接客サービスのマネジメント
石原直 著
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以下要約
提供するサービスの品質や量を考えることが大切
サービスは人間によって行われるもの
【サービスを設計する】
サービスは販売価格の一部……原価
商品計画・販売計画と同じようにサービス設計がなくてはならない。
「いつも変わらない」サービスをお客様は求めている。
(設計されたレベルでいつも100点を目指すこと)
・すべてのお客様を公平に
原則として消費金額の大小にかかわらず、平等に扱われるべき。
・不公平は不愉快ではない(お客様にとってプラスの不公平➝特別扱い)
公平なサービスと不公平なサービスを同時に求めている➝サービスをする側はこれを同時に行う
■コストの考え方
サービスはコストである。他のコスト同様管理されなければならない。
サービスには「質」だけでなく「量」もある(量も質の一部)。
量は時間とも関係する。サービスを構成する要素…質、量、時間
最適な組み合わせを考える。
・商品は施設とモノとサービスの足し算
サービス=商品ではない。
(サービスは商品の一部であるが、まず物理的な賞品があり、それを提供する場所があって初めて発生するもの)
施設、商品、サービスのバランスを守る
・「待たせない」ことの大切さ
待たされているお客様に笑顔を振りまき、何かを無料で提供してもそれはサービスではなく「弁解」でしかない。
・サービスは顧客満足を実現させる手段
しかし、あくまでも本来の行為を支えるもの。サービスが独立して品質管理をされることはない。
【サービスを運営する】
サービスの設計➝具体的なサービス(動作、言葉)で表現する。
サービスには常にフォローが必要。
「誰もが」「繰り返し」できるサービスの仕組みをつくる。
・まずは「3つ」のことにこだわる
例:笑顔、挨拶、おじぎ➝身についたら次の3つを覚える。
立ち止ってお辞儀する、お辞儀の際には必ずお客様の目をみる。
その中にサービスの意味をこめる。中身を説明する。
・大事なことは毎日伝える
・「常識」と「良識」を持つ
社会生活を営むうえでの常識+サービスの常識。
相手に対する思いやりや気遣う気持ち 良識。
世代や育った環境などで異なる。サービスを通じてそれを確認する。
・スタッフ同士の人間関係をよくする
楽しい、明るい職場環境をつくる=サービスという商品を高めるための施策。
お客様に満足していただけるサービスを実現させるために、スタッフにその気になってもらう。
・現場のコミュニケーション
お客様に使う言葉で話す
■サービスの意味と目的
実技よりも先に教えること➝「なぜこのサービスをしなくてはいけないのか」を先に教える。
・商品知識を深く学ぶ
接客サービスに携わる人は提供者と同時に営業をしている。
自分の仕事を好きになれば自然と勉強する気になる➝知識が増える➝楽しさが大きくなる
■教育の効率を上げる方法
教え方…誰が教えるのか
時間をかけて理解した人、覚えた人(苦労した人)に教育してもらう。
自分が苦労したからこそ、苦労のプロセス含めて教えられる。
失敗談をできる人こそ、企業内教育の先生としてふさわしい。
■OJT
・期間を決める
・スケジュールをつくる
・何を学ぶのか、オリエンテーションを行う
・マンツーマンのトレーナーをつける
・定期的にレビュー➝10日か2週間に1度トレーニー、トレーナーの両方に進捗を確認
・効果によって、内容、期間を変更する
※トレーナーは入社1、2年目の先輩が望ましい
■マニュアル
必要なときに必要な場所に。予習、現場、復習がセット。
体裁よりも「使われてこそ」
■サービスの変更の仕方
・1人で判断してはいけない。
個人の判断では、それが本当に変更しなければならないサービスかどうかわからない。
なぜ変えなければならないのかを明確に➝変更を申し出る
■数字で表現する癖をつける
「結構あります」などは×
■苦情は新しいサービスの宝庫
苦情の原因をつきとめることは、単に問題が解決するだけでなく、禍を福となすこともある。
お客様の声は自ら集めにいく。何を知りたいか考え、そのためにどのように聞けばいいのかを工夫する。
【顧客情報を管理する】
サービスの対象となる顧客の情報を知る➝どのようなサービスをすれば顧客満足を実現できるかにつながる
・情報をフィードバックする いつでも誰でも使える形に。
・変わる情報と変わらない情報
氏名・住所・誕生日…固定情報
実績・サービス情報…変動情報
変化する可能性のあるものに関しては、いつの時点で入手したかのメモが必要。
・どう活用するか?
サービスに費やされる時間は決まっている。その短い時間にどうしたらお客様にアピールできるかを考える。
【新しいサービスを開発する】
・潜在ニーズを読み解くお客様の声は『生』で保存
いただいたコメントは関係者全員で読む。
※笑顔を褒められた場合
「こんな当たり前のことを」と思う人と、「褒められるくらいだから、笑顔がない人が多いのか」と思う人がいる。この違いが大切
そのコメントに至ったプロセスを分析することにより、次からは組織としてのサービスにする。
・評判のいいサービスをとことん伸ばす
褒められたポイントを掘り下げる
・共有
ミーティング、朝礼の場で、お褒め頂いたスタッフ(本人)に体験談として発表してもらう(もしくは上司から。その場合、当人には必ずその場にいてもらうこと。補足することがあればしてもらう)。良い情報は皆で共有体験する。
・異業種、他社のサービスを体験する
優れたサービスを知る。
顧客満足はサービスの質や量ではなく、コストパフォーマンス。
アンテナを張り巡らせる。体験し、分析する。
【「よいサービス」と「よい経営」の両立】
・顧客満足と従業員満足
サービス業の多くは日曜祝日関係なく大変な仕事
接客したり、人に会うことが好きであるという資質が求められる。
しかし、サービスに携わるすべての人がそうであるとは限らない。(むしろ稀)
心の中では「辛い」「大変だ」と思っている人の方が多い。そのことを経営者、管理者は認識しておくこと。
サービスに携わる人の具体的な仕事内容、お客様とどのような関りが持たれるのかを正確に把握すること。
・サービスの楽しさを理解させる
お客様に満足してもらうことの楽しさを体験➝すべてのスタッフに共有。よいサービスをしたスタッフを褒める。
・サービスにもISOを取り入れる
※品質管理の標準化の手法(経営システムの1つ)
EX:トラブル発生➝どのように対応するか
1. 何が起きたのかを書類で報告する
2. 原因を究明する
3. 解決策を考え、実行する
4. この教訓を活かすために、これを水平展開する
自分たちが行っていることが世界標準である自覚と、それが国際機関により審査された結果だという満足感を従業員に持ってもらう。
【人がサービスをつくる】
提供するのも「人」、提供されるのも「人」