先日、お手伝いしているホームの事故報告書をみていると、一つのことに気がつきました。
全部の報告書が「その事故を見つけた人」によって書かれていました。
もちろん、その事自体は別に問題ではないと思います。
発見したときの状況がわかれば、事故にあったご本人が痛がっている場合などは、「怪我かな?骨折の可能性は?」といった判断の大切な材料になります。
しかし、私が違和感を覚えたのは、
例えば「他のフロアーのご入居者さんが、事故発見したフロアーの他のご入居者さんのお部屋に入ってしまった」
という事故についても発見した介護職員さんが事故報告書を書いている、ということでした。
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そして、この報告書を書いてくれた介護職員さんに聞き取りをすると、
「誤入室してしまったご入居者さんのいるフロアーの職員さんとは話をしないで、事故対策を考えて記入した」
とのことでした。
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何にわたしがこだわっているかというと、
この事故を防ぐためにアクション(実際に対策を実施する)をする職員さんと、事故報告書で対策を考えている人が違う
ということです。
事故対策は、「立てる」ことと「実行」するのと、どちらが大切なんでしょう?
わたしは「実行」することの方が大切だと思います。
的を得た対策を立てることはもちろん大切ですが、いくら対策が良くても実際に「やって」なければ、なんの効果もありません。
そして、実際に立てた対策を「やる」介護職員さんが関わらないで立てた事故対策って、「ほんとに意味があるの?」と思ってしまったのです。
現場のことをよくわからない管理職の人の出した指示に「そんなの、言ってることは良くわかるけど、実際にはちょっとムリだよ」と思った事がある方は多いと思います。(ない方は幸福者です。笑)
このケースでは、これと同じことが起こる可能性があります。(違うフロアーの職員さんには、案外実際のケアの様子はわからないですものね)
そして何より、「自分たちが考えて立てた対策でないと“燃えない”」です。
やっぱり、責任感が湧いてきませんよね。
こう考えてみると、事故報告書を「事故を発見した人だけ」が書いているのは、場合によってはちょっと違うかな…ということもありそうです。
仕事の意味を考えると、場合によっては「発見した人ではなくて○○さん書いてね」って事にした方が良さそうです。
これは一つの例ですが、
今している作業や業務の意味までさかのぼって考えてみると、これに似たようなことは案外たくさんあるものです。
そして、こういった視点から作業や業務を見て、適切に改めていくと、
同じ作業量でもより効果的になったり、
場合によっては、「これって要らないんじゃない?」ってことに気が付いて、作業そのものが省略できたりもします。
ほんとに、「あれもこれもしなくちゃ」と毎日忙しい中で、なかなかそこまで考える時間は取りにくいかもしれません。
ただ、それを考えると、やらなくて良いことや、本当に必要なことが見えてきます。
時間をとって考えてみる価値はあると思います。ちょっと考えてみてはいかがでしょうか?