いりんご☆りんご

なんか…世の中おもしろくなればいいのにな…


なんて思いながら過ごす日々のぼやき。



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#60 見えなかったホンネ

6月14日(水)【10日目-4】

ふだんはやんちゃで、ひどいことばっか言ってくる葉月も、大人にはこんな顔を見せるんだ。

「オレが失敗すんのわかってたから…母さん来なかったんだ……」


え?!


葉月のお母さんは、働いてるんだっけ…。

「オレなんかいなければ…よかったんだ……」

えぇぇっ!ちょっと!!
もう!何バカなこと言ってんのっ!

涙を流し始めた葉月に、なんて言えばいいのかわからなかった。


てか、野球で負けたぐらいで何でこんなことになるのっ!


「よかった。ここにいたんだ。葉月くん。」

困っていると先生が来た。
涙を見られまいとそっぽむく葉月。


「どうした?」

何も答えない。


『反省してる』んじゃなかったの?


「もう授業始まってるよ。教室、戻ろう?」

「サボっちゃ悪いのかっ!」

えっ!先生にそんな態度を?
さすがに先生もビックリしていた。


「鈴木だって学校サボってんじゃんかっ!」

え?!私…?

「鈴木さんは…学校に来たくても来れないんだ。」

それはそうだけど…
一体どんな話になってるんだろう…?


「なんで?いじめられてる…から?」

ええ?!どういうこと?


先生は葉月の横に座る。

「そうなのか?」

葉月は黙り込む。

「そのことについて…何か話せる?」

下をむいて少し震えていた。
その背中をそっと撫でる先生。

「無理なら言わなくてもいいよ。話せるようになったら…」

「オレが!オレがいじめてた…」

え?!ええーっ!!


思わず声を上げてしまい、先生に見られる。
葉月もこっちを見てくる。

立ち去った方がいいのかもしれないけど…
気になってしかたない。

「いつも、ひどいことばっか…ブスとか…バカとか…足が遅いとか……」

え?それだけ?
いつものことじゃん…


「本当はそんなこと思ってないのに…」

「そっか……」

また泣き出した。


バカ……
そんなことで学校来なくなんてならないよ…
いじめられたなんて…思ってないよ…!


「ナツ……?」

<つづく>

屋上の踊り場って…何か始まりそうだなって。
でも、何も始まらなかったんだわ。。

#59 責任って何?

6月14日(水)【10日目-3】

給食をはさんで5時間目の授業が先生の授業らしい。

4時間目は算数だったので、いったん学校を離れることにした。
いくら教室に戻りたいって思っていても…算数の授業はなぁ…。


あれ?!葉月?!
廊下の隅をこそこそと歩いている。


授業始まってますけどぉ?
どこ行くんですかぁ?!

こっそり後をついて行ったら、鍵のあいていない屋上にむかっていた。


何やってんのあのバカっ!


「なんだよっ!オバサンっ!」

追いかけていたのがバレてにらまれる。

「何か用ですかぁっ!」

悪いけど私はオバサンじゃないんだな。 
おこちゃま葉月くんよ。


早く葉月を教室に連れて行かなきゃ…
先生、また泣いちゃう…


こうなったらもう、日頃の仕返しをしてやるしかない!

いつも、なんだかんだで絡んでくるし。
嫌なことも言ってくる。


葉月くんよ?覚悟しなさいっ!
お説教タイムだっ!!


さてと…。


君はなんでこんなところでいじけてんのかな?

「はぁ?いじけてなんかないしー。責任とってるだけだし。」

責任?何の?
思わず笑ってしまった。


笑ったことが葉月のプライドを傷つけたらしい。
ぷいとそっぽむいてしまった。

怒ってる?
身長の差か、いつもより怖くない。


『責任』って、さっきの試合で負けたこと?

「そうだよ。オレのせいで負けた。全部オレのせいだ…。」

?!

たしかに最後のバッターをしてた。
打ったものの、点数には繋がらなかった。

でも、さすがに葉月のせいで負けたとかではないだろうけど?


「ピッチャーしてた時も点数取られまくったし……ここで反省するんだ。責任取るんだよ。だから、あっち行ってくれる?」

はぁ?!

また笑ってしまった。
葉月はまたムッとする。

「オバサンにはこの気持ち、わかんねーよ……。」

急に表情が変わったのでドキッとした。


今まで見たことない顔だったから…。

<つづく>

小学校の算数は苦手で。。
中学校でイケるかも!ってなったのに。。

高校の数学は放棄した。。

#58 奇跡

6月14日(水)【10日目-2】

現在の試合状況、九回裏。
ワンナウト、フルベース。

7対3でうちのクラスが負けている。


次の打者は…さっちゃん?
不安そうな顔をしてる。

そりゃそうだよな。


「笠原ぁーっ!代打使えーっ!」

ルール説明で先生が言ってた「代打制度」を使うっぽい。

3回まで保護者に代打を頼めるというルール。
さっき1回使ったけど、あと2回使える。


その1。
 大人は口出しをしてはいけない。

その2。
 生徒たちで必要な時を判断してお願いする。

その3。
 走るのは生徒本人。


さっきは大人の草野球チームをやってる吉川父だった。

あとは…ママさんソフトのうさみママか!?


「植松先生の妹さんですよね?」

え?!
あ。はい。


急に声をかけられたのでおもわず頷いてしまった。

「精一杯走りますから!よろしくお願いします。」

えぇっ!さっちゃん…何で私?!

ムリだって…。
絶対無理だからっ!


引っ張られるように打席へと連れて行かれる。
手渡されたラケットが重い。


「かっ飛ばせーっ!妹っ!」

いつの間にか全体にその雰囲気が伝わり注目を浴びていた。


足が震える。泣きそう。
でも、今はさっちゃんも同じ気持ちなんだ。


ピッチャーはレッドアローズエースの竹原。


「ストライク!」


ボールが見えない!
竹原は余裕の構え。

恐い…


「ツーストライク!」

助けて…先生…。


走ったわけじゃないのに心臓がバクバクする。


あーっ!もうどうにでもなれっ!!

あれ?当たっ…た……?


「打ったーっ!」

猛ダッシュするさっちゃん。
あっ!転んだ!

立ち上がった!

走った!


「アウト!」


間に合わなかった…?

その一方で点数が入った。


猛ダッシュで点を取りにいった吉川がかろやかに走りながら手を叩きにやって来た。


ハイタッチ!


さっちゃん大丈夫?

膝、擦りむけてる!
走り寄って肩を貸した。


身長がちがうけど…保健委員だもん!
さっちゃんは痛がるより笑ってた。


その後もねばったけど、試合は7対4で二組が勝利した。

<つづく>

明日ぁ〜今日よりもぉ〜♪

あ。そーだった!
女子はラケット使っていいってルールあったわ!

#57 見てるだけ

6月14日(水)【10日目-1】

久々の学校。


でも、なんかちがう。
そりゃそうだよね。


高学年は3、4、5時間目が見られるらしい。

3時間目は体育。
校庭にて行われる。

自分のくつ箱に行けないのがちょっと悲しい。


校庭にはすでに保護者が集まっていた。
知ってる顔もいてなんだかちょっと気まずい。


「あれ実習の先生?ずいぶんカワイらしいじゃない!」

隣の会話が聞こえてきた。
か、カワイイ?

「東山先生も結構オトコマエだけどね。」

そうなんだ…東山先生はオトコマエなんだ。


授業はクラス対抗野球。
合同授業らしい。


「それでは試合をはじめます。」

今日は東山先生じゃなくて先生の掛け声で試合が開始した。


「お願いします!」の掛け声に交ざれないのも残念だ。


先攻は二組。

先生は私を見つけニコッとした。
周りの人に見られていないかな…。

何事もなかったかのようにそっぽむいた。


うちのクラスのピッチャーは…葉月だ。
まぁ、野球クラブでピッチャーしてるもんね。


二組の応援がアツい。
負けんな!!


「落ち着いていけ!」

少年野球チーム『レッドアローズ』所属、寺島が声をかける。

葉月は息を飲み込み強く頷いた。

そして、キャッチャーの室井に合図を送る。


二組には『レッドアローズ』のエース竹原と女子野球チーム『サクラエンゼルス』のキョンちゃん、ミクるんがいる。

竹原は寺島より公式戦の出場数が多いらしい。


うちのクラスは女子野球のメンバーはいないからな…。

ちょっと不利かもしれない。


葉月の第一球!あっ!打たれた!
取れる?あっ!取って!

あ…あら……。


「とれよ笠原!」

葉月に怒鳴られしゅんとしているさっちゃん。

近くに小川がいたでしょう!!
駆けつけなさいよ!!

「ドンマイ!笠原!!」


さすがに声出しての応援はできないよね…

あっ!また打たれた!

<つづく>

小学校の頃、野球をやった記憶があるのだが。。
どのようなボールを使っていたのか思いだけない。。

#56 今が大切

6月13日(火)【9日目-6】

「明日、学校に来ていいってさ!」

明日は授業参観があって、その中で先生の授業もあるらしい。

大学の先生やゼミ?の人も来るらしい。


「なぁ、ナツ。子供と大人、どっちが得だと思う?」

え?!

シャワーをあびて戻ってきた先生は急にそんなことを言いだした。

「ちなみに子供たちの意見では『大人』が多いんだ。」


授業で「大人派」と「子供派」に分かれて意見を言い合うらしい。


私は…どっちだろう。


「子供は子供で大変だと思う。だから、いろんなことができる大人をうらやましく思う気持ちもよくわかる。」

ついこないだまではそうだったかもしれない。

でも、今は大人も大変なんだなって思う。

「でも、子供はいろんなことを吸収できるし、素直な考え方もできる。自分の時間もたくさんあるし…いいなぁ…と思うんだ。」


先生は「子供派」ってこと?


「本当は損とか得とかないけど、真逆の意見を聞いてどれだけ自分の世界を広げられるかってことなんだろうな。」

?!

「子供に戻りたいな…って思うこともあるけど、やっぱ『今』がいいな。」

今?


大人がいいってこと?


「大人であっても…子供であっても…『今』ここにナツがいて、ハンバーグを一緒に食べた後に、こうしてまったりしてる『今』が大切ってことかな…」


『今』が大切……


胸がぎゅっとしめつけられる。
苦しい。


「ナツが、どっち派でもいいけど…なんとなく…同じ気持ちだったらうれしいかな…なんてね。」

そう言うと、さっと立ち上がり机を移動させてふとんをしき始めた。


「さ、明日に備えてしっかり寝ないと。」


私の分も一緒に運ぶ。


「ナツが来たがってるからって事にして言っちゃったんだけど…」

言ったよ。私。


「本当は、俺が来て欲しいって思ってる…」


え。


先生は「おやすみ」と笑いながら言って、すぐ、ふとんに入って寝てしまった。

<つづく>

昔、授業でディベートとかやったよな。。

嫌いじゃないけど。。
好きじゃなかったわ。。

#55 ハンバーグ

6月13日(火)【9日目-5】

時間はかかったけど、なんとか焼くところまでたどりついた。


時計を見るともう8時近い。


 こげめがついたらひっくりかえす。

 もうひとつの面も焼けたら真ん中を押して
 出てきた肉汁が透明だったらOK!


肉汁の色をチェックしてる時に先生は帰ってきた。


「ただいまー!ナツ!!」

元気よく帰ってきた。
おかえりなさーい!

「ハンバーグ作ってるの!」

すごく喜んでくれている。
私も、すごくうれしい。


焼けたハンバーグとレンジでチンした野菜を盛り付ける。

そして、レシピのさいごにあるソース作りにはいる。


 火をつけたままのフライパンに
 お酒を回し入れる

 はねるから要注意!

 そこに、ソース、ケチャップ、しょう油を
 すぐに回し入れてかき混ぜる

 グツグツしたら完成!


わっ!

お酒を入れようとして音にびっくりしていたら、先生が手伝ってくれた。

ソースがなくて、レシピどおりではなかったけど、味見したら美味しかったのでOK!

ごはんもチンして…できあがり!


「このレシピ、どうしたの?」

カースケさんに教えてもらった…。

「ってことは…カースケに会ったの?」

携帯電話のことがばれてしまうので「うん」と頷く。

先生は少しさみしそうな顔をした。


でも、先生にハンバーグを作ってあげたかったから…。


「そっか。ありがとう!」

すぐ、笑顔に戻った。


さあ、冷めないうちにめしあがれ!


小さく切ったつもりの玉ねぎも、大きなかけらが入っていた。

それでも、先生は笑って、おいしいって食べてくれた。


「研究授業終わるまで禁酒の予定だったんだけど…これは仕方ないよね!」

ソースを作る時に使ったビールのあまりを美味しそうに飲んだ。

<つづく>

うんっめぇハンバーグを。。
作って食べてぇや。。

#54 なかったことに

6月13日(火)【9日目-4】

カースケさんは買い物リストとレシピを送ってくれた。

授業中なのにっ!!


メモをとったら、メールは消すようにと書いてあった。

消し方も。


さっきのメール……
間違えて開いちゃったやつ…


 『トーコちゃん』からのメール…

 実習終わったらでいいから
 またご飯食べにいきましょう!



見てない…見てないよ……?

思わず消してしまった。


消してあればバレない!


 『アキナ』からのメール…

 明日、会えるの楽しみにしてます!



消してあればバレない!



今日来たメール、全部消しちゃえばバレない…。



…って…何やってるんだろう…。
なんてことしちゃったんだろう…。


もう、今さらどうすることもできない。

何もなかった。何もしなかった。
そう思うことにして買い物にむかった。


メモした紙を見ながら食材を探す。


買うものはそんなにないけど、ハンバーグに必要なお肉がないと始まらない!

ハンバーグだけだとバランス悪いからと一緒に買う野菜もちゃんと書いてあった。


レンジでチンする野菜…か。


先生の家に戻ってからはカースケさんのレシピにしたがって進めていく。


 1、玉ねぎをみじん切りにする


みじん切りのやりかたも書いてあった。


 皮をむいて、半分に切る。

 上と下をきりおとす。

 切ったところを下にして根っこが
 生えてたほうを自分と反対の方に置く。

 全部切らないようにたてに切る。
 (バナナみたいに上でつながってる状態)

 つながってる方を左にしておさえながら
 全部切らないように気をつけながら
 まな板と平行に包丁を入れる。


?!


 まな板から垂直方向と平行方向に
 切れてるので右からたてに切っていく

 これで、みじん切りの完成!


 わからなくても、まあ、
 とりあえず小さく切れてればOK!


うーん………
料理って難しい…!

<つづく>

昔、ハンバーグにいれる粉があってな…
って、今もあるらしい…

ひとのケータイいじっちゃだーめ!!

#53 メールとレシピ

6月13日(火)【9日目-3】

電話もメールも気にしない!

なんて思ってたけど…
やっぱり気になってしまう。


バンドやってたんだもん…
やっぱりモテる…よね……


家では泣いたり怒ったりしてるけど…
学校では……カッコよかった…

マリンもそう言っていたし。
さっちゃんも…そう言ってたかも…。

今、こうしてる間も…ふたりは授業中の先生を見てるんだ。


また、着信。


カースケさん…?


思わず電話に出てしまった。

「あれぇ?なっちゃん?…ってことはやっぱりケータイはお留守番なのね?」


聞きたい。


トーコちゃんのこと。
アキナさんのこと。

バンドで何があったか。


「ってか、ひとのケータイ勝手に見ちゃダメでしょう!めっ!」

た、たまたまぐうぜん…出ちゃっただけで…

「まさか、メールとか勝手に見てないよね?」

え?見てないですよっ!!

「ダメだよ!浮気を疑う奥さまみたいなことしちゃ!」

は?何言ってっ!!

「もしかして、気になっちゃってる?」

違いますっ!!

「そう?じゃあ、電話切るよ!」

待って!


せっかくだから…ハンバーグの作り方…聞こう……

「何?パル、ハンバーグ好きなの?かわいいっ!!」

言っちゃいけなかったかな…?


「で、材料は何があるの?」

たまねぎとにんじんとキュウリがはんぶんとレタス。

あと、たまご…

「パン粉とかある?」

ない……

「とりあえず、買い物リストとレシピをメールするから…って見れないかな?ま、送ってみるよ。」


電話を切ってすぐにメールがきた。

メールマークのボタンを押したらメールが見れた。


カースケさんのメール…

あ……

違うメール…開いちゃった…。


えっと…カースケさんのメール……!


「授業はじまるからメールでゴメン」


え?!授業中なの!?

<つづく>

この物語の時代設定は…
今やってる朝ドラの平成よりも昔の平成です。

#52 セロリスープの歌

6月13日(火)【9日目-2】

先生のバンドの曲を聞く。


♪♪♪♪♪
 サンダルの足元に 麦わら帽子ひらり
 風が吹いたら 笑顔になれたね

 自転車をたおして 追いかける君の影
 昨日よりもっと 愛おしくって

 愛しくって 愛しくって…

 恋しい…


 ひまわりが歌をうたう季節
♪♪♪♪♪


A面の1曲目。
歌詞がノートに書いてない曲。

でも、パソコンのプリントがギターケースにはいっていた。

曲名は『おさななじみ』。
この曲も好きだ。


♪♪♪♪♪
 昨日見た夢は おぼえていない
 だけど未来の夢は いつも見てる

 日記に書いてあったことはいつも
 楽しいことばかりだったはずさ


 グッスリ寝て起きたら服を着て
 朝ご飯を食べたら 元気よく!

 「いってきまーす!」
♪♪♪♪♪


これはA面の2曲目。

ノートに書いてあった曲。
先生が作ったのかな?

曲名は『明日も元気!』…先生っぽいなぁ。


7曲のうち3曲はノートに歌詞があって…
A面3曲目の『ひまわりの夢』は書いてなかった。

こんど聞き取ってノートに書かないと!

A面4曲目の『なつやすみ』
B面1曲目の『春のうた』

この2曲はノートに書いてある。

B面2曲目はお気に入りの曲で聞き取ってノートに書いた。

最後の曲『Still Love her…』

この曲はたぶん、英語が多いから、ちょっと無理かも。


一番好きなB面の2曲目の『みずいろの部屋』という曲は、先生も一番好きな曲だって言っていた。


♪♪♪♪♪
 太陽みたいな君の キラキラヒカル魔法は
 何もない部屋だって さわがしい教室だって

 ほら…

 一瞬で青空の中 みずいろの部屋になる


 うれしい たのしい あったかい…
♪♪♪♪♪


先生は、このバンドのことは忘れたいと言っていた。

何があったんだろう?

聞いたら、また怒るかなぁ…
また泣いちゃうかもしれない…


そうなるのは嫌だから…
絶対に聞かない!


電話もメールも、もう、気にしない!

<つづく>

7曲中2曲は実際に音をつけました。
イメージ大事!

そして、スマホで簡単に音が撮れる時代。

#51 不携帯電話

6月13日(火)【9日目-1】

朝になって、先生が起きる前に目が覚めた。


そうだ!朝ごはんを作ろう!


……と言っても…たまごと野菜しかないけど。
目玉焼きぐらいならできそうだ。

フライパンをあたためて…油をぬって…


あ!


「おお!ふたごのたまごだ!」

なんか、いいことありそうだね!

もうひとつのはふつうのたまごだったけど。
ふたごの目玉焼きは先生、食べてね!

「また、先生になってるし…」

少しシュンとするけど、昨日みたいに泣いたりはしなかった。

「ナツが本当に俺の生徒だとしたら、一緒に朝ご飯なんて食べてないぞ!」


…………。

もう、本当のこと言えないんだ。


「目玉焼きには何かける派?」

え?あ…

「ケチャップか!おこちゃま?」

あ。うん。おこちゃまだよ…。。

「ごめん。言い過ぎた…。何かけてもいいんだ。好きなものかけよう!」


先生は塩をかける派らしい。


「上手に焼けたね!」

なんか、昨日の夜とはぜんぜん違う人みたいだ。

でも、楽しそうでよかった。
泣いてる先生なんかよりぜんぜんいい!


「今日は…なるべく早く帰れるように頑張るから!」

先生……ウエマツは、たべもの、何が好き?

「なんだろう…ハンバーグ…かな?」

そうなんだ。


「行ってきますっ!」

いってらっしゃい!


外は雨なのに…
なんか、ものすごくご機嫌だった。

でも、携帯電話…また、忘れてるよ。


不携帯電話だ。


さっそく音がなる。

アキナさんからお電話ですよー!
けっこう長くなってますよー!

まあ、取りに戻って来ることもなく。
2回ほど長い着信音が流れた。


その後、メールが届いた。


さらに、お昼にもメールが届いた。
こちらは、トーコちゃんから。


先生は、どっちが好きなんだろう……。


トウコちゃん?
アキナさん?

呼び捨てしてるからアキナさん?
でも、ちゃん付けしてるから…


バカみたい。

<つづく>

私は目玉焼きに…

米となら、しょうゆ派で。。
パンとなら、しお派です☆
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