内を抜け、すぐに友人に感想を聞いた。友人は少し首をかしげ、「普通だった、他のチャーハンがよかった」。ん?求めていた感想と違いすぎて冷や汗をかいた。感情は一定基準を超えると無になる。そこの領域に入り、それ以上聞かなかった。この友人の言ったお店には絶対にいくものかと心に強く誓った。