お店を出て
夜風にあたりながら
並んで歩く
湊「なんか、辛気臭くなったよな
ごめんな」
朱莉「ううん、ちゃんと聞けてよかった」
湊「あのさ、もう少しだけ付き合ってくれない?」
湊がそう言って 近くのコンビニに入る
少しして袋を抱えて 出てくる湊
湊「夜風にあたりながら 一杯やろーぜ」
そう言って 袋から缶ビールを出す
朱莉「ふふ、いいよ、行こっか」
2人は近くの川沿いのベンチに座り
缶ビールで乾杯する
湊「俺、朱莉と会えて本当によかった」
朱莉「なに、酔ってる?」
湊「まぁ多少は笑
でも、ずっと忘れられなかったから
ちゃんと話せてよかった」
湊が川辺を見つめながら
どこか寂しそうに話す
そんな湊の横顔を見つめる朱莉
朱莉「うん、なんかずっと止まってたのが
やっと動いた気がする」
湊「…俺に言われたくないかもだけどさ」
朱莉「うん」
湊「その…セフレ?とはもうやめとけよ」
湊が気まずそうに話す
朱莉「うーん、まぁね、、そうね」
朱莉が濁すように返事をすると
湊が急に立ち上がり 朱莉の前に立つ
湊「そういう相手が欲しいなら
俺にしとけばいい!」
湊のまっすぐで唐突な言葉に黙る朱莉
湊「朱莉が寂しいなら、俺が行くよ
ご飯食べたいなら、俺が行く
1人で寝たくないなら、DVDたくさん持ってて
鑑賞会してやる
朱莉が辛い時 そばにいる
だから、もうそいつじゃなくていい…と思う」
語尾に近づくにつれ 自信なさげな湊に
思わず笑ってしまう朱莉
朱莉「ふふ、じゃあ湊は終電朝帰りで
学校の先生やるんだ?笑」
湊「…!!
いや、でもできる限り!」
しばらく黙りこむ朱莉
ビールを一気飲みする
朱莉「あーあ、歯車動かしちゃう系ですかクスッ」
朱莉の言葉が理解できない湊
朱莉「もうちょっと
はっきり言ってもらわないと
私も、もうアラサーなんで」
朱莉の言葉で、何かを感じ取る湊
改めて湊が朱莉の前で膝をつく
湊「俺、バツイチだし
こんな遠回りしたし 嫉妬深いし
情けないところあるけど
朱莉のこと思う気持ちは誰にも
負けない!絶対朱莉を幸せにする」
湊の言葉に目頭が熱くなる朱莉
湊「だから、、、
俺とずっと居てくれませんか?」
朱莉が泣きながら笑う
朱莉「いや、そこは付き合ってくださいでしょ笑」
湊「!!いや、もう付き合うとか全部含めて!」
朱莉「なんだそれ笑」
湊「笑うなよ!心臓止まりそうなくらい
緊張してるんだぞ!」
湊がてんぱっていると
朱莉が立ち上がり 湊の頬に手を添えて
背伸びしながらキスをする
唇を離すと 少し照れくさそうに笑う朱莉
朱莉「あの時の仕返し」
そう言って歩き始める朱莉
少しフリーズするも慌てて朱莉を追いかける湊
湊「ちょっと待って」
朱莉の隣まできて 手を繋ぐ湊
湊「つまり、これからは俺
彼氏…だよね?」
朱莉「ふっ」
湊「おい!ちゃんと答えろよ!笑」
少し照れくさそうに 朱莉が答える
朱莉「だねー、彼氏だね」
その言葉に嬉しさが込み上げて
ニコニコしながら歩く湊
そんな湊に意地悪する朱莉
朱莉「どうする?私明日帰ったら
しばらくこっちこないけど
このまま帰る?」
どんな反応するか ワクワクしながら
湊の返事を待つ朱莉
湊が照れくさそうに考える
湊「…俺んち、行きませんか?」
湊の言葉一つ一つに
あの頃感じることができなかった
幸せや初々しさを
噛み締める朱莉
朱莉「うん、行こっかな」
照れくさそうに答えながら
湊の手を優しく握り返す
湊の家について 玄関に入ると
湊が急いでエアコンをつけにいき
玄関に戻ってくる
靴を脱いで 洗面台で手を洗っていると
鏡越しに目が合う2人
そのまま自然と唇を深く重ねる
ベッドの下には2人の抜け殻
朝 カーテンの隙間から日の光に照らされ
目を覚ます朱莉
隣にはまだ眠たそうに目を覚ます湊
湊「おはよ…」
朱莉「おはよ」
湊「朝ごはん食べて行ける?」
朱莉「うん」
朱莉の返事を聞き、湊がもぞもぞ
布団から出て 手慣れた手つきで
キッチンに立つ
後ろからのぞく朱莉
朱莉「料理できるの?」
湊「うん、板長と仲良くしてたから」
朱莉「えー、いい匂い」
朱莉の嬉しそうな反応をみて
湊が照れくさそうにボソッと言う
湊「結婚する?」
突然の言葉に驚く朱莉
朱莉「え?!」
湊「いや、なんか、幸せすぎて
手放したくないなって思っちゃった」
湊の言葉に少し黙り込む朱莉
朱莉「うん、だね。しよっか」
湊「…え?!まじ?」
朱莉「え、嘘だった?」
湊「いや、その、自分で言っておいて
あれだけど、、ほんとにいいの?」
朱莉「えーそういうこと聞いちゃうの?」
湊「え、待って、聞かない!聞かないから」
盛り付けをしながら てんぱる湊の背中に
抱きつく朱莉
朱莉「湊がいい。
ずっと一緒にいるなら湊がいいな」
朱莉の言葉を聞いて
手に持っていたしゃもじと茶碗を置く湊
朱莉の方に振り向き
強く抱きしめる
湊「やばい、高2の俺に今の現状を
伝えてやりたい!まじ幸せ!生きててよかった!」
朱莉「ちょ、苦しいよ笑」
湊「俺、来年そっちの教員試験受けるよ」
朱莉「え?」
湊「その時まで一緒には住めないけど
毎週会いに行く!
朱莉が寂しい時はいつでも!
ずっと一緒に居ような!」
湊のまっすぐキラキラした表情や言葉が
朱莉の心を温かく包んでくれる
朱莉「よろしくね、湊」
湊と朱莉の運命の歯車は10年以上経って
猛スピードで動き始めた
夏祭り おわり